水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

雑念ユーモア短編集 (97)解釈

2024年06月06日 00時00分00秒 | #小説

 物事を、どう考えるかで、その後の結果が変化する。例えば、Aだと怒られそうだからBにしよう…と雑念を巡らせて尻込みした結果、怒られた・・などという馬鹿な話もある。度胸一番、Aにしておけば、怒られなかったのか…と反省するケースだ。Aを怒られると解釈したところが間違っていたのである。
 会社の同僚四人で麻雀をやっていた舘岡は、次の牌(パイ)をどちらを捨てるかで悩み、少し手が止まった。相手三人のうち、島畑はテンパイしているがリーチをかけず、闇テンで三人の捨てパイを待っている。だから、何待ちなのか? は三人には分からない。当然、舘岡にも分かっていない。
『まあ、これならいいだろう…』
 軽く解釈した舘岡は東(トン)を捨てた。
「はい、ロン! 泣く子も黙る字一色(ツーイーソー)!」
 字一色・・舘岡は解釈が甘く役満を振り込んでしまった訳である。結果、オーラスのこともあり、舘岡はスッカラカンの箱テンになってしまった。敗者は次の三人の酒を含む飲食代を支払わねばならないシステムが四人のジャン友の間では暗黙の了解事項となっていた。
「さてっ! 今夜は何をご馳(ち)になるかな…」
 島畑はニヤリと意味深に嗤(わら)った。今夜は高くつきそうだ…と、舘岡は悪く解釈し、ゾォ~~っと寒疣(さむいぼ)を立てた。
 軽い雑念で解釈を間違えれば、大きな損失となるようです。皆さんの解釈次第です。呉々もご用心を!^^

                   完


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