OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

民法と労働法

2011-08-07 22:29:31 | OURS
 8月から私を含め事務所スタッフの知識向上のため、就業時間後弁護士の岩田先生の講義による勉強会を行うことにして第1回目が始まりました。岩田先生はまだ弁護士になり1年目の若い先生なのですが大学の時にゼミ形式で後輩を指導した経験があるというだけあり、条文を読ませたりクイズのような質問を投げかけたりととても楽しい時間でした。時にはスタッフから質問も出てそれに先生が答えてくれるという双方向の勉強会であったため予定の半分しか進まなかったようですが充実した勉強会となりました。
 以前から顧問先企業にアドバイスするには民法をもっと勉強したいと考えて温めていた構想でしたが、金銭的な面でも良い先生と巡り合う機会という点でもなかなか実現できないでいました。私としてはやっとここまでたどり着いたということで始まったのですが、やはり今回初回から目からウロコがぼろぼろでした。というのもこれまで社会保険労務士として取り扱う労基法を始めとした労働法については社労士試験の教材作成の過程で条文の隅々までかなり読み込んでいたのですが、これら特別法の根底に流れる民法を大げさに言えば体感した感じでした。この一般法としての民法と、特別法としての労働法を比較しながら法趣旨を考えたりすることがとても面白く、講義の次の日もあれこれ思いめぐらしてしまうほどでした。例えば以下に挙げてみます。
●民法
第六百二十八条  当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
●労働契約法
第17条  使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない
両者を比較するとよくわかるように、労働契約法は「やむを得ない事由がなければ」有期労働契約の期間途中の解除はできないとなっているため、一般法の民法よりより厳しい特別法として存在するわけです。
子が出生した時点の問題も先生から問われましたが、胎児もかなり話題になりました。
●民法
第八百八十六条  胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
●労災法
第16条の2,2項 
 労働者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、前項の規定の適用については、将来に向かつて、その子は、労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していた子とみなす。
「将来に向かって子とみなす」というのは本試験のポイントでもありましたが、だてにポイントだったわけではないのだと思いました。民法の相続の規定については胎児ということで既にに生まれているとみなすのに、労災法の遺族補償年金の受給権者として扱われるために必要な生計維持関係は、出生した時に初めて胎児であった時代でも認められそれも将来に向かって子とみなすとしているわけです。
これからもっと色々と勉強したくなりました。自分の息子と同じ歳の先生から「意欲的ですね」と褒められてうれしい私でした。
昨日は7士業無料相談会に行ってきました。正式名称は「渋谷暮らしと事業の無料相談会」ということで、弁護士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、行政書士、税理士、社労士という7つの士業で行う相談会です。それぞれの士業の特徴がなんとなくわかるような雰囲気が醸し出されているように思いました。その後、控室では自分の通信環境の説明会となりiPadの有効な使い方など教えてもらいました。とにかくメモなどすべてデータ化して、出先でもiPadで見るというのを聞いてうらやましくなりました。「これから駆け落ちするみたいだな~」と言われるくらい私は重たいバックをいつも持っているので、これは検討する必要があると思いました。それにしても税理士の先生の元気には見習うものがあると思いました。
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