少し前と客観情勢はほとんど変わっていないのに、どんどんとユーロ・豪ドルが買われるのには驚くばかりであり、相場を動かす主な原動力は、経済の客観的情勢よりも、むしろ市場参加者の心理であることを如実に表している。
ここまで上がってくると、もうこれで大きな下げはないのではないか?という疑念が湧いてくるのも事実である。そういう質問をまわりで受けることも多いのであるが、それについて考えてみよう。
経済の基礎的条件からはなんとも言えない部分が多い。確かに欧州は不安であるが、なんとかなると言われればそうであり、決定的条件というものはない。それはアメリカも同じである。
まだまだLIBORも高止まりしており、いろいろな不安はある。とはいえ、とりあえず市場の危機的な心理は解消している。
テクニカル的には、株価(S&P500)が上昇ブレークしており、まだ上を目指しそうだ。当面すぐに下げそうな気配はない。また、GSRやGPRも下げ気味ではあるので、景気回復傾向を示しているが、といって決定的なものでもない。
ただ、私として、まだこの先の下げがあると信じている一番重要な証拠としては、やはり、株金レシオ=ダウゴールドレシオをあげておきたい(画像は日足)。現在6.9あたりであるが、いまのところ7.0あたりにレジスタンスがある模様だ。今のレンジに落ちてくる前には8.0あたりにサポートがあった模様であり、まだそこまでは戻っていない。2000年代初期から、ダウゴールドレシオは単調に下降しており、逆行する場合も、前段階のサポートまで戻った例はない。したがって、この後、もしダウゴールドレシオが8.0を超えて上げていくようなことがあれば、今回の危機の重要な部分は終わって、ドル円の大底もすでに通過したという可能性が出てくるだろう。ドル円のサイクルからは、2011年夏から2012年初頭あたりはいつでも長期大底をつける可能性のある時期である。その点には注意していきたい。
ということで、今という時点では、まだこの先の下げがあるという可能性が高いと思う。しばらくは様子見に徹したい。
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