ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

キャビン@松島駅

2020年08月10日 | 旅で出会った食メモ
延べ5日に渡る新潟+東北4県の旅の最後を飾ったのは、松島駅前に1軒しかない喫茶店。列車が1時間待ちなので暑さ凌ぎで入り、コーヒーもカレーもまあぐらいの感想だが、BGMにやられた。3から7までに特に見事に打ち取られた。聞けなかったが12も絶対ヤバい。坂本冬美さん、買いますわこれ。

ローカル魚でとれたてごはん…本塩釜『すし哲』の、カツオやホヤやイワシやアジや握り

2020年08月10日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
一説によると、塩釜は人口比の寿司屋の軒数が日本一といわれている。中でも随一の人気を誇る店が、本塩釜駅前に構えるこちら。夏はマグロ、秋はサンマ、冬はアンコウにカキなど、新鮮で質のいい地元ならではのネタを握った寿司が自慢。中でもマグロは近海ホンマグロをはじめとする日本随一の水揚げ港・塩釜港を控えるだけに、赤身もトロも絶妙な味わい。1階はカウンターで、職人が6人と多い。壁には近海産の魚介を使った寿司や一品料理の品書きがびっしりと貼られていて、岩がきやアナゴなど旬の魚も。三陸産のブドウエビはボタンエビのこと。光物ではアジやイワシがある。

カウンターにつくや否や、おかみさんから本日のおすすめを矢継ぎ早に推される。カツオが旬で酢の物のおひたしが人気のようで、他のお客も頼んでいるためのることに。薄めの切り身におろしとミョウガがのっていて、酢と混ぜて身でくるんでいただく。薄いながらモチモチしていて身の味が濃く、おろしとミョウガが涼感あふれるさっぱり感。酢のおかげで食も酒も進み、1本目の地元塩釜の「浦霞」本醸造辛口がまろやかに進む。

続くアテはホヤで、握り拳ぐらいある大ぶりのもの。これだけのサイズは、水揚げ地の地物ならではだ。切っつけが立ちオレンジ色が鮮やか、一切れ一切れが太く塩の香りも甘さも分厚い。この時期は養殖物で筏に吊り下げて養殖、界隈は潮目でプランクトンが多く、富栄養のため甘くみずみずしく育つという。勢いにのって、イワシとアジのつくりも追加。イワシは地物で、梅雨から夏が旬の入梅イワシのため、あっさりして身の味よい。アジは山陰もので、今は全国で一番脂がのっているそう。トロトロ、フワフワの激甘さが、光り物同士で好対照だ。

合わせて追加した「一の蔵」特別純米辛口もほどよく空き、メインの握りは上寿司で締めることに。場所柄マグロが中心で、本マグロは日本近海で水揚げされたもの、メバチマグロは近海の生マグロだ。この日の本マグロは、大間のトロ。脂ののりがほどよく、複雑で滋味深い甘みに言葉を失う。メバチマグロは赤身で、ふわりと絹のように柔らかい食感。弾力もあり、後から身の味がじわじわくる。どちらもねっとりと魅惑的な食感が、マグロどころならではの素晴らしさである。

締めは桃のシャーベットで、さっぱり口直ししてお開きに。カウンター奥の壁に、東日本大震災時の津波の高さが記してあるのを、以前その直後に来店して目にしたことを思い出す。10年近くぶりの来店ながら、板前さん方と魚談義で盛り上がりれ、懐かしいような苦難を乗り越えてこられたことに安心したような、もうなじみと言える塩釜のローカル寿司店である。

竹雀庵の焼きガキ&松島蒲鉾本舗の笹かまぼこ手焼き体験@松島

2020年08月10日 | 旅で出会った食メモ
このたびの松島遊覧船は、丸文松島汽船の「良良っちゃチケット」を利用。焼きガキと笹かまぼこ手焼き体験がオプションでついており、まずはみちのく伊達政宗歴史館にある売店「竹雀庵」へ。チケットを渡すと焼きガキを一つ、出してくれた。身が締まり小ぶりなのが松島のカキの特徴で、味が濃く磯の香りが控えめで甘い。奥松島産のカキの旬は10月から3月だが、界隈では県産のカキも合わせて、通年味わうことはできる。真夏なのに、隣接の牡蠣小屋では焼きガキの定額食べ放題もやっているほど。

笹かまぼこ手焼き体験は、松島蒲鉾本舗で行った。チケットを渡すと竹串にすり身が巻かれて渡され、店内の炉で網焼きにする仕組みだ。片面ずつ7〜8分が目安で、遠火で時間をかけながら、純白のすり身が軽く焦げたら返し、を数度繰り返す。外側が焼けてしばらくすると、餅のように膨らんでコロリと転がるほどパンパンになる。食べごろ熱々のを松島を見ながらかじると、外はパツンと弾け中は魚の味が濃い。加熱されている分、味も膨らみ、焼き立ての方が魚の味がする。

炉を囲んで、家族連れやカップルが楽しそうにかまぼこを焼く様子。なんだか久しぶりに、観光地が賑わう「らしい」風景を見たように思える。

松島てくてくさんぽ6

2020年08月10日 | てくてくさんぽ・取材紀行
瑞巌寺を後に、大岩に囲まれた東寄りの門から外へ出る。JR松島駅方面になるが大きな観光地はないため、あれほど混んでいた観光客は皆無に。出てすぐのところには、瑞巌寺の弁天様を祀る放生池があり、赤い橋と弁天島、水面には睡蓮の葉が生い茂っている。界隈はかつて水主衆が住んだ場所で、すぐ先の「宮島」というくぼみのある岩は、修行僧がいたとされる。岩の前を通り芭蕉と曽良が石巻へ向かったとの案内板もあり、人知れず歴史的なスポットなようだ。

新富山方向への道は「水主町」通りとの名も付いていて、タイル舗道されており一応散策路とされている模様。ここからグッと登りにかかり、坂の上には旅館もいくつか。ここからさらに「新富山展望台」まで、最後のきついひと登りがある。頂上には階段つきの小さな展望台があり、右手に船でやってきた松島の島々が、左には宮戸島や寒風沢島など浦戸諸島を見下ろす。ここが界隈の最高所で、訪れる人がないながら松島を一目に見下ろせる、絶景の穴場である。

名前のような観光地の玄関口とは思えない、町外れの高台で閑散とした東北本線松島駅(松島の玄関口はここから離れていて遊覧船乗り場もすぐの、仙石線の松島海岸駅)にて、松島ミッションは終了。お疲れ様でした。

松島てくてくさんぽ5

2020年08月10日 | てくてくさんぽ・取材紀行
瑞巌寺は慈覚大師円仁が開祖の、奥州随一の古刹である。創建時は天台宗だったが現在は臨済宗で、現存の伽藍は伊達政宗公が諸国から名工や良質な材を集め、5年がかりで完成させた。伊達家の菩提寺もあり、桃山様式の建物の内部は唐戸や欄間、襖や床の間などに、豪華な絵画や彫刻があしらわれているのが特徴である。本堂へと続く参道は、左手に杉の木立、右手の崖際は洞窟、石碑、石塔、石像群が続き、凛とした空気が漂っている。

拝観券売り場を過ぎ、しばらく木立が続いた先には本堂が控える。幅38メートル、奥行き24.2メートルの巨大な建物で、書院造、入母屋造本瓦葺。内部は仙台城本丸大広間にも設け秀吉の聚楽第にも匹敵する、藩主の部屋「上段の間」をはじめ、室中孔雀の間、仏間、上々段の間など10室の部屋が設けられている。彫刻は吉祥をモチーフとし、金鶏、孔雀、鶴に菊や紅葉や牡丹など、色鮮やかで躍動感がある。

これで松島の陸部は散策終了だが、帰りはちょっと「穴場」を回っていきましょう。