真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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アメリカと中ロの対立は、民主主義と権威主義の対立?

2022年12月16日 | 国際政治

 下記の「日米安保条約関連米政府解禁秘密文書」は、「米政府安保外交秘密文書」新原昭治編訳(新日本出版)から抜粋したものですが、日本は、何とかしてアメリカの桎梏から逃れる方法を考えないと、再び「敗戦」に似たような酷い目にあうのではないかと心配です。

 今日も、NHKを中心とする主要メディアは、国民に反中や反露の感情を抱かせるような報道をしていましたが、その報道内容は、多分独自の取材に基づくものではなく、アメリカからもたらされたものであろうと思いました。報道機関には、最近相当強いプレッシャーがかかっているのではないかと想像しています。
 アメリカは、ロシアや中国にさまざまな制裁を課していますが、共存しようとする姿勢がほとんどないと思います。その中ロに対する制裁の強化や、周辺国に対するプレッシャーの強化は 、中ロの台頭によって、ヨーロッパやアジア地域におけるアメリカの覇権や利益が危うくなっていることを示しているのだろうと思います。
 したがって、制裁の強化やプレッシャーの強化のもっともらしい理由付けは、ほとんど根拠のないもので、本質的にはアメリカ・ファーストの利己的なものであることを見逃してはならないと思います。日本が、アメリカの軍事戦略に従って、「敵基地攻撃能力」などを保有すれば、アメリカがチャンスと判断したときに、先制攻撃をしかけることになる可能性が大きいと思います。

 中国は、アメリカの半導体輸出管理措置に関して米国をWTOに提訴しましたが、そうした対立関係は、アメリカと中ロの争いが、決して民主主義と権威主義の対立などでないことを示しているのであって、日本は何とかして、アメリカのプレッシャーを乗り越え、従属的立場から脱却することが大事だと思います。
 
 下記の抜粋文にあるのですが、かつてアメリカは、極秘に、”在日米軍人の刑事裁判権に関する条項は、最大の難所だったといえよう。結局、北大西洋条約の同種の条項が、NATOで米軍人に関し発効した時点でこれを日本に適用する、それまでの間、在日米軍は米軍人へのほとんど全面的な裁判権を保持するとの妥協が成立して、解決をみた。しかし、実際には秘密了解ができ、日本側は大筋として裁判権の放棄に同意しているのである。”などと、日本に対する不当な対応を前提にして、情報のやり取りをしていたのですから。 
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                 Ⅰ 日米安保条約関連米政府解禁秘密文書        
《1》 国務省情報報告書『日本側の日米安全保障取り決め改定の要望』(国務省極東調査部作成【1957年1月22日付 国務省情報調査局「情報報告」第7421号】

  ◇報告書はしがき◇略
 一 はじめに
 日米両国の軍事関係は、安全保障条約および同条約と一体の行政協定(後の地位協定)を基礎としてできている。この日米関係に、日本は不満を抱いている。それは、そういうことになった状況の結果としてであり、またその特徴が不平等なもので、日本を対米従属の地位においたとみなされているせいである。在日米軍の駐留、米国の目的といった問題については、大衆はちょっとのことで興奮しやすい。そこで、保守の指導者たちでさえ、「調整」や「改定」が必要だとのべる始末である。もっとも、そうはいっても、条約や協定のどういう修正が必要かという具体的提案をしているわけではない。今後、日本は日米安保条約、行政協定で取り決められた関係を大幅に変えようと、まちがいなく強く迫ってくるだろう。
 この関係で予想されることだが、日本政府は、このほど締結されたソ連軍駐留に関するソ連・ポーランド協定を、入念に読もうとするのではなかろうか。同協定は第二条で、ポーランドに駐留するソ連軍の兵力規模を両国合同で決定すること、基地区域外でソ連軍が行動するさいその都度ポーランド側の同意が必要なことを規定している。日米間の条約・協定には同種の規定がないので、日本側は将来、交渉の場で持ち出すかもしれない。
 日本政府スポークスマンが具体的な改定を提案していない段階で、現につづいている安保問題での日本の不満の背景を知るには、どんな状況下で日米安保条約と行政協定が締結されたかをふりかえるのがいい。
 安保条約の起草は、のちに1951年、対日平和条約の締結でおわりをつげた多国間交渉と、時間的に並行してすすめられた。安保条約の条文は、1951年9月8日のサンフランシスコでの調印までは、ごくわずかの日米両政府関係者以外、だれにも知らされていなかった。もちろん、一般の国民はその内容を知る由もなかった。吉田首相だけが日本代表として調印したのも、、残りの日本側全権大使は条約の内容を知っていなかったからだった。日本政府関係者も国民も、日米安保条約はある意味で、強制が生みだした産物だと考える傾向がある。そう考えるのは、日米安保条約交渉を特徴づけてきた秘密のせいであり、安保条約が占領時代に締結されたという事実のせいでもある。
 行政協定の締結交渉は、1952年2月、国務省のディーン・ラスクと陸軍省のアール・ジョンソンを責任者とする特別使節団が、東京でおこなった。米政府筋は非公式に、もし満足できる行政協定が仕上がらないなら、ワシントンとして平和条約と安保条約の発効を認めるわけにはいくまいと、報道機関に語ったこともあった。当然、日本側関係者は、時間の圧力を思い知らされ、明白な強制の低意を重ねて感じさせられたのだった。行政協定交渉は約四週間行われ、最後に一致点に達した。在日米軍人の刑事裁判権に関する条項は、最大の難所だったといえよう。結局、北大西洋条約の同種の条項が、NATOで米軍人に関し発効した時点でこれを日本に適用する、それまでの間、在日米軍は米軍人へのほとんど全面的な裁判権を保持するとの妥協が成立して、解決をみた。しかし、実際には秘密了解ができ、日本側は大筋として裁判権の放棄に同意しているのである。行政協定交渉では、有事のさいの手続きも、むずかしい論議になったが、リオ条約を参考にした。より一般的規定にすることで一致をみて終った。
 二 日本の不満
 今日、日本人が日米安保条約と行政協定の内容に対して抱いている不満のおもなものは、以下の通りである。
[A] 相互性の欠如
 日米安保条約第1条は、日本国内とその付近に米軍が駐留する権利を、日本が許し、米国が引き受けるむね規定しているが、これは韓国や中華民国〔台湾政権=訳者〕との条約と類似のものである。少なからぬ日本の政治家が、米国は日本を基地として使用する権利をもっているのに、日本にはなんらの見返りも与えられていない、といっている。ダレスは上院に日米安保条約承認を求めるにあたり、米国はこの条約で日本に何の約束もしていないと強調したが、それを問題にしているのだ。日本がもし攻撃を受けたら、米国が日本を守ることは現実問題として確かなことだと、何人もの米国の指導者がのべてきた。だが、日本側は、米国にもっときっちりとした約束をしてもらいたいと考えている。日本国憲法が軍事力保持を禁止しているので、米国としては相互主義にもとづく約束はできないし、この相互主義が認められない場合、議会での承認は絶対不可能というわけではないが、非常にむずかしい。そのことは、折にふれて、日本側に伝えてある。

 [B]存続期間
米国が締結している他の安全保障条約では、一方的通告の1年後に脱退することができる。これにたいし、日米安保条約では第四条で、日本区域における国際の平和と安全の維持が国際連合の措置もしくはこれに代わる安全保障措置によって満足できる程度に守られていることに、双方が同しない限り、条約の効力はつづくむね規定している。日米安保条約の存続期間が無限で、脱退の自由もなく、相互主義も保障されていないことにくわえて、極東での米国の目標にたいし無知であることも手伝って、日本の指導者は恐れを抱いている。いまはアメリカだけに不当に有利で、将来いっそう厄介なものになりそうなしがらみに、限りなく長期間まといつかれるのではないかという恐れである。

[C]核兵器ならびに、報復攻撃を招くことへの日本人の恐れ
 日米安保条約のもとで日本と協議しないで、核兵器を持ち込む権利を与えられていると、米側ははっきりのべてきた。これにたいし、日本の政府も報道機関も大衆も、幾度となく深い憂慮を表明してきた。日本側のもう一つの憂慮は、米国が協議抜きで在日基地から核兵器を使用できるという立場をとっているのではないか、という点にある。この問題で、安保条約の規定はあいまいである。米国は、日本側の恐れをできるだけ少なくするよう努めている。同時に、核兵器の導入(イントロダクション)や核兵器使用に先だって協議をおこなうという約束も、いっさいしないようにしている。この問題は、日本における米軍飛行場滑走路延長への反対行動の背景に横たわっている問題であり、極東で危機的状況が発生したら、まちがいなくきわめて深刻な問題に発展しよう。日本人がだれでも嫌い恐れているのは、国土がふたたび攻撃の目的にされることである。極東で敵対行為起きた場合、もし米軍が在日基地を利用したら、たとえ敵対行為の直接の当事者でないときでも日本には報復攻撃が加えられるのではないかと、日本人の多くが不安を感じている。

 [D]基地
 平和条約調印直後、日本国内では米軍があまりにも多く軍事基地を持ち過ぎているという厳しい憤りが、しばらくのあいだひろがった。米軍がが接収した土地面積は、日本の主な四つの島の中で最小の四国全体に匹敵すると非難され、そうひろく信じられた。やがて、この非難は大幅に鎮静化した。米軍がだんだん土地を手ばなし、大都市の高級不動産物件から出ていったためである。

 [E]行政協定
 行政協定は、合衆国軍隊の構成員、軍属、家族の出入国手続き、輸入、PX、税関、通貨の特権に関し、NATO地位協定や米国・フィリピン基地協定よりも大幅な免除措置を規定している。日本の政府当局者はこの問題に関心を払ってきたが、大衆的な反対運動を誘発しているようには思えない。とはいえ、普通の日本人が税負担や生活水準の格差に注意を向けている。米軍の特権が問題にされるとき、これが憤激をまきおこす種になっていることも時々ある。米軍人が以前、もうけのために米国製自動車を勝手に輸入し販売した事件が、敵意を含んだ多くの批評のネタにされたこともあった。
 行政協定第十二条の内容は、NTO地位協定の第九条と同種のものである。在日米軍に代わって日本政府が雇用している日本人の労働条件の細目は、「基地労務契約」によって律せられている。同契約は、1952年に失効したが、それ以降は新契約の交渉が行われている間、1ヶ月毎の単位で更新されている。契約案の内容は、在日米軍と全日本駐留軍労働組合との係争の争点になっている。

 《付表》
 略
 

 


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