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美術散歩 印象派から抽象絵画 ブリジストン美術館

2008-09-27 | ア-トな話し
2008年 7月19日(土)-2008年10月19日(日)
所蔵作品による展覧会である。

オーギュスト・ルノワール
《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》
この美術館自慢の一点。
ここのティールームにも、その名前がついています。
「Georgette」(ジョルジェット)

ジョルジェットは当時4才。おませなお嬢ちゃん。「私って美人でしょう...」というような感じがいいですね。
ルノワール特有の色遣いです。
シャルパンティエは、ルノワールの有力な後援者だから思いっきり可愛く描いたのかも。
絵を見る者が楽しくなるような絵を描く。それがルノワールなのだ。



パブロ・ピカソ
《腕を組んですわるサルタンバンク》

この美術館は6年程前にも訪れたことがある。
そのあと、メトロポリタン美術館展(京都市美術館)でピカソの「白い服の女」を見て感動しました。ここ
ほぼ同じポーズで男と女、赤い服と白い服。
両方並べて見るという機会はやってこないと思うけれど。印象的な二つの絵です。

今回、この絵の前には、椅子が一脚置いてました。
同じような格好で座ってみてという美術館側の作戦かも知れない。(笑)
座ってじっくり見ました。閉館前なので空いていて良かった。




ポール・セザンヌ
《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》

何回見てもいいですね。



藤田嗣治
《猫のいる静物》

いい感じです。



ワシリー・カンディンスキー
《二本の線》

いいね。ここらくらいまでが抽象絵画の理解出来る範囲(笑)

他には、フィンセント・ファン・ゴッホ《モンマルトルの風車》

とにかく幅広くコレクションしているので
誰が来ても満足して帰る事が出来る美術館です。

今回唯一残念だったのは

ジャコメッティの作品に再会出来なかったこと。
次のお楽しみにしておこう。
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出光コレクションによる 近代日本の巨匠たち

2008-09-27 | ア-トな話し
出光美術館
2008年9月6日(土)~10月26日(日)

出光美術館については、こちらも参考に(ルオー展)


今回の注目は、何といってもこれ。

絵唐津丸十文茶碗 桃山時代の作
高9.0 径14.3 底径5.6cm 出光美術館所 蔵

出光興産の創業者である出光佐三氏のやきもののコレクションは、古唐津から始まった。その記念すべき第一号が写真の「絵唐津丸十文茶碗」。
昭和14(1939)年にこの茶碗と出会い、その素朴さ、素直さに心を打たれたとのこと。
昭和41(1966)年に出光美術館を開館したきっかけの一つは、この古唐津コレクションが散らばらないようにと考えてのことだった。
手にスッポリはまりそうな頃合いの大きさ、丸に十の文字は薩摩の島津家の家紋を思わせるが、多分、単なる窯印、又は意図したデザインか?

唐津焼とは、桃山時代から、佐賀県や長崎県など肥前各地の窯で生産されてきた陶器のことをいい、そのうち、草創期の桃山時代から江戸時代初めに作られた唐津焼のことを、特に「古唐津(こがらつ)」と呼んでいる。

最初の唐津焼は、朝鮮から海を渡ってやって来た陶工達を中心に始まり、名も知れぬ、しかしもの凄い腕前をもつ陶工たちが、生計のためにただひたむきに作り上げた物だった。飾らない、清々しさから、茶の湯、懐石膳の皿や鉢、ぐい呑の逸品として有名。

今回は、隣に「絵唐津写し十文茶碗」が並べて展示されている。
あの川喜田半泥子の作である。
「絵唐津丸十文茶碗」に惚れ込んだ川喜田半泥子が譲ってもらえないかと申し入れたが断られた。せめて模写させてくれと頼んで作った作品。
その後、出光が入手。
どういう経緯か不明ながら、こうして並んで展示されているのを見ると、複雑な気持ちになりますね。
残念ながら、写真はない(いつか手に入れたいと思うが)。
模写とはいえ、図柄の丸に十の文字は似てなかった、川喜田半泥子も芸術家だ、作品の本質を模写したのであろう。

川喜田半泥子(かわきたはんでいし:1878~1963)は、伊勢商人川喜田久太夫家十五代の長男として生まれた。
三重県津市に住み、百五銀行第六代頭取他の要職に就くとともに、書画、茶の湯、俳句、写真など実に多彩な趣味を持っていた。
作品は、実家を改造した石水(せきすい)博物館(三重県津市)で見ることが出来る。

2005.6に私も往訪したことがあります。
常設展には英語のフレ-ズを漢字にして、書でそのイメ-ジを表すという面白い試みもあった。
How are you? を漢字で、"波和遊" 。うまいですね。



東山魁夷「春梢」
幻想的な風景画です。初公開とのこと。
いつもの東山魁夷らしくない画風です。
多分ヨーロッパのどこかでしょう。


今回、上村松園、田能村直入、冨岡鉄斎、佐伯祐三、小杉放菴、月岡芳年等の作品が展示されています。
出光コレクシヨンだけの展示なので、迫力不足は否めない。

佐伯祐三「踏切」もありました。
先日、大阪市立美術館で、佐伯祐三は一杯見たところです。
没後80年記念 佐伯祐三展  -パリで夭逝した天才画家の道-




 
上村松園「灯」
いつもながらの素晴らしさ。これも初公開とのこと。

上村松園と言えば、松伯美術館です
上村家三代の画家の作品を展示しています。上村松園、息子の上村松篁、その長男の上村淳之。

ルオー展の時と違い、ご年輩の方が多いので、皇居を眺められる休憩コーナーはなかなか空きませんでした。
無料のお茶を頂きながら、ボーと皇居を見る。最高に心が休まります。







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ジョン・エヴァレット・ミレイ展 Bunkamuraザ・ミュージアム

2008-09-27 | ア-トな話し
2008.8.30~10.26

ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-1896年)は、11歳という史上最年少でロイヤル・アカデミーへの入学を許可された天才。日本で初めての本格的な回顧展。
テート・ブリテン、ゴッホ美術館、北九州市立美術館を巡回し東京へ来た。

「テート.ギャラリー」はロンドンに2館、他にイギリスに2館ある美術館グループである。

所蔵作品の代表は、この「オフィーリア」

今回、それがやってきた。美術館側も力が入ってます。
日本初、世界初とも言える、ジョン・エヴァレット・ミレイをまとめてみる作品展。


ここでオフィーリアの勉強です(笑)

シェイクスピアの『ハムレット』に出てくるオフィーリアは、ハムレットの恋人でポローニアスの娘です。

デンマーク王が急死した。王の弟クローディアスは王妃と結婚し、跡を継いでデンマーク王の座に就く。父王の死と母の早い再婚とで憂いに沈む王子ハムレットは、従臣から父の亡霊が夜な夜な城壁に現れることを知る。亡霊に会ったハムレットは、実は父の死はクローディアスによる毒殺だったと告げられる。

復讐を誓ったハムレットは狂気を装う。王と王妃はその変貌ぶりに憂慮するが、宰相ポローニアスは、その原因を娘オフィーリアへの実らぬ恋ゆえだと察する。
父の命令で探りを入れるオフィーリアをハムレットは無下に扱う。
やがて王が父を暗殺したという確かな証拠を掴んだハムレットだが、王と誤ってポローニアスを殺害する。オフィーリアは度重なる悲しみのあまり狂い、やがて溺死する。

ハムレットの話は、まだまだ続くのですが....。

この絵は、悲しみのあまり狂って溺死するところなのです。

狂ってる顔がすごい。沈みゆくスカートもすごい。
そして対象的な周りの景色、ひとつのひとつの花のリアリティーがすごい。
ここでは、花も、人も主役なのです。
いくら見ていても、あきることのない絵です。

あの夏目漱石がこの絵に出合ったときの感想が名作「草枕」に書かれている。

"余が平生から苦にしていた、ミレーのオフェリヤも、こう観察するとだいぶ美しくなる。何であんな不愉快な所を択んだものかと今まで不審に思っていたが、あれはやはり画になるのだ。水に浮んだまま、あるいは水に沈んだまま、あるいは沈んだり浮んだりしたまま、ただそのままの姿で苦なしに流れる有様は美的に相違ない。それで両岸にいろいろな草花をあしらって、水の色と流れて行く人の顔の色と、衣服の色に、落ちついた調和をとったなら、きっと画になるに相違ない。(中略)ミレーはミレー、余は余であるから、余は余の興味を以て、一つ風流な土左衛門をかいて見たい"

この話や、絵に描かれた花と、その花言葉の説明。この絵のモデルのエリザベス.エレナ.シダルのエピソード、そして彼女が33歳の若さで自殺することも。
これらの事が会場入り口にある、「出品リスト」に書かれています。主催者の意気込みの伝わるリストです。




マリアナ

詩からイメージして描いた作品。
婚約者アンジェロに捨てられ、絶望の中で孤独な生活をおくる女性を描いている。

日常のヒトコマを覗いたような不思議な気持ち。
けだるいような悲しみが伝わってくる絵です。



初めての説教

ミレイの当時5歳の長女エフィーがモデル。
信徒席にしゃちこばって座り、礼拝にふさわしい振る舞いをしようと懸命に努める様子。一生懸命な可愛さが伝わります。


二度目の説教

教会での説教にも慣れてきた様子が窺えます。
前の「初めての説教」と対になってる作品。
行儀が悪くなったのだけれど、可愛い、思わず笑みが出ますね。



露にぬれたハリエニシダ

幻想的というか抽象的な絵です。
近寄ってじっくり見ても、絵の中に劇的な物は、何もない。
一歩下がって全体を見る。
樹木を照らし出す陽の光が見事です。



《ハートは切り札:ウォルター・アームストロングの娘たち、エリザベス、ダイアナ、メアリーの肖像》

スカートの襞、左後方の花、右後方の東洋的な描写。手を抜かないミレイをたっぷり楽しめます。
3人の個性的な表情が楽しい。
肖像画。注文したのは親のウォルター・アームストロング。
娘達の結婚に結びつけばという親心なのだろう。
ウォルター・アームストロングは、数年後に破産し、この作品も売却するのだが、幸いにも、真ん中のダイアナの夫に引き取られた。

素晴らしい作品の数々に出会えます。


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