合同捜査本部の会議が終わり、口橋(くちはし)は鵙川(もずかわ)から聞かされた老婆に面会した。
「あの…どのようなことでしたでしょう?」
口橋は面会室の椅子で座って待つ見窄(みすぼ)らしい老婆に対し、椅子に腰を下ろしながら下手で訊ねた。その老婆は弥生時代の衣装を身に纏(まと)い、勾玉をあしらった首輪をしていた。^^
「あなた様が、こんとこの責任者様でござりますかいのう?」
「えっ!? ああ、まあ…」
口橋は、自分はそんな偉い者ではないが…と思いながら、暈して肯定した。
「そうでしたかいのう…。実はですのう、奥多摩の庵(いおり)に住みよります私に、昨晩、不思議なお告げが舞いおりましたもので、そのことをお伝えしようかと伺わせていただいたようなことでしてのう…」
老婆は、回りくどい説明を口橋にしながら、出された茶を啜った。
「不思議なお告げですか? …どのような?」
口橋は、偉い婆さんに会っちまったぞ…と心で苦笑いしながら、さらに訊ねた。
「今、あなた様がお調べの五体のミイラが、私にコレコレシカジカ・・とお告げをしましてのう」
「はあ…」
馬鹿馬鹿しい…とは思えたが、それでも一応聞いておくか…と、口橋は老婆に話を続けさせた。