OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

労働時間の把握の方法(自己申告制について)

2020-02-09 16:30:46 | 労働基準法

労働時間の管理については、従来、労基法41条該当者として労働時間の適用除外とされていた管理監督者や労基法38条の3等により業務の時間配分をゆだねられている裁量労働時間の対象者等も昨年4月から「労働時間の状況把握」をしなければならないと安衛法で定められ、役員以外の会社で働く人全員の労働時間の状況を把握されていると思います。

労働時間については、もともと「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準(平成13.4.6基発339号)」といういわゆる46通達というものが存在していたのですが、平成29年1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が策定され46通達は廃止されています。名前は似ていますが新たに示されたのは「ガイドライン」であり、46通達を詳しくバージョンアップしたものです。(このガイドラインは労基法の労働者を対象としていると思われますので、私見では「管理監督者等の労働時間の状況把握」にはあてはめなくて良いと考えます。)

そのガイドラインの中で「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」が決められており、その方法は以下の通りとされています。

原則として① 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること、又は②タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること、のいずれかの方法によることとされています。

ただこれ以外に、自己申告制が認められていないわけでもありません。ガイドラインには、自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置」として、上記①・②の2つの方法によることなく、自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、使用者は次の措置を講ずることにより自己申告制が定められています。この部分は46通達よりガイドラインの方が詳しくなっています。抜粋すると以下の措置ということになります。

①労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことについて十分な説明を行うこと。

②労働時間管理をする者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。

③把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。

④自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。

⑤使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。

自己申告で労働時間の把握をしている会社さんはまだ多くあると思いますので、その場合は上記①~⑤(本人や管理者への十分な説明、実態把握と補正と確認、上限は決して設けない)の点を実行しながら行って頂くと良いと思います。また、調査では原則の①又は②しか認めらえないという指摘があることがあるようですので、ガイドラインをしっかり理解しておく必要はあるようです。

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf

抜粋箇所は、「4 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」の箇所となります。

さて今週は火曜日にOURSセミナーで無理やり声を出して何とか終えることができたのですが、その後全く声が出ず2つあった研修講師の仕事は事務所のメンバーに代講してもらう情けない状態になりました。耳鼻科に行ってファイバースコープを鼻の奥に入れて調べてもらったところやはり声帯を痛めており、いつもの状態に戻るまで1~2週間かかるということでいまだ声がほとんど出ていない状況です。

1月の毎日新年会、地方出張多数のハードスケジュールもあるかもしれませんし、修士論文を提出し終えて2年間の緊張がどっととけたからかとも思いますが、ここまでひどくなったのは過去にも経験がなくかなり辛いです。健康を損ねた場合の精神的なダメージは大きいことを感じました。色々な打合せや予定もキャンセルや延期をしてしまい顧問先様にもご迷惑をおかけしてしまったのですが、もう少し辛抱してしっかり回復したいと思います。

それにしても、講演の多い社労士仲間で話しているとみんな声では悩んでいますが、事務所にフォローしてくれる人材がいることは本当感謝してもしきれない気持ちです。