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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

社会支出の対国民所得比の国際比較

2017-12-17 23:07:49 | 社会保障

最近面白いなと思うのが政府の社会保障政策の成り立ちについてです。国際比較の統計等を見ていると、日本は昭和30年代に完成度が高い年金制度を作ったほか、高齢化を見越して作られた介護保険制度など、常に将来の人口推計等に基づき手を打ってきたことがわかります。想定外に速い速度で進む高齢化についての対策はまだまだ様々な面で課題が山積しており社会保障制度の方向性、財源等をどうするか安定政権の中でしっかりした政策を打ち出す必要があります。広い視点でものを見たいと思い勉強のために受講してみる研修会では、年金についてはある程度給付抑制の仕組みも導入できてある程度の見通しは立つようになったという説明が多いです。問題は医療・介護の今後の方向性だと思うのですが、保障をどこに持っていくかは項目だけではなく、世代に対する振り分けも重要であり、今政府の打ち出しているのは全世代型の社会保障制度ということになります。

安倍政権としては、高齢者に対する社会保障よりも若い世代にもっと社会保障を手厚くするべきだということで打ち出しているため、ネットを見ているとかなり批判があるようです。しかし日本の社会保障は高齢者に偏ってかなり手厚く、若い世代へ社会保障の財源を振り分けるということは国際比較から見ても必要なことなのだと感じます。

国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計(平成26年度)」で社会支出の対国民所得比の国際比較が示されています。高齢、遺族、障害・業務災害・傷病、保健、家族、積極的労働政策、失業、住宅、生活保護その他の9項目を日本とフランス・スウェーデン・ドイツ・イギリス・アメリカの6か国で比較しています。この中で一番特徴的なのは日本の「高齢」に対する支出の高さです。日本47.3%に対して、アメリカ32.9%、イギリス31.9%、ドイツ31.4%、フランス39.7%、スウェーデン34.4%です。それに対して「家族」に対する保障は日本5.4%、アメリカ3.6%、イギリス16.7%、ドイツ8.5%、スウェーデン13.1%、フランス2.7%となっており、高齢者への保障が手厚く、バランスとしては家族(子ども・子育て)へ社会保障を振り分けるという必要があると認識することができます。

国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計(平成26年度)」

 http://www.ipss.go.jp/ss-cost/j/fsss-h27/H27.pdf

ここのところ「労務監査」的な仕事が多く、とにかく運用を中心にローラー的に検証してどのように問題点を解消するかをご提案するのですが、だいぶ形になってきました。もう少し安定させて労務監査のパッケージをご提案できるようにする予定です。

週末ゆっくり起きたりしてやっと風邪が抜けた感じです。12月は毎日夜に予定が入り忙しいので体調管理をして気持ちよく年末年始を迎えたいなあと思っています(まだインフルエンザの注射ができていないのでちょっと心配です。昔TACの講師時代に40度近い熱がありながら隠して授業をして懲りたので毎年注射はしています)。