FXと暗号資産(Crypto)とゴールド(金)についての随想です。コメント欄は承認制になっています。
やまはFX・Crypto



今回は日本の政局がらみでドル円が大きく動いた。珍しいことである。これについては2説があるようだ。ひとつは、これは非常に珍しい、偶然的なことで、今後も相変わらず日本の政局はあまり為替には影響がないだろうという説。もうひとつは、今回は違う、この選挙およびその後の政権の経済政策は為替(特にドル円)に大きな影響を与えるだろうという説である。
 
私はいくつかの理由から後者をとりたい。その理由を二つにまとめて、以下に述べてみよう。まず、今回の政局が従来のコップの中の嵐的なものではなく、戦後長く続いた旧来の自民党政治からの大きな転換になると思うからである。古い自民党政治とは、それを補完する社会党とがお互いの阿吽の呼吸の中で、アメリカに与えられた枠組みをうまくこなしていく政治であった。しかし東西冷戦終結と、新興国勃興の影響によって、日本でもその枠組みが機能しなくなり、そこで民主党への政権移行が起こった。しかし、その状態は過渡的なものだろう。ここしばらくの不安定な小党の割拠の時代を経て、今回そして、次の選挙等を通して、次の体制が作られていくものと思われる。日本の対外的な姿勢にも変化がある。為替もおそらくそれらに連動して変化していくものと思う。戦後360円から始まった円高の流れはおそらくここで打ち止めとなり、次に長く続く円安トレンドのサイクルが開始されたと考えられる。つまり、為替の長期トレンドと、日本の政治体制転換とが連動して動きつつある時、それが今なのではないか?
 
次にもうひとつやや中期的な問題をあげよう。現在のデフレ・円高は、やはり政治の体制に一部責任がある。これが変化すれば、インフレ的な方向への政策のやりようはあると思う。また、それは世の中から求められているものだろう。(ちなみに、私はハイパーインフレ等は今の日本で起こらないと考えている。)
 
2009年2月刊行の若林栄四氏の著書『2019年までの黄金の投資戦略』で以下のような記述がある。(211ページ)

「2013年以降、日本の株価は再び上昇トレンドに入ってくる。背景はインフレである。2011年、2012年とデフレが続き、世の中的にはインフレ政策を求める声が高まっていく。新しい日銀総裁はインフレターゲット論者。その結果徐々に日本経済の物価は上昇し始める。(中略)懸念材料としては、日銀が極めて頑固者で、この期に及んでも一切、インフレ政策を受け容れないということだが、おそらく世論的にそれは許されないだろうと考える。少なくとも2012年までのデフレ局面で、日本国民は塗炭の苦しみを味わうことになるだろう。そうである以上、デフレ政策が継続されることは歓迎されず、インフレ政策を求める声がたかまっていくはずだ。」

この記事執筆の時期は、リーマンショックさめやらぬ中で、前年の秋にオバマが大統領に就任した頃である。なかなか良い予測ではないだろうか?このような流れに実際になっているものと思われる。

まだ短期での紆余曲折はあるものの、中期・長期での円安は、日本の今後の政局と密接に関係しつつ進んでいくものと考えている。




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