水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

雑念ユーモア短編集 (92)リモコン

2024年06月01日 00時00分00秒 | #小説

 倉崎はリモコンに悩まされ続けていた。というのは、視聴用の電気商品には必ず付いているリモコンのためである。新たに買ったビデオレコーダーとテレビに付属していたリモコンは、ビデオレコーダーが1つでテレビが2つの合わせて3つだった。さらに以前に買ったVHS録画をできるレコーダーのリモコンも加えれば、合計4つなのである。
『コレを録画すれば、コチラも録画してしまうな…』
 二台のレコーダーのリモコンが連動してしまうのを嘆きながら、倉崎は、どうしたものか…と雑念を巡らせた。
『仕方がない…。片方の電源を切ってもう片方で録画しよう…』
 単純明快な解決策を倉崎は選んだ。電源を切ったレコーダーは当然、録画をしないから、リモコンで録画ボタンを押しても連動しないだろう…という読みである。
『実にリモコンは難解だ…』
 取り分けて難解でもない内容だったが、倉崎にとっては難解だったのである。現在、倉崎のリモコンは、1つだけが重宝されて使用されているが、残りの3つは埃を被りながら忘れ去られている。
『リモコンの連動は一考する余地があるな…』
 倉崎は腕組みしながら、電気技師にでもなったような渋い顔で雑念を膨らませた。
 リモコンの数が多過ぎるのも困ったものです。^^

                   完


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