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劇場版コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―   (扶桑社文庫)

2018-08-15 | 心に残る本
劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命―の映画のブログは ここ


シリーズ累計32万部突破! サードシーズンが大きな話題を呼んだフジテレビの大人気ドラマシリーズ『コード・ブルー』

累計32万部突破の大人気シリーズの最新刊! 全国東宝系にて公開の『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命―』のノベライズ本です

3週間後に、藍沢はレジデントとしてトロント医大に派遣され、緋山は周産期医療センターへ―。藍沢、白石、緋山、冴島、藤川は、これが「別れ」を意味することに気づきながらも、多忙な日々を送っていた。そんなある日、旅客機が乱気流に巻き込まれ多くの乗客が負傷する大事故が発生し…。次々と襲ってくる困難に向き合いながら、彼らは命の尊さ、仲間や家族の存在について、改めて考えさせられる。そこで導き出された答えは…。シリーズ最大のスペクタクルで送る感動巨編!





映画のキャラクター紹介

左上より。


•藍沢耕作(山下智久)・・・フライトドクター。自他共に認める高い技術と向上心を持つ。フライとドクターとして幾多の過酷な現場を経験する傍ら、脳外科医としてもキャリアを重ね、世界屈指の症例数医療水準を持つトロント医大のレジデントに推薦される。


•白石恵(新垣結衣)・・・フライトドクター。翔北救命センターを束ねるスタッフリーダー。自分のことは二の次に、常に周りの事を考えるそのやさしさでフェローたちを導き、災害現場では率先して指揮を取るが、日々自らのリーダーシップに悩んでいる。


•緋山美帆子(戸田恵理香)・・・フライトドクター。プライドは高いが、誰よりも患者の心に寄り添う情の厚さを併せ持つ。周産期医療センターの医局長として推薦されるが、自らのキャリア、恋人との将来、後輩フェロー指導への思いが交錯し、進むべき道を迷っている。


•藤川一男(浅利陽介)・・・フライトドクター。お調子者で、翔北救命センターのムードメーカー。フェロー時代は劣等性だったが、今では勇敢なフライトドクターとして救命になくてはならない存在に。結婚式を間近に控え胸を躍らせているが、妻の冴島や藍沢達からは冷めた反応を取られている。


•冴島はるか(比嘉愛未)・・・フライトナース。豊富な医療知識と高いスキルを持つ。大切な人を失う悲しみを経験するもそれを乗り越え、自らをそばで支えてくれた藤川と結婚し共に人生を歩む。末期がん患者の未知が結婚を目前に控えていた事を知り、どのように彼女の力になるべきか迷う。


•名取颯馬(有岡大貴)・・・フライトドクター候補生。総合病院の院長を父に持つ。初めは医療への熱意に欠けていたが、緋山ら先輩ドクターの真摯な思いに触れ、次第に医師としての自覚が芽生えていく。しかし、自らのせいで緋山が次のステージへ進めなくなっていると思い責任を感じている。


•灰谷俊平(成田凌)・・・フライトドクター候補生。真面目でやさしい性格だが、自分に自身が持てずコンプレックスを感じている。自らの不用意な発言でドクターへリ着陸失敗事故を引き起こし、PTSDを発症。ヘリに乗ることができなくなってしまう。


•横峯あかり(新木優子)・・・フライトドクター候補生。明るく物怖じしないマイペースな性格、医療ドラマの主人公に憧れ医者の道を志す天然キャラで、時に落ち込んでいる同期フェローたちを励ますなどやさしさも持つが、家族との再会で葛藤する雪村の気持ちに寄り添うことができない自分に無力さを覚える。


•雪村双葉(馬場ふみか)・・・フライトナース。劣悪な家庭環境から抜け出し、一人で生きていくために看護師を志す。プライドと向上心が強く、つい無愛想な態度を取るが冴島の仕事への姿勢に心を打たれ、変化していく。長年遠ざけていた母が急患で運ばれ、病院で再会する。


•新海広紀(安藤政信)・・・脳外科医。脳外科医として高いスキルを持ち、藍沢に対抗心を燃やしライバルとしてしのぎを削るが、自らの功名心から患者を巻き込んでしまった経験をきっかけに、命を救うことの本当の意味を見つめ直す。


•西条章(杉本哲太)・・・脳外科部長。藍沢と新海をライバルとして競わせ、彼らの成長を後押しする。救命に戻った藍沢の成長を認め、トロント医大への推薦を決める。


•橘啓輔(椎名桔平)・・・救急救命部部長。翔北救命センターの部長として、スタッフたちを時に厳しく、時に叱咤し見守る。息子の優輔は難病の拡張型心筋症を患うも、心臓移植が成功し一命を取り留めた。海ほたるへのフェリー衝突事故により、脳死判定を受けた少年の家族と向き合うことに。


• 杉原剛志(平坐生成)・・・海ほたるへのフェリー衝突事故に巻き込まれた青年。船内で、かつて虐待をうけていた父親と10年ぶりに再会するが・・・。


•緒方博嗣(丸山智己)・・・ミシュラン一つ星を獲得した一流の料理人だったが、事故により両腕が不自由になる。翔北病院に運ばれたことがきっかけで緋山と出会い、やがて恋人になるが、近頃はうまくいかない日々が続いている。


•岩田彰生(新田真剣佑)・・・未知の元婚約者。結婚を目前に控えていたが未知の病気が発覚し、以来彼女を支えきれずに逃げ出してしまっている。


•富沢未知(山谷花純)・・・翔北救命センターに運び込まれた女性。末期の胃がんに冒されており、人生最後の旅行と思い乗り込んだ航空機も乱気流に巻き込まれ怪我を負い、成田空港で藍沢達に救助される。


•雪村沙代(かたせ梨乃)・・・双葉の母親。双葉の姉の若葉と暮らしていたが、長年のアルコール依存症により大怪我を負い、翔北救命センターに運びこまれる。
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龍馬伝

2010-07-10 | 心に残る本
NHKの大河ドラマです。

毎週楽しみに観ています。

ドラマの謳い文句は

名もなき若者は、その時「龍」になった。

幕末史の奇跡と呼ばれた風雲児・坂本龍馬33年の生涯を
幕末屈指の経済人・岩崎弥太郎の視線から描く、オリジナル作品。

龍馬伝 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー) は大分以前に買った。

最近買ったのが、その後編だ。



この本の表紙とそっくりなのがある。



こちらはJRの駅にある。

本屋で見つけても、自分がすでに持ってるように勘違いしてしまう(笑)

JRに置いているこの冊子はなかなかの優れものです。
**まだ あると思います***

龍馬ゆかりの地の案内が丁寧。

高知、安芸、鞆の浦、下関、長崎、京都伏見、京都洛中、神戸。

いつか行かねばと思ってしまう。

龍馬に関する本は、今本屋に一杯あります。どれを読むか悩んでしまいますね。

龍馬の最大の謎は「暗殺」です。

何故暗殺されたのか、誰が殺したのか、指示したのは?
謎ばかりですね。

この暗殺事件は、近江屋事件と言います。

幕末の慶応3年11月15日(1867年12月10日)に
坂本龍馬と中岡慎太郎が京都河原町近江屋において暗殺された。

京都見廻組を実行犯とする説が最も有力である。

近江屋事件から5年、この事件の再捜査を、邏卒(警察官が巡査と呼ばれる前に用いられていた呼び方)・鬼木寛次郎がある人物から依頼される。なぜ今ごろ……。

とまどいながらも真相を追い求める寛次郎の前に、意外な人物が現われて彼の行く手を阻む。

たどりついた真犯人とは?
竜馬暗殺の黒幕を暴く歴史ミステリー小説です。


「竜馬暗殺」推理帖 (PHP文庫)

稲葉 稔 (著)

事件後5年後と言う設定が面白い。関係者も生き残っている人も多いので事件調査のために訪れる。

難しいテーマなので、事件としてはスッキリしない。
龍馬ファンなら一読の価値がある。



我が家の本棚にあった本。1994年発刊なので、本屋さんにはないかもですが・・・

坂本龍馬 
物語と史蹟をたずねて

八尋 舜右 著

なかなか面白い内容。

龍馬の初恋の人とも言うべき、加尾は、前土佐藩主山内容堂の妹・友姫が三条公睦に嫁ぐ際に友姫の御付役として上洛し、以後文久2年(1862年)まで三条家に仕えた。
慶応2年(1866年)土佐で西山志澄(にしやま ゆきずみ)と結婚。西山志澄は波乱の人生を送るが、1898年(明治31年)第1次大隈重信内閣では警視総監を務めた。

エピソードが豊富です。

龍馬の姉、栄の話も出てきます。脱藩の手伝いをして、その後自殺した人です。
異説もあるようです。

天誅組の話もあります。
そうです、先日奈良の五条を訪れた時に展示に出会いました。

史蹟案内とエピーソードも豊富な好著です。ブームに乗って復刊されるかもです。


当時は、激動の時代でした。

多くの若者が、日本のためにと意気込んでいたのです。

動機も違ったでしょう。目指す方向も違ったでしょう。

結果、歴史的には評価されない生き方、死に方もあったでしょう。

でも、いいじゃない。

そんな時代に、精一杯。生きたというのが。

それが、このドラマの面白いところです。

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古寺巡礼 和辻哲郎

2009-10-25 | 心に残る本
お寺をいろいろと参拝している人が、いつかは読んでみたいと思う(多分-笑-)本です。
それくらい有名な本です。
著者の和辻哲郎(1889年3月1日 - 1960年12月26日)は、『古寺巡礼』などの著作で知られる日本の哲学者、倫理学者、文化史家、日本思想史家。

本の紹介は、こんな具合である。
大正七年の五月,二十代の和辻は唐招提寺・薬師寺・法隆寺・中宮寺など奈良付近の寺々に遊んだ際,飛鳥・奈良の古建築・古美術に相対し,その印象を若さと情熱をこめて書きとめた.鋭く繊細な直観,自由な想像力の飛翔,東西両文化にわたる該博な知識が一体となった,みごとな美の世界がここにはある。

本は1919年に出版されている。文庫本は、その後に出版され1979年が初版。
私が買ったのは2009年4月8日の第54刷である。
表紙は、入江泰吉さんの写真。

名著と言うことは名文なのです。
仏像、建築、イメージ豊かに、文章が流れ、心に染み入ってくる心地よさ…。
決してガイドブックにはならないけれど、心のガイドブックです。

その一部をご紹介したい。そして自分としてもまとめてみたい。

いろんなお寺が出てくるが、やはり「薬師寺」かな。

私の薬師寺参拝記はこちら



金堂本尊 薬師如来(国宝)

「雄大で豊麗な、柔らかさと強さとの抱擁し合った、円満そのもののような美しい姿は、自分の目で見て感ずるほかに、何とも言いあらわしようのないものである。

胸の前に開いた右手の指の、とろっとした柔らかな光だけでも、われわれの心を動かすに十分であるが、あの豊麗な体躯は、蒼空のごとく清らかに深い胸といい、
力強い肩から胸と腕を伝わって下腹部へ流れる微妙に柔らかな衣といい、この上体を静寂な調和のうちに安置する大らかな結跏の形といい、
すべての面と線とから滾々(こんこん)としてつきない美の泉を湧き出させているように思われる。」

「あのわずかに見開いたきれの長い眼には、大悲の涙がたたえられてように感じられる。あの頬と唇と顎とに光るとろりとした光のうちにも、無量の慧智(えいち)と意力とが感じられる。確かにこれは人間の顔でない。その美しさも人間以上の美しさである。」

他の言葉がいらないくらい完璧ですね。


東院堂 本尊 聖観音(国宝)
「美しい荘厳な顔である。力強い雄大な肢体である。
仏教美術の偉大性がここにあらわされている。
底知れぬ深味を感じさせるような何ともいえない古銅の色。その銅のつややかな肌がふっくりと盛りあがっているあの気高い胸。
堂々たる左右の手。衣文につつまれた清らかな下肢。
それらはまさしく人の姿に人間以上の威厳を表現したものである。しかもそれは、人体の写実としても、一点の非の打ちどころがない。
人間そのものを写して神を示現しているといえるであろう。」

薬師寺の仏像2つについての和辻哲郎の考察の本の一部です。

観察眼のするどさ、そこから発展する多方面の知識。

著者20代の作品とは思えない深さです。

それが今尚、名著と言われ、たくさんの人に読まれている理由です。

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初夢 「gooな話」 ついに出版か?

2009-01-01 | 心に残る本
これ


初夢として、こんな夢を見るのもいいのかな?(笑)

このブログ「gooな話」の書籍化、ついに出版です。

ネットで好きな題名の本の表紙が即座に出来ます。
創刊日が4/1というのもなかなかの物です。

リンク先をクリックすると、"本物そっくり"の本の販売ページに
行きます。
なかなかの仕掛けです。

へぇ~と思ったら、ここをクリックしてください。

みなさま、良い、初夢を見れますように。
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いかさま師 柳原慧 著

2007-07-28 | 心に残る本
おだやかでない表題だが、宝島社文庫の本のタイトルだ。
本の表紙のこの女性の目線。思わずひるんでしまいますね。
元の絵はこれです。



ジョルジュ・ド・ラ・トゥール Georges de La Tourの「いかさま師(ダイヤのAを持った)」。
ルーブル美術館所蔵。
後ろ手で持っているトランプがダイヤのエース、同じタイトルでスペードのエースがある。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールは、作品数も少ないし、真贋論争が尽きない画家です。

それらを踏まえて、この本を読むと、なかなか面白いところに目を付けたと感心する。

ラ・トゥールの絵に出会った明治の文学者、鷲沢絵林。彼は秘かに、5枚のラ・トゥールの絵を日本に持ち込む。後に画家となった彼の息子絖は、天才的な技量を持ちながらも、不遇のうちに自殺してしまう。その後の鷲沢邸には、あるべきはずのラ・トゥールの絵がない。時価数十億とも言われるラ・トゥールの絵は、どこに消えてしまったのか。
絖に愛された母が、鷲沢家の絵の相続人に指名されたことから、主人公の高林紗貴は錯綜した人間関係に足を踏み入れることになる。絖は紗貴の父ではない。
誰が敵で、誰が味方か?
紗貴は真実を追い求めて行く。
本の解説を読むと、鷲沢絵林のモデルは小泉八雲、絖は息子の画家で自殺した小泉清らしいとのこと。ますます興味津々です。
もちろん小説ですからフィクションです。

絵の主役は「ろうそくの下のイエスキリストと聖ヨハネ」
小説同様にインターネットで検索したが見つかるはずもないか...。(笑)



これは「大工の聖ヨセフ」という作品。
右がキリストですね。ろうそくの火の白、キリストの顔の白。
素晴らしい白です。
「ろうそくの下のイエスキリストと聖ヨハネ」
も多分、こんな雰囲気の絵なんでしょうね。
カラヴァッジョに似た作風なんですね。

ゴッホのひまわりの話も出てきます。


これは15本のひまわり。損保ジャパン東郷青児美術館で見ました。


小説のストーリー展開と並行して、美術関係のお話も一杯で楽しめます。

「女は誇りや衿恃を捨ててはならないものよ」それが母の生き方だったのだ..

たくましい女性たちが活躍する本です。
そして5つの作品はどこへ。これは予想通りの決着でした。
そこしかない。というやつですね。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールも小泉清の絵も見たくなりますね。
小泉清は今、静岡県立美術館「NHK日曜美術館30年展」に出品されているようですが...遠いな。京都に巡回してたのに残念。
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6ステイン DAISピンズセット

2007-07-01 | 心に残る本
文庫本に付録が付いている。厚さ 1cm。文庫本と同じ大きさです。
それもピンズ。
それもオリジナル。
おかげで、文庫本なのに 1,575円もする。
アイデアは秀逸です。
本は、福井 晴敏の短編集(6編)です。
付録の付いてないのもあります。820円です。

これが付録の「DAIS ピンズセット」です。

福井 晴敏の本を読んだことのない人にはDAISて、何?ということですよね。
DAIS(Defence Agency Information Service)
福井 晴敏の何冊かの本に登場する、「防衛庁情報局」の略称。
本部は陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地の地下にある諜報機関-もちろん架空の組織です。
ピンズは、その架空の組織のバッチです。今回新規に作成したようだ。
全部で3種類あります。

1.DAISの隊員章



鷲が桜の花ビラを足で掴み、その中には「情」の文字。
情を出してはいけない諜報機関ながら、福井 晴敏の本では、情が一杯です。
アメリカを表すかのような鷲がデザインされているのは、この機関の性質を
端的に表しているというのは、考えすぎ?
素晴らしいデザインです。

2.920SOFの部隊章



(SOF=Special Defence Force。DAISの組織の一つ、特殊要撃部隊。SOFではリタイアした優秀な隊員のコードネームを部隊名にする)。
デザインされている動物は狼犬。
野生の狼でもなく、飼い犬の犬でもなく。
なんとなく諜報機関の性格をうまく出していますね。
920SOFは、今回の短編にも出てきます。

3.729SOFの部隊章



緑の龍が背景です。カラーが鮮やか。

本の題名の「ステイン」は、「染み」という意味だが、「染み」というよりも、もっと大きな「足跡」と言っていいものだ。
DAISの任務に身を投じる工作員の男たち、女たち。酷薄・過酷・理不尽に見える諜報世界においてでも、彼らは自らの良心をかけ、「そこ」に踏みとどまろうとする。
それ故に、悲しい物語がある。

6作の中で、「畳算」が感動的。

かってスパイだった男、今は亡きその男の妻(元芸者-牧野久江)が老いてなお男を想いつつ、守るべきものを守る。-守るのは普通でないスーツケース-。畳算というのは、後挿し(かんざし)を畳の上に倒して、先っぽが畳の目のいくつ目かによって何時ごろ、何日頃に旦那に会えるかを占う芸者の遊び。久々に明日と出た日に...。
牧野久江が言う。
「己の所作振る舞いに自信と尊厳を持ち、身に合った幸福を追って生きていけるのが人だ。」


そして「さくら」の伝法真希。
悲惨な過去を抱える彼女が諜報員として活躍しながらも、普通の人生を歩むために、「足抜けの」替わりに課せられた任務を遂行する。
代役でパートナーとなった高藤との心の触れ合い。
「とりあえず今は幸せ、ずっとケンカしてた自分の人生と、初めて仲直りできた感じ」

諜報員の世界を描く小説ながら、この2編は女性が輝いている。

付録つきの本は、置いてない書店もあります。
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追悼 城山三郎 「本当に生きた日」

2007-06-17 | 心に残る本
我が青春時代の愛読書の作家、城山三郎氏が本年3月22日に79歳で亡くなった。
昭和61年に新聞連載していた「本当に生きた日」が、この5月に追悼出版ということで、ようやく本になった。

政界、経済界の人間に焦点をあて、その生き様を活写する。
バブル時代のサラリーマンに一つの拠り所を与え、また血を騒がした人である。

残念ながら、手元に残っている本も、「整理整頓(笑)」の度に、少なくなって来た。
代表作は多いが、読んだのは下記の本。今本棚にあるのは奥付から日を記載しました。
『男子の本懐』
『官僚たちの夏』
『黄金の日日』
『指揮官たちの特攻 -- 幸福は花びらのごとく』
『外食王の飢え』
『価格破壊』
『もう、きみには頼まない -- 石坂泰三の世界』
『粗にして野だが卑ではない -- 石田禮助の生涯』1988.6.30 1刷
『人生余熱あり』1989.12.15 5刷
『落日燃ゆ』
『毎日が日曜日』
『部長の大晩年』1998.9.1 1刷

そして翻訳本の『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 』1987.1.15 10刷

中でも、『粗にして野だが卑ではない -- 石田禮助の生涯』は、長い間本棚に残っています。本の天部が変色してしまっています。
『もう、きみには頼まない 』は、石坂泰三が、現職の大蔵大臣や総理に向かって、「もう、きみには頼まない」と啖呵を切ったエピソードが楽しい。

当時は、気骨のある、本に出来る豪傑が多かったということと、そんな本を読んで、元気を出していたサラリーマンが多かったということですね。

今回の「本当に生きた日」は、普通の主婦が主人公である。
一男一女の母の38歳の素子に突然訪れた転機。それは夫の単身赴任と、友人に誘われてのビジネス世界へのチャレンジだった。
男女雇用機会均等法が公布された翌年、女性の幸せをテーマにした小説。

友人のルミは、ビジネスの世界で成功(サクセス)するには、まず健康とM.N.Nが大切という。
Mは、メンター。精神的な保護者、後援者、親分
Nは、ネットワーク、人脈
もう一つの、Nはニュースバリュー、話題性。

ここら辺りは、さすがバルブの頃に書かれた本らしい雰囲気。
素子のビジネスの世界へのチャレンジは、あぶなかしっくて、ヒヤヒヤの連続、その内に家庭は崩壊してしまうのでないかと思わされます。

最後に、得た言葉が
『柔和な人は幸いなり』
いい言葉ですね、まさに人間回帰の原点のような言葉です。
20年も前に書かれた本とは思えない新鮮さがあります。

仕事に生きている女性には、おすすめの本です。
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四季

2007-01-14 | 心に残る本
劇団四季とは何の関係もない。(笑)
真賀田(まがた)四季が主人公の本です。
「春」「夏」「秋」「冬」の4冊に分かれています。これで四季にも引っ掛けているのですね。
作家は、森 博嗣。理系推理小説という分野ですね。
森 博嗣の世界に初めて入る人は、とにかく「解らないことだらけ」です。
細かいことは、気にせずにどんどん読んでいくことにしましょう。
「秋」ぐらいになると何となく解って来ます。

この4作は、著者の過去のシリーズ物のエッセンスというか、裏話というか、謎のままにしてきたことの決着とか...。しかし、ここで初めて、真賀田四季に出会う人にも、それなりに解るように書かれています。

読み終えたら、第一作の「すべてがFになる」を、きっと読みたくなります。
私も、読みました。

いろんなことが見えてきます。

そしてあらためて、森 博嗣は、すごい。と感動します。

真賀田四季は13歳の天才少女。並の天才ではない、見た物をすべてイメージとして記憶することが出来る。そして完璧に再生出来る。
従来の天才物は、とかく、その性能(?)に重点を置きがちだが、ここではその思想にも立ち入る、天才故の思想である。ついて行けない所が多い。
読者と天才の仲立ちをするのが
理論的思考の助教授.犀川創平と助教授を慕う学生で、ヒラメキは天才的な美女.西之園萌絵。
作中のフレーズもなかなかです。
.世の中、どうしてこんな善意に満ちているのだろう。
 そう見える、そう見ようとする善意があるからじゃないかしら(四季)
.美人というのは意外に顔に特徴がない。欠陥のないものには特徴がないという理屈
.ウサギとカメの話。ウサギは足が速いけれど、眠ってしまうの、でも、ウサギの方が沢山眠っているのだから、ウサギの方が得をしていると思う(四季)
それが出来る能力ということだよ
.まだ13年しか生きていない。もう13年も生きた(四季)
.人間はどうして泣くのだろう。涙を見てくれる人がいる。それだけで充分ではないか。自分が泣くことを許すように、沢山のことを許さなくてはいけない、と思った(四季)
.私だけを見て欲しかった。扇風機のように、前にしか風が来ないなら困りますが、太陽ならどう?貴女が太陽を好きになったか、扇風機を好きになったかの差です。
.やれることを、やれるうちにやる、やらないよりは、やった方がなにか新しいことを感じることが出来る。(四季)
.わからないことがあるから、人は優しくなれるのです。誰も答えて呉れないときは自分に問うのです、問い続けるのです、それが貴女の優しさになるでしょう(四季)
.もし私が死んだら、先生はどうされますか?(四季)
 その一日禁煙しましょう(犀川)
 もし先生が死んだら、私は泣いて見たい。一度で良いから、泣いて見たいわ(四季)
泣けるといいですね(犀川)
ええ..(四季)
さようなら(犀川.四季)


こんなお別れもあるのですね。犀川は片時もタバコを離さないヘビースモーカー。そして四季は、泣くという概念のない女性。二人はお互いに「愛して」いたのかも...。


そして、第一作を読みたくなります。
「すべてがFになる」
最初の作品だから、より一層「理系」ムード満点です。

「1から10の数字を二組に分けて、両方ともグループの数字の積が一緒になる組み合わせはあるか?」これが四季の問いかけ。
萌絵は、ないと即答する。
二人ともスゴイですね。
それは、7がある限り無理なのです。だから7は「孤独」なのだと。

*本では解説されていませんが、7を除けば、組み合わせは例えば、1~6までの組と8から10までの組は、いずれも720で、同じになる。素因数分解して、約数や倍数がないとどちらに入れても合計が同じになることはない、1~10では7だけが、それに該当するので孤独だと言う*

そして、四季はさらに、BとDも孤独だと言う。

タイトルのFもある。感のいい理系は、16進数かとひらめきますね。
16進数が解らない人は読み飛ばしてください。(笑)
16進数では、7の倍数のEがあるので、7は孤独でなくなる。代わりにBとDは倍数も約数もないので、孤独になる。残念ながら、萌絵には解らなかった。もちろん私にも解らなかった。

そしてタイトルの「すべてはFになる」。
「FFFF」プログラム経験のある人には、ぞっとする数字です。

*思い出と記憶ってどこが違う?(犀川)
思い出は良いことばかり、記憶は嫌なことばかりだわ(萌絵)
そうじゃない。思い出は全部記憶しているけどね。記憶は全部は思い出せないんだ(犀川)

森 博嗣の本は、「お約束」通りにすすまない。
「四季」では、散文的な記述も多用して、読者に問いかける。それぞれの意味するところを読者にも考えろと言う。

森 博嗣は愛知県生まれ、名古屋大学の助教授を引退.工学博士。

ホームページも面白い。浮遊工作室
自宅の庭に模型での鉄道を作って走らせている。それがとてつもなくスゴイ。

暫く、森ワ-ルドに浸ろうか? 


森 博嗣のページ作ってしまいました
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