水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

甘辛(あまから)ユーモア短編集 (82)生温(なまぬる)い

2021年08月10日 00時00分00秒 | #小説

 どんな場合、どんなコトでも生温(なまぬる)い状態は気分がいいものではない。甘(あま)く中途半端(ちゅうとはんぱ)というヤツだ。辛(から)目の熱い、暑い、冷たい、寒いといった場合、それはそれで心構えも出来るというものだが、生温いというのは気分が曖昧(あいまい)で、心の置きどころに困る。^^
 気象庁観測部のとある課である。
「今年の梅雨明けは、なんか生温いなっ!」
「ですねっ!  明けたようで、そうでもないような…。こんなお湯に浸(つ)かるの、嫌ですよねっ!」
「んっ!? ああ…」
「景気もコロナで今一、生温いようですし…」
「んっ!? ああ…。禊屋(みそぎや)のデリバリー[出前]もなっ!」
「はいっ!? え、ええ…。でも、昨日の冷酒は美味(うま)かったですねっ!」
「んっ!? ああ…。辛口の初雪だろっ!?」
「はいっ!」
「課長の人当たりは、もう少し生温い方が助かるがっ!」
「はいっ!? え、ええ…」
 生温くても、いい場合があるようだ。^^

 
                  完


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