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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

育児休業復帰時に付与される年次有給休暇について

2013-04-21 23:09:35 | 産前産後・育児・介護休業

年次有給休暇というのはいろいろな通達も出ており具体的運用がなかなか難しいものです。

社員の数が増えてくると年次有給休暇も一斉に付与しないと管理がとても大変になるため、一斉付与の日を基準日として決めてその日に労働者全員に年休を付与してしまうことが一般的です。例えば基準日が4月1日だとしたら、本来同年の6月1日に付与すべき日数があったとしてその日数を2カ月前倒しして基準日に付与することにより、労働基準法で定められた年休の付与日数が付与されたことになるという仕組みです。1回前倒しで付与してしまえば、その後は付与日から1年経過日ごとにその年度の基準日に「勤務年数に応じて付与すべしと定められた日数」を前倒し付与すればよいことになります。

育児休業中に年休の基準日が来たがそこでは付与せず復帰時に付与している場合で、その際の付与日数は年度末までの月数等期間に応じて按分付与する時は気を付けなければなりません。例えば4月1日が基準日だとして、10月以降に育児休業から復帰する場合按分付与される日数が少なく設定されている場合があり、法定の日数を下回ってしまうケースが見受けられます。例えばすでに6.5年以上勤務しているため20日付与されるところ育休中であったため年休の付与が凍結されていたなら、復帰した時は必ず20日付与しなければならないわけです。もし復帰が3月1日であと1カ月で基準日が来るという場合でも、その年度の基準日で付与されるべきであった20日が付与される必要があります。年度末まで1カ月であるため(20日/12カ月)×1カ月=1.666・・・≠1.7日付与などでは法定日数に不足します。

なお、育児休業期間中は労働日の労働を免除しているため年休を取得する余地がないとされており、育児休業期間中に基準日がきても年次有給休暇の付与は復帰まで凍結するという運用は構わないと考えます。

労基法では、8割以上出勤した場合に年休の付与要件を満たすと定められていますが、育児休業期間中については「その期間を出勤したものとみなさなければならない」と定められていますので、育休復帰時に8割要件を満たさないということはほとんどないと思います。例えば保育園の入所ができず育休を1年6か月延長して取得した場合、暦によっては育児休業期間中に2回の基準日がやってくる可能性があります。基準日には、前々年に付与された年休は時効消滅しますが、前年に付与されるべき年休は手つかず状態になっていると考えるべきです。育休中2回来た基準日には最高ではそれぞれ20日付与されているはずで、復帰した際は当年度付与分の20日のみではなく前年度付与分と当年度付与分の合計40日の年休の権利を持つということになります。労働日からすると約2か月分となり、結構恵まれていますね。

金曜日に渋谷支部の定期会議が終了し、新たな年度が開始しました。私は総務担当の役員を6年担当していた時期があるのですが、今度総務担当副支部長になった役員が、「これ引き継ぎました」と言って手のひらに乗ったUSBを見せてくれたところが、私が以前つけておいたクマのストラップがそこにあり、懐かしくそのようなものが大事に自分の後既に3代の総務に引き継がれているのかとちょっと感激でした。

あとを繋いでくれる存在があるというのは、今の希望に繋がりとても重要なのだとこの頃思うようになりました。