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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

任意継続被保険者についての検討

2019-11-24 21:33:57 | 社会保険
任意継続被保険者の見直しについて、社会保障審議会医療保険部会で検討されています。
任意継続被保険者制度は、昭和36年の国民皆保険達成までは、退職に伴う無保険の回避のため、また、平成15年に健康保険と国民健康保険の給付率が7割(一部負担金3割)に統一されるまでは、国保への移行による給付率の低下の防止、が主な目的でした。
その上で、今は「国保への移行に伴う保険料負担の激変緩和が、その実質的な意義となっている。」ということです。
これは、 国民健康保険が、前年所得を算定基礎として保険料が算定されるため、退職後に所得がないにも関わらず、退職時の高い所得に基づく高い保険料額が算定される場合がある、ことによるものです。※ただし、平成22年度より、解雇・雇止め等の場合には、前年の前年の給与所得をその 30/100 とみなして保険料の算定基礎として用いる措置があり、退職事由によっては国保も保険料軽減の配慮がなされています。
 
任意継続被保険者について、①2か月以上の被保険者期間とする加入要件の見直し、②2年間の任意継続被保険者期間の見直し、③保険料の算定基礎について、資格喪失時の標準報酬月額又は保険集団の標準報酬月額の平均のいずれか低い方とすることを、健保組合自治の観点から、規約によりいずれかを設定すること(こちらについては健保組合だけではなく、協会けんぽについても見直しの対 象とすべきとの意見があったということです。)が審議されています。
 
任意継続被保険者制度の意義が薄 れてきていること等の理由から、制度の廃止に向けた当面の見直し案として賛成する意見があった一方、任意継続被保険者制度における国保移行時の保険料負担の激変緩和の意義や、国保財政、事務コスト、有期労働者の保護等の観点から慎重な意見もあった、ということです。
 
任意継続被保険者の現状としては、以下の通りです。
平成22年度から平成26年度までにかけて、協会けんぽ及び健保組合の任意継続加入者(被扶養者を 含む。)の数は減少傾向にあり、平成26年度は約104万人(全加入者の1.6%)となっている。
任意継続被保険者の年齢構成をみると、60歳以上の者が協会けんぽは全体の約7割、健保組合は 全体の約5割を占めている。
上記から、定年退職後の被保険者が高い割合で任意継続被保険者になっていることがわかります。
国保の財政等多方面からの検討が必要なのだと思いますが、定年退職の際の保険料の軽減のためというのは本来の任意継続被保険者の制度趣旨からは少し違うのかとも思われ、今後どのような審議がなされていくのか見ていきたいと思います。
 
令和元年11月21日
第121回社会保障審議会医療保険部会の任意継続被保険者に関する資料は以下の通り。
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000568743.pdf
 
事務所は新たなご依頼を次々に頂いている状況ではありますが、最近は働き方改革も軌道に乗り、残業がとても少なくなったと思います。昨年との比較を出してみることにしたのですが、ちょっと楽しみです。
 
昨日は、ラグビーの早慶戦でした。雨の中の観戦でしたが、早めに行ったため、うまく屋根下の席を確保することができ、久しぶりに楽しむことができました。今年は、帝京大学の9連覇ならず、早稲田と明治の全勝対決ということで楽しみです。