水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

ユーモア推理サスペンス小説 無い地点 <10>

2024年06月28日 00時00分00秒 | #小説

 坂本トンネルの前方左側道路横に車の一時休憩場が見えた。
「西東京バス、坂本園地か…。よし、ここで変わろう!」
 口橋は、すっかり疲れていた。鴫田は口橋の言葉を聞き、口さんも年だな…と、思うでなく思った。^^
 車を止め、二人はしばらく休むことにした。途中のコンビニで買った茶のペットボトルとサンドウイッチでとにかく腹を満たした。
「口さん、来過ぎたんじゃありませんか? しばらく走れば峰谷橋ですよ…」
「…だな。だが、鴫田(しぎたに)、婆さんが籠りそうな地形じゃねえか…」
「それもそうですね…。民家が見えれば、ここら辺りで止めましょう…」
「ああ、このままじゃ甲府へ抜けちまうからな…」
 意味もなく二人は、ははは…と呵(わら)い合った。峰谷橋を越えた地点に自由乗降バスのパーキングエリアがあった。とはいえ、トイレと駐車スぺース以外、店はなかった。二人はそこに車を止め、車外へ出た。
「峰谷橋~峰谷間…当該区間でバスは乗客の要望により停留所以外でも停車することがあります・・か。要するに運転手に言えば、そこで降りられる訳ですね…」
「そういうことだな…」
「しかし、帰りはどうなるんです? バスがいつ通るか分かりませんよ…」
「まあ、なんとかするんだろうさ、ははは…」
「まあ私ら、通行人の心配をしに来た訳じゃないですからね」
「そのとおりだ。おっ! 前に民家らしき建物があるぞ鴫田。とりあえず、婆さんの情報を探るか…」
「はい…」
 歩き始めた二人は、真向いにある建物の階段を昇っていった。


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