ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

国民宿舎両神荘の夕食@小鹿野

2015年10月10日 | 旅で出会った食メモ
このたびの秩父ミッションの宿・両神荘は、旧両神村の中心街近くに位置する国民宿舎である。小森川の渓流に面し、肌がツルツルになるメタホウ酸泉の温泉も有している。檜風呂と岩風呂が男女日替わりで、露天風呂もあるのがうれしい。

夕食の膳も、奥秩父の山の味覚が勢揃い。小森川の天然イワナのつくりにいわなずしは、身の味がクセのなくみずみずしい。鹿は猟で仕留めたのを味噌漬けにした小鍋で、赤身肉なのでヘルシー。小鹿野の町名から鹿を名物にするそうで、鹿肉丼をこれから売り出していくという。イノシシ鍋の肉も、山にいる天然もの。

野菜類ではしゃくし菜という、その形状から名がついた地場野菜が、野沢菜漬け風の漬物ほかグラタン仕立てで出された。山間の断崖に自生する希少品の岩茸の酢の物は、キクラゲのようなコリコリの歯ごたえに、山の香気が爽やか。酒はもちろん、地元矢尾本店の「秩父錦」で、本醸造に純米に吟醸の赤青緑のラベルが並ぶ。

このあたりから記憶がなく、寝落ちしてしまったよう。それだけ気の置けない和んだ宴だった、ということにて。

秩父小鹿野てくてくさんぽ4

2015年10月10日 | てくてくさんぽ・取材紀行
秩父ミッション、本日のメインは両神・小森歌舞伎の見物である。会場は旧両神村小森地区の諏訪神社境内、田園の中の諏訪森記念館の舞台にて催される。神社への奉納のため15年前から復活し、両神歌舞伎保存研究会と小森まつりと文化を守る会により、日々稽古がなされているという。旧両神村は古くから歌舞伎が盛んで、演目はいずれも地元の方々によるもの。そのため見る側も演ずる側も、和やかな雰囲気に包まれている。

15時開催の初っ端は、子供歌舞伎の「白浪五人男」。小学校高学年による、まだ声変わりしてない咎人五人の口上が、初々しくたどたどしくもキマっている。見得を切るごとに、雨あられのごとく飛んでいくおひねり。祖父母が孫に、ここぞとばかりに投げまくるのが微笑ましい。

以後、謡曲や舞踊と続き、日が沈む頃には大人の歌舞伎も演じられる。秋の日が暮れるといつしか行燈に灯がともり、舞台は一層熱を帯びてくる。

秩父小鹿野てくてくさんぽ2

2015年10月10日 | てくてくさんぽ・取材紀行
秩父ミッション、鉄の後は花探訪で、小鹿野町にある「両神山麓花の郷 ダリア園」にやってきた。山峡の斜面に300種5000本ものダリアが咲き誇り、赤白黄橙朱桃紅と彩りが様々。花弁の形状や花びらの構成もいろいろで、色彩美と造形美を堪能できる。

品種ごとに銘柄の札も掲げられていて、造作とその名を比較して感心したり、納得したり。花びらが赤で縁が白の「ストロベリークリーム」、赤黄まだらの「ファインプレー」、燃える深紫の「夕化粧」、紫フリルの「シンデレラ」、チョコカラーの「ポンポンショコラ」、天に向かって花びら開く「天晴」など。

中にはこんな銘柄札も、ちょっと胸にキュンときたりして。

秩父小鹿野てくてくさんぽ1

2015年10月10日 | てくてくさんぽ・取材紀行
秩父ミッションの最初のメニューは、SLの乗車体験。秩父鉄道の「パレオエクスプレス」に、お花畑駅から乗車した。黒光りする重厚な図体のが入線してくると、蒸気のムワッとした威圧感。軽快な電車とはまた違う、「鉄道」といった存在感にあふれている。

駅を出ると、秩父の谷間をゆっくり、踏みしめるように進んでいく。山肌の荒れた武甲山の麓から、蕎麦畑に柿の木、コスモスなど、里山風情の車窓に蒸気機関車が妙にマッチする。子供達や農作業のおじさん、札所を巡礼するお遍路さんも、足を止め手を振ってくれる。列車が人と人を、結び繋いでくれるようだ。

SL列車は乗ってしまうと、普通の列車とあまり差異なく思えるかもしれない。でも時折ボッ、と響く汽笛、窓を開けると香ばしくかぶる煙、そして背もたれから伝わってくる、グッ、グッといきりながら進む感触。「蒸気機関車には人格がある」との、鉄の知人の言葉が分かった気がした。