水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

コメディー連載小説 里山家横の公園にいた捨て猫 ④<2>

2015年04月15日 00時00分00秒 | #小説

 調べは割合つきやすく、所属やスケジュールの詳細も存外早く、入手できた。
 みぃ~ちゃんは動物専門の芸能事務所、槍プロの所属だった。個人事務所で一人と一匹で頑張る里山達とはド偉(えら)い違いで、槍プロの所属動物は犬猫は申すに及ばず、多種多様な動物を網羅(もうら)して数十匹にも及んだ。
「明日は空き日だそうだ…。よし! 思い切って訪れてみよう。婦人も知らない訳でもなし、まさか門前払いはしないだろう」
『よろしく、お願いいたします…』
 小次郎は丁重に、ニャ~と尻尾(しっぽ)を動かした。小次郎しては、自分の力では離れた距離的なものも含めて手に負えず、里山に任せるしかない訳だ。里山は、すでに仲人(なこうど)気分になっていた。申すに及ばず、多種多様な動物を網羅(もうら)して数十匹にも及んだ。事前に槍プロへコンタクトをとり、みぃ~ちゃんの空き日と飼い主の小鳩(おばと)婦人の住所を訊(き)きだしておいた。
 そして、その日が巡り、朝早く、里山と小次郎は小鳩(おばと)婦人の大邸宅前に立っていた。時間的に遅い訪問だと、外出後で留守ということも有り得たからだ。まさか六時過ぎに出かけているということもないだろう…と思い、車を邸宅が見える近くの空き地へ横づけし、コンビニで買った菓子パンと牛乳を飲み食いした。もちろん、小次郎の朝食用固形食料や猫缶、キャット・ディッシュは車に積み込んであった。里山はまるで探偵のように、食べながら小鳩婦人が出ないかを見張った。


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