水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

ユーモア推理サスペンス小説 無い地点 <3>

2024年06月21日 00時00分00秒 | #小説

 そのとき、新任巡査長の鵙川(もずかわ)が合同捜査本部へ駆け込んできた。鵙川は場の雰囲気を察したのか静かにドアを閉め、後方に座る口橋と鴫田に抜き足、差し足、忍び足でゆっくり近づくと、耳打ちした。
『口さん、受付に妙な婆さんがやって来ましてね…』
『…妙な? …どうよ?』
 口橋は呟くように小声で訊ねた。
『この事件と関わりがあるようなんで急いできたんですがね…』
『…関わり?』
『どんな婆さんだ、鵙川?』
 口橋の隣に座る鴫田が話に加わり、ボソッ! と小声を出す。
『それが、自称、祈祷師らしいんです…』
『祈祷師? で、どうだと言うんだ?』
『私ゃ、分かる・・とか、なんとか…』
『何が分かるってんだっ?』
「おいっ! そこの三人っ!!」
 そのとき、ゴチャゴチャ話す三人の姿が目に付いたのか、正面最前列の席で刑事達に対峙する庭取副署長が声高に一喝した。^^


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