ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

南高愛隣会・犬塚弘さん探訪1

2020年03月17日 | てくてくさんぽ・取材紀行
このたびの諫早訪問は、アールブリュット作家の犬塚弘さんに会うのが目的である。作品のモチーフは日本酒の瓶で、これまでに600点以上もの作品を描いている。2019年12月には「犬塚弘絵画展 酒びん×人生」との題の個展を開催されており、どこか暖かく味のある作風に注目も高まっている。犬塚さんが入所している社会福祉法人南高愛隣会・諫早事務所にお邪魔して、まずはご担当の方から略歴やなぜ酒瓶に関心を持たれたかなどを、映像を交えて伺った。

犬塚さんは長崎県伊江島の漁師の家に、6人兄弟の4番目に生まれた。5歳で自閉症と診断されたのだが、4歳時に生まれて初めて発した言葉が「さけ」というぐらい、幼い頃から酒瓶への興味が強かった。本人から理由が語られない中、父がよく宴会をしていていつも酒瓶が身近にあったこと、ラベルの和アートな造形に惹かれたからなどと、周囲の方々が推察している。いずれにせよ、子供の頃から「おもちゃより酒瓶」が好みで、当時は近所の酒屋や他の家までラベルを取りに行っていたため、親は謝りに回り大変だったとのエピソードも残っている。

犬塚さんが絵を描き始めたのも、酒瓶に興味を持ち始めた5歳からと早い。そのためか幼少期に描いた絵にはかならず、酒瓶がどこかに描かれている。伊王島の風景、祭りの縁日、運動会など。運動会の絵といっても弁当のアップで、親が近所の仲間と飲みながら見ていたのだろう。15歳の時に当所に入所した際、焼酎工場を見学したのがきっかけで酒蔵巡りを始め、25歳でグループホームに移った頃から本格化。並行して描き続けた酒瓶の絵が、次第にアウトサイダーアート(芸術的教育を受けていない人が無心に創作する美術作品)として見出され、2014年に46歳でアールブリュット作家となるに至ったのである。

以後は2016年にアールブリュットフェスティバル入選、そして2018年12月のアールブリュットフェスティバル2018の際、長崎県立美術館での冒頭に記した個展の開催が決定する。2019年12月24〜28日の5日間で、1500人が来場する大成功だった。この時、伊王島からも多くの人が来訪し、中にはかつての同級生をはじめ、瓶を持っていかれた酒屋、疎縁になっていた兄弟の姿もあったという。往時の犬塚さんを知る方々に対し、まさに故郷に錦を飾り、かつ世に出たことを知っててもらった、晴れの場であったことが窺い知れる。

現在、犬塚さんは、障害者の活動の講演、伝道、広報を行う南高愛隣会の「夢大使」を務めて3期目になる。氏の活動が同様の境遇、いわば突出した才能を持った方々にとって、誇り高く生きるための発信のきっかけになっていけば、と思う。では犬塚さんに、実際に酒瓶の絵を描いてもらいましょう。続きます。

コーヒーショップAB-ABの高菜ピラフ@諫早駅前

2020年03月17日 | 旅で出会った食メモ
巷で街中華が流行っているようだが、場末感とローカル感では「町の片隅喫茶」も負けてはいない。スタバもドトールもエクセルもない駅前、喫茶するなら選択肢がここしかないという裏路地に、いい鄙び感の構えを見かけて腰を据えた。手書きのメニュー、ビデオゲームのテーブル、壁に貼られたコーヒー自慢。うん、こうでなきゃ。

で、こういう店の軽食は、まず外すことはない。オーダーを取りに来たおばちゃんの手作りであろうこちら、家庭の昼ごはんっぽいこれで充分的なあり方がまたよい。プレーンではなく高菜に走るところに、ご当地的タグづけを振り切れない自分がいるのだが。

博多駅前てくてくさんぽ5

2020年03月17日 | てくてくさんぽ・取材紀行
東長寺には「福岡大仏」と呼ばれる木造坐像があり、拝観料50円で参拝できる。入口で線香を供えてから、堂の中へ。高さ10.8m、光背の高さ16.1mは屋内だからか結構な高さに感じられ、巨像から慈悲の目線で見下ろされると、神妙な気持ちになってしまう。

背後にはおどろおどろしい絵が続く「地獄めぐり」から、真っ暗闇を手すり頼りに進む「戒壇めぐり」へと続く通路があり、こちらも巡れは霊験あらたか。朝からの駅までさんぽで、思わぬご利益を頂戴した気分である。

博多駅前てくてくさんぽ4

2020年03月17日 | てくてくさんぽ・取材紀行
日本最古の禅寺・聖福寺の先、ビルの間に紅白の塔がちらり覗くのが見える。空海が創建した「東長寺」で、大博通り側の正面に回り込み境内に入ると、巨大な本堂と朱色の五重塔がそびえる。ともに近年に建てられた新しい伽藍な中、中ほどにある六角堂は1842年築と歴史を伝える、位牌などを収める回転式の仏龕(ぶつがん)が置かれているため、六角形をしているのだそうだ。

本尊である木造千手観音像をはじめ、仏像が多いのがこの寺の特徴。山門には黄金に輝く増長天・多聞天が構え、祠には九州二十四番霊場の地蔵尊、土塀沿いには四国八十八ヶ所霊場各寺の本尊の石仏も並ぶのが、真言宗の九州総本山らしい。さっと往復して参拝したら、八十八ヶ所結願となったかな。

そしてこの寺の一番の見どころは…。続きます。