湯布院さんぽで朝イチで寄った「ミルヒ」に昼前までいてしまい、そのまま向かいの「由布まぶし 心」でランチとなった。まぶし料理とは、土鍋でごはんと食材を蒸しあげたもので、じっくり炊き上げるため素材の味が逃げず封じ込められるのが特徴だ。ここは地場産の米と湯布院の名水、ほか地物の食材にこだわっており、昼時は店から溢れるほど行列ができる超人気店なのである。
豊後牛、豊の軍鶏と揃うまぶしの中で、選んだのは鰻まぶし。地物のウナギは大きさと脂ののり具合がまぶしに合うそうで、店でもイチオシなのだとか。豆腐やサトイモや出汁巻やエリンギなどの、里山風の煮しめを前菜でいただいたところで、熱々の土鍋が登場。しゃもじで混ぜ返したら、まずはそのまま茶碗によそってかっ込む。ウナギは肉厚ながらあっさりしており、身がシコシコと歯ごたえあり。代々継ぎ足したというタレが、ウナギの味わいを下支えしている。ふっくら焼きあがった普通の蒲焼とは、かなり異なる食感だ。
そして二杯目は漬物などの薬味類をのせて、だし茶漬けにするのが流儀。出汁と漬物の塩加減がマッチし、これはサラサラサクサクと流し込むのが止まらない。ウナギも出汁のおかげで一味ついており、最初からこれで土鍋ごといきたいほどのうまさである。最後は土鍋に直接出汁を注ぎ、おこげもきれいにとった香ばしいタレごはん雑炊で、ごちそうさま。意外な湯布院名物、これは牛も鶏も試したい、後を引く料理である。