真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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南北統一「朝鮮人民共和国」を潰した李承晩とアメリカ軍政庁

2022年10月22日 | 国際・政治

 朝鮮総督府の政務総監、遠藤柳作は、1945年8月15日正午、ポツダム宣言受諾を告げる天皇の無条件降伏放送がソウルの市街に流れる日の早朝に、進歩派の民族主義者、呂運亨に日本降伏後の治安の維持を委嘱しています。だから、呂運亨は、遠藤政務総監との話し合い後、直ちに自宅に何人かの指導的人物を召集し、その日のうちに、「建国準備委員会(建準)」を組織することを決定しています。
 その結果、建国準備委員会は、アメリカ軍先遣隊の仁川上陸が二日後に迫った9月6日には、全国の南北各界各層を網羅した代表一千数百名の中心的人物をソウルに召集して、全国人民代表者会を開催し建国準備委員会を発展的に解消して、「朝鮮人民共和国」を国号とする国家の創建と、新朝鮮国民政府の樹立を決議していました。

 でもその時には、アメリカは、すでにソ連対日参戦後のソ連軍の急進撃を受けて、朝鮮半島を北緯38度線で横に割って、米ソ両軍が分割占領し管理することを決定していたのです。それが、アメリカの覇権と利益のためであることは誰の目にも明らかだろうと思います。
 だからアメリカは、南北朝鮮の人たちが一致して決定した「朝鮮人民共和国」の発展を支援するのではなく、それを潰すために李承晩を担ぎだし、多くの反対の声があるにもかかわらず南朝鮮単独政府を樹立したのです。そして李承晩とともに、南北朝鮮の統一と独立を進めようとする人びとを弾圧し、殺害するような蛮行さえはたらいて、南朝鮮を事実上支配下に置いたのです。
 そのアメリカの朝鮮支配の方法は、戦犯の公職追放を解除し、旧支配層戦争指導層)を復活させた日本における「逆コース」といわれるGHQの政策と同じではないかと思います。

 世界的な言語学者であり、哲学者であるノーム・チョムスキーが、ラテンアメリカ諸国に対するアメリカのかかわり方を踏まえて、「アメリカは世界一のならず者国家」と指摘したことが、戦後の朝鮮半島におけるアメリカのかかわり方にも当てはまると思います。

 そういうアメリカの対外政策や外交政策を、いろいろ確認しながらウクライナ戦争を見つめると、バイデン大統領の発言や、アメリカのウクライナに対する関わり方に、数々の問題があると気づくと同時に、ウクライナ戦争に関して、アメリカの関与に目を閉ざし、ロシアの問題ばかりを取り上げる日本のメディアの報道の偏りにも気づくのではないか、と私は思っています。 

  朝日新聞の、10月20日天声人語に、
第75回新聞大会が先日あった。平和と民主主義を守るために「ジャーナリズムの責務を果たす」との決議がなされた。一端を担う者として、かみしめたい。
 とありました。でも残念ながら、日本のジャーナリズムは、ウクライナ戦争の報道に関する限り、ジャーナリズムの責務を果たしているとは思えません。

 最近私は、新型コロナワクチン接種の安全性の問題についても、疑問を感じています。日本の主要メディアはあまり報じませんが、Pfizer社などのワクチンの毒性について、いろいろな専門家の指摘があり、その情報がSNSで広がっているからです。
 また、新型コロナワクチン接種後に死亡した人のことや「新型コロナワクチン被害者遺族会」が結成されたことが、主要メディアで余り報道されないからです。
 輸入したワクチンの接種がくり返されていますが、ほんとうに必要なのかと問うことや、接種後死亡した人たちや重篤な副反応に苦しめられている人たちが少なくないことを問題として取り上げることが難しいのではないか、何かプレッシャーがあるのではないか、と私は疑っています。 

 下記は、「朝鮮戦争 三十八度線の誕生と冷戦」孫栄健(総和社)から、「第4章 南北政権の樹立と一般情勢」の「(一) 揺れ動く南北社会」と「(七) 韓国政府の反共対策」と「(八) 祖国戦線と金九暗殺」を抜萃しました。
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               第4章 南北政権の樹立と一般情勢

               第五節 朝鮮戦争直前の韓国情勢

 (一) 揺れ動く南北社会
 1948年8月15日に南朝鮮地域(ほぼ現在の韓国領域)に樹立されて、同年12月12日の国連総会決議により国際的承認をうけた韓国政府とその社会は、しかし、政府樹立当初から深刻な社会的矛盾を激化させつづけていた。
 すなわち、1945年9月に上陸を行い南朝鮮を占領下においたアメリカ軍は、直接軍政を施行し、その軍政統治を48年8月8日、新共和国が組織され大韓民国政府に行政権を委譲返還するまでの3年間、アメリカ外交政策の主旨と利害のもとにこれを継続した。
 この間、アメリカ軍は日本の戦争経済強行による収奪で疲弊し切った南朝鮮にある程度の経済・物資援助を与えたが、一方では、上陸早々から38度線警戒線の設置、港湾、飛行場、軍用道路、兵舎などの軍事施設を拡張新設し、南朝鮮青年を米式火器により訓練武装させ、軍事的地歩を打ち立てた。また政治的にも、旧朝鮮人統治機構である朝鮮総督府組織の行政・警察機構をその制度と人員ともに継続利用して軍政統治の道具として活用した。また南朝鮮総資産額の80%に達するともいわれた旧敵性資産(日本が収奪した資産)を1946年1月の軍政庁命令によって接収し、それをアメリカ政策の下で運用・配分した。また日本植民地政策の先兵として日本の朝鮮収奪のための国策会社であった東洋拓殖会社は「新韓公社」と名を改めて存続させ、かつての日本に代わる形で、アメリカの強制的支配権が南朝鮮に施行される結果となっていた。

 その結果、旧体制の既得権益層、あるいは旧日本植民地時代に朝鮮総督府等に雇用されていた朝鮮人官吏、朝鮮人警察官等が解放後社会においても公然と復活して社会的主導権を握る経緯となった。また旧時代以来の、地主階級が貧農・小作人を厳しい雇用・小作条件で働かせるという土地所有、社会階級関係の近代化もなされなかった。そのいわば、旧体制(アンシャンレジューム)勢力は、李承晩、金九のような国外亡命から帰還した民族主義運動家をリーダーに祭り上げることによって、アメリカ軍政の与党的立場を確保しながら、右翼勢力として新しく再編される展開となっていた。そして、それは48年8月の大韓民国樹立によって、新国家での右派勢力のみで構成された新政府の支持勢力として、ここで韓国社会における実権を公然掌握する結果なったのである。

 すなわち、1945年8月15日時点において、南北を問わず全朝鮮市民が願望していたのは、旧日本統治時代の社会的不正の是正、あるいは不労地主と貧窮小作人のような土地所有関係に代表される封建的残滓の清算であり、ある意味では新生民族国家としての社会の抜本的改革であるとされた。
 だが、南朝鮮のちの韓国においてはアメリカ軍政の後ろだてにより、旧体制勢力がその基本的制度とともに依然として継続される結果となった。一方、北朝鮮においては、旧体制の清算と土地改革を含む旧社会の抜本的改革は為されたが、それがソ連勢力の濃密な影響下において共産主義勢力単独の権力掌握と反対勢力の排除という形で為されたのである。しかし、経済原理において、共産主義的経済理論での中央集権的な計画経済の手法は、農業的社会から工業的社会への移行を望む段階の初期的な後進諸国にはきわめて有効であり、解放後北朝鮮社会は、南朝鮮社会あるいは48年以後の韓国社会と比較して、着々と社会改革と経済復興が進捗していた。

 (七) 韓国政府の反共対策
 また、韓国においては、すでに米軍政庁時代以来、共産党は事実上非合法化していた。韓国政府の成立後には、その反共政策が一層徹底していた。韓国の各地では、反政府分子の逮捕が行われ、また北朝鮮を賛美し、韓国政府に批判的な新聞数紙も発行を停止させられた。
 特に麗水・順天事件以後には、反体制派を粛清しようとする政府の態度は極めて強化した。李承晩大統領は1948年11月初め、この反乱事件をうけて、政府はまず各学校、中央や地方の政府機関、社会団体の指導者以下男女児童にいたるまで残らず思想調査を行い、反逆思想の蔓延を防ぐ談話を発表した。
 一方、ソウルの首都警察庁は同48年11月5日、非常警戒を行うとともに、社会民主党党首呂運弘、韓国独立党宣伝部長厳恆燮、合同通信社主筆を含む約500名を検挙した。これは11月7日のソヴィエト革命記念日に前後して、暴動を企てているのを探知したためと称されたが、尹致暎内務部長官は1500名の逮捕が予定されていると語り、取り締り、弾圧の大規模なことを示唆した。

 また、麗水、順天の反乱事件を直接の契機として制定され、共産党を完全に非合法化した思想犯弾圧法である国家保安法が施行された48年12月1日以降は、反政府分子の処分はもっぱら同法によって相ついで行われた。
 ソウルでは12月3日の朝、反体制派700名が一斉に警察に逮捕された。また、韓国政府は4日には、政府管轄下の一切の政府機関、団体、銀行、会社から、忠誠ではない左翼分子を一掃することに決定した。李範爽国務総理はこれに基づき、全政府機関が全職員の忠誠調査を行うよう命令を発した。さらに12月7日には、政府は共産分子および反政府分子追放の手を学校にものばし、反政府的な政治信念を抱く教師の罷免を命令した。また、韓国軍参謀長崔秉徳が49年3月3日に発表したところによれば、軍当局は反乱事件以後思想不穏分子を軍隊内から一掃するため、将校170名、兵1026名を粛清したとされた。

 このような、韓国政府の反政府分子に対する取締りは1949年にはいっても引き続き行われた。 
 その主なものとしては、まずソウルの首都警察庁は49年1月3日、過去数日間に右派指導者の暗殺を計画中であったと称して、400名の共産分子を逮捕したと発表した。ついで、ソウルおよび仁川の主要建物に放火し、政府要人を暗殺することにより、韓国の撹乱を謀ろうとした左翼勢力の3月攻勢が発覚したとして、南朝鮮労働党、人民共和党、民主愛国青年同盟等の非合法組織に属する指導者40名がソウル市警察局に逮捕された。また、左翼系の地下新聞2紙が没収された。3月30日、ソウル市警察局長は、ソウル市内で南朝鮮の労働党員をはじめ190名の共産分子を検挙し、目下取調中であると発表した。さらに、メーデーをひかえてソウル市警察局は、4月26日から28日までの間に、朝鮮労働組合全国評議員会系労働者100名を検挙した。8月3日には、ソウルの新聞記者グループが検挙された。これらは南朝鮮労働党に入党していたいわれ、国会、政府、政党、言論界等各方面の情報を出入り記者として収集していたといわれた。

 同49年8月15日の韓国独立一周年記念日に前後して逮捕された左翼分子は、京畿道だけで487名にのぼった。南朝鮮労働党ソウル支部執行委員会の副委員長以下5名は9月16日、逮捕された。そして、警察内で南朝鮮労働党脱退宣言を発表するとともに、南朝鮮労働党は9月20日の全朝鮮選挙ということで武装蜂起の開始を指令していたが、最近の相つぐ検挙旋風で、この計画は実行不可能になったと警察で、転向表明をした。
 韓国政府の法務部が発表しところによれば、韓国の49年1月から9月末までの起訴裁判件数は32,329件で、その8割までが国家保安法違反事件であった。

 (八) 祖国戦線と金九暗殺
 だが一方、1949年5月12日、韓国内の政党および社会団体の8団体は、北朝鮮の民主主義民族戦線中央委員会にたいし、祖国統一民主主義戦線の結成を提唱した。中央委員会は16日に回答し8団体の提唱に応じた。6月25日、祖国統一民主主義戦線結成大会が平壌で開かれ、南北から71政党および社会団体を代表する704名が集まった。大会は、祖国戦線の綱領を決定したが、それは平和の方法で祖国統一を解決すると述べていたが、李承晩政権の打倒も明確に打ち出していたものだった。
 だが、この大会に民族主義者の立場から参加していた、かつての中国重慶亡命政府の李承晩主席であり、帰国後は右派の有力指導者として南北協商路線を進んでいた韓国独立党首の金九は、1949年6月26日、平壌での祖国統一民主主義戦線結成大会からソウルに帰ったところを、陸軍少尉安斗煕によって暗殺された。これは一般に李承晩派によるライバルの抹殺と考えられており、この事件には国防長官申性模、憲兵司令官田奉徳がかかわっていたことも当時噂されたが、暗殺者安斗煕は短期の拘束ののち釈放されて、政府当局と軍の保護のもとに、やがて全羅道有数の資産家となることになった。だが、金九暗殺により 、祖国戦線の活動は、早くも大きな打撃を受けた。この祖国戦線による平和統一との宣伝活動は、以後も強力にすすめられ、韓国社会あるいは50年5月30日の韓国総選挙にもある程度の影響(李承晩派72・野党137の逆転)を与えたとみられた。


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ワクチン接種後の真相 (岩田修良)
2022-10-23 16:48:23
 スガ相首相が必死にワクチン接種を始める前 確か接種後の死亡が 1200名前後 それまで女性自身等では 週刊誌で死亡数が発表されてゐましたが パタリと死亡数の公表がなくなりました 箝口令がしかれたのかな さう疑ってゐました
 今 ネットで調べたら死亡数1700余人となってゐます 一回目の接種の頃で 1200名余りですから 今の数値は 私には信ずることができません
 もっと多数ゐる筈だと思ひます
 他方 あるミニコミ紙によれば ワクチン無料配布を拒否したアフリカ諸国は コロナ騒動が発生してゐない こんな記事があり 真相は どうなのか ホントに ワクチン拒否したアフリカの国々には コロナ騒動が起きてゐないのか? 気になってをります
 異心革命の時 廃仏毀釈がありましたが その実態をお大佛次郞が『天皇の世紀』に つぶさに書いてゐますが 強烈に反対したのは 浦上天主教の人達だけだと あきれてゐましたが 日本人には 上からの命令・指令に 素直に従ふことが良識ある国民といふ体質が出来てゐるので この日本人の特性が出て 素直なワクチン接種につながり それが良識ある国民の立居振舞だと 思ひ込んでゐるのだと思ひます
 ワクチン接種の世情を 政治利用絡みでなく 素直に真摯に 真相を探ってゐる人知りたいですね
返信する
ありがとうございます (syasya61)
2022-10-23 20:23:33
岩田修良様

 下記の情報、ありがとうございます。すべて同感です。

ワクチン接種後の真相
>スガ相首相が必死にワクチン接種を始める前 確か接種後の死亡が 1200名前後 それまで女性自身等では 週刊誌で死亡数が発表されてゐましたが パタリと死亡数の公表がなくなりました 箝口令がしかれたのかな さう疑ってゐました

>他方 あるミニコミ紙によれば ワクチン無料配布を拒否したアフリカ諸国は コロナ騒動が発生してゐない こんな記事があり 真相は どうなのか ホントに ワクチン拒否したアフリカの国々には コロナ騒動が起きてゐないのか? 気になってをります

>異心革命の時 廃仏毀釈がありましたが その実態をお大佛次?が『天皇の世紀』に つぶさに書いてゐますが 強烈に反対したのは 浦上天主教の人達だけだと あきれてゐましたが 日本人には 上からの命令・指令に 素直に従ふことが良識ある国民といふ体質が出来てゐるので この日本人の特性が出て 素直なワクチン接種につながり それが良識ある国民の立居振舞だと 思ひ込んでゐるのだと思ひます
 
 きちんと記録しておけばよかったと反省しているのですが、しばらく前、健康な中学生が二人、接種後に亡くなり、接種と死亡の関係は確認できないという専門家の見解が示されたという報道がありました。私は、何かおかしいと感じました。なぜ死亡したのか、専門家が分からないはずはないと思いました。断定はできなくとも、死因は示せるのではないかと思ったのです。
 また、重篤な副反応に苦しんでいる人がたくさんいるのに、その原因の追及もきちんとなされていないようにも思います。そして、国としての対応ができていないように思います。海外では専門家や研究グループがいろいろ声を上げているようですが、そうしたことの報道もほとんどなく不可解です。
 ファイザーのコロナワクチンの成分は、大部分が人体にさまざまな影響をもたらす酸化グラフェンであるという情報も気になっています。政府中枢のやることを疑い、声を上げることは大事だと思います。
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