ブラックファイブ

あのDr.ブラックジャックの半分以下なので、ファイブとします。命燃え尽きるまで、経験と知識からブログをやろう。

イレッサ

2005-01-21 23:38:43 | Weblog
 今日の朝刊に厚生労働省からの記事があった。「現時点では使用を制限する必要性は乏しい」とする意見をまとめた。
 イレッサは2002年頃から使われ始めた。私の場合は新聞記事を見た患者の希望(熱望と言うのが正しい)にて、無償治験(データーを取る代わりに薬品代はただ)の対象患者となって使用したのが第一例だった。
 書類審査に日にちがが結構かかり、1ヶ月以上だったかな、患者さんはまさに、プレゼントを待ちこがれる子供のように、期待で胸を一杯にして待っていました。
 進行肺癌(手術で根治不可能などの状態)で、あの赤小豆色の錠剤をきっと自分には効くはずだと思って飲んでくれました。「どうですか、調子は?」と聞くと、「先生、調子良くなってきました」と笑って答えてくれました。私が担当でしたので主観的判断になりますが、肺の中での進行はわりとユックリでした。しかし、腹部内の転移巣が大きくなってきて、最終的には腹部の状態悪化から昇天されました。内服後は痛みの訴えは余りなく、体力が落ちてもイレッサだけは必ず飲んでいました。
 この例では、肉体的治療効果はどうもなかったようです。しかし、精神的には飲み始めてから、かなり安定され、精神的な効果は有効と判断しました。まあ、これはこの薬でなくても、良かったのかもしれません。患者が将来に希望的観測を抱くことの重要性を学ばせてくれました、治療の精神的側面は大事な部分だって言うことを。第二例については明日語ろう。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

学習

2005-01-20 23:10:15 | Weblog
 今日はまた中心静脈穿刺(右の鎖骨の裏の静脈を手探りで刺す)をやった。しかも医師になって一年目のにやらせたのです、3回目だと言うことでした。私が見本を見せてからやるかと聞くと。始めから自分でやりたいという。“OK”と始めからやらせた。4月からでもう10ヶ月なのでもっとやったのかと思ったら、まだ3回目だという。色々と経験することが多く忙しかったのだろうとしよう。汗を垂らしながら何とか入ったよ。後で汗が患者の皮膚に垂れたと言うではないか。傷の上に落ちたので無ければ心配ないと話した。勿論、経験が少ないので手際が悪いのは当たり前で、まあ、数をかせいでくれって感じ。
 経験の少ないのに教えるってのは難しいよ。思わず手や口を出したくなるのをじっと我慢。自分のイメージと学習者のイメージは当然一致しない。私のイメージが絶対ではないし、新人のイメージはまだおぼろだし、新人がイメージをどう形作ってくれるかな、これを体験から自分の感覚で学んでくれっというのです。
 新人は教科書的言動を言う。それを実際の応用に乗せさせるのが私の役目だろう。
 新人に教えることは自分にも学習をさせることだ。この年での学習の意味はこのような事だろう。
 新人が財前クンになるか、里見クンになるか、それとも柳原クンか佃クンか、彼ら以外か、それは楽しみなものです。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紹介

2005-01-19 22:45:29 | Weblog
 一週間前は外来68人、今日は71人だった。一人来なかったが一人割り込みで合計は一緒。即ち、390分÷71=5.5分、平均5.5分/人での外来だった。この怪しくも危うい診療状態を解決するには減らす、よそへ紹介するのが一番妥当だろう。それ以外の方法もあるが、きわどくなるかも知れない。
 減らす目的で他へ紹介する際には、状態が安定して紹介するのが最も良いだろうけど、紹介状を次回に用意して待っていると病態が変わっている。そうすると紹介し難い。不安定なまま紹介しても良いけど、こっちの信用を落とすね。まあ、7~8分以上の程度で紹介し、後のフォローアップをお願いするのが現実的かな。
 〔勿論、こちら以上の診療を期待して紹介する場合は「よろしくお願いします」と気楽ですよ。〕
 次の難関は患者同意を得ること、自ら好んで当院を選択した方を、何とか話して好みでない医療機関へ紹介する。医療の分業、診療所(入院設備の無い開業医)と病院(入院設備がある)のすみ分けというものがあるが、それを各個人に認識してもらうのはかなり大変。「いえ私はココに通いたいのです=信念」、「ここが一番近いのです=距離」、「ここの方が安いのです=価格」・・・これらに説得するのは難しい。
 それではどう話すかって? 「次の方に席を譲ってください」・・・この意味を十分に含めて話すのが今のところ一番聞いてくれます。言い方は各人に対して色々ですけどね。

  財前クンなら、「君は大学病院へ来るべき患者ではない」、この一言で完璧、完了でしょうね。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自覚症状

2005-01-18 23:19:57 | Weblog
 今日は生活習慣病についての勉強会をやった。これの最大の難点は、その本人がナニも感じない事だ。つまり、医学的用語では“自覚症状”がないことだ。それでは自分に関係ないことのように思えてしまう。
 まあ、イラクの世界もスマトラ地震&津波もTVを通してだと、直接の痛みも苦しみも体感できない絵空事としてしまうことも可能だということでしょう。でもひたひたと自分の回りに忍び寄ってきて、ある時感じることになるのです。忍びよるというのは、何となく悪くなり、ある日朝起きたら何故かだるい、肩がこったり、はったりしている。そして、血圧の高さに、甘いにおいのオシッコに気づくのです。
 まあ、このように世の中には自覚できない(体感できない)、即ち経験したことがない事ばかりですけど、経験を学習する頃は病気なのです。
 自覚、感じる前に何とかしよう、しておこうというのが大事でしょう。でもみんな弱いので、この辺りの堂々巡りの輪からは、飛び出すことはきっとたいへんでしょうね。動機付けが無いのかも知れませんね。

 こんな予防医学は、きっと里見クンの得意分野に近いでしょう。
 財前クンはテンポが遅くて歩調を合わせられないでしょう。
 そう、大河内教授は、自ら浸りきっているでしょうね。「私の生活を見てください」とでも言うでしょうか。きっと、そうは言わずに「君たち、自分の回りをよく見なさい」という位にするでしょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

震災

2005-01-17 22:44:01 | Weblog
 今日は震災を書いた方が良いだろう。ちょっとTV番組が多すぎそうにも感じるけど容認しよう。突然、朝の5時46分、この時間、自分もみんな、まあいつも寝てるよ。寝室のタンスが倒れてくるかも知れない。下敷きになったらアウト。
 そうでない場合、30分以内に緊急連絡網の電話が来るかも知れないけど、直撃なら電話線は切れて連絡網は作用しないだろうね。自己判断。それに、自分の身の確保が出来ないと家から出られないよ。じゃあ、どうするのかって。自分の身の回りの安全を確認できて、漸く緊急出勤すべきがどうかになる。病院に着いたらば、きっと精々四分の一も来てればいい方だろうけど、来た人を確認し、先に着いた順にチームを組んで、裏方・病棟・外来に出発。裏方の緊急医薬品の確保が出来なければ、補給がきかず直ぐにギブアップするだろう。点滴や消毒などの物品がもし全くないと考えれば、何も持たない医師・看護師は一体何が出来るだろうか。
 あの時の火事を前にして、水の出ないホースを持った消防士の様なものだろうか。
 でも、万一の予備を多く用意することは場所的・金銭的に無理だろう。それなら、普段の管理を大事にすべきだろうね。つまり整理整頓、平生の保管等でしょううね。これは物品だけでなく、普段の心構えにも通じるだろう。何でもそうだろうけど、時々、イメージトレーニングにつながる学習が必要でしょうね。でないと、そのときに頭も身体もまわらないよ、きっと・・・
・・・・・・・・震災=神災かも知れない。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

口頭でもいいかい?

2005-01-16 23:18:11 | Weblog
 やっと日曜日になったと言う感じだ。先週の休みは毎日、ちびちびと出勤。しかし、昨日も今日も電話はきますね、あの方について。あの方は低酸素になりやすく、酸素を与えるとCO2ナルコーシス(二酸化炭素がたまってくる)になりやすく、またこのごろは酸素を与えなくても、CO2が溜まってくるのです。
 もう、様子を見ながら体力が回復させられるかどうかっていうとこですね、今後は。特効薬なんてないし、カロリーOK(中心静脈栄養で)なので身体如何だけ、じっと辛抱。
 電話相談は口頭指示と言って、文書の確認無しに「ああして、こうして」と伝え聞き違いがあると結構ヤバイのだけど現実的には、その都度行けないし、当直もその方々について理解はできないし、このジレンマの中にある診療行為につながる。
 財前クンも似たようなことを行ってたね。壮行会で柳原君からの電話に対して「・・・、こんな事とでいちいち電話をするな」って。この場合は財前医師の伝達を柳原医師が行うから、厳密には口頭指示にはならないけど、その中身は似てるよね。だって、診察せずに「抗生物質をうっとけ」といい、柳ちゃんはそのままの通りにやるからね。
 里見クンは必ず立ち会うので、この為に夫人の秘かなヒンシュクを買うだろうけどね。
 これは医療行為の中で危ない橋を渡る行為だ、聞き違い・思い込みは誰にでもあるし、見ずに実行するのは十分アヤシイ。それでも、実際は避けがたく無難なところを依頼する程度にとどめるべきだろうね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ノロウィルス

2005-01-15 23:00:57 | Weblog
 このごろ、新聞紙上などで見かけるノロウィルス。まあ、冬の腹にくる風邪の一種ですね。
 まずはじめに、このウィルスにきく特効薬は存在しないことの認識を思い出して始まる。簡単に言えば、それなり(程度に寄れば補液など)にしてほっときゃ大体は治るよ、治らないのは、自分への過信と自分を認識出来ない場合だけ。後者が例えば老人ホームの例などでしょう。これで集団発生させてしまうというのは、重々おわかりでしょうが、触って感染させる、移してしまうと言うことに対していい加減な取扱いをしているからでしょう。ですから、これを発生させてしまったところは、衛生観念と実行がなされていなかったことの実質的認証でしょう。それらの施設はそんなレベル(人も施設も)なんですね、残念ながら。いくら外見がきれいでもね。
 例えば、コレラ患者さんでも、その人の手のひらから細菌はわき出てきません。汚染物を触った後で、手についた菌を移ししてしまうのです。コレラ患者のコックさんでも、手を清潔に保てば、唾液を飛ばさなければ、その人の作った料理から感染することはあり得ません。
 まあ、知らず知らずのうちに、料理をする手で自分の身体をあちこち触っているのでしょうね。調理を始めたら余計な所は触るなっということですね。
 老人施設での集団発生、これは老人さんが歩いてまき散らすなんてことはありませんから、職員が今まで、その程度の認識だったことの証拠が露呈したことになるでしょう。
 集団発生させた施設は自らのいい加減さを恥じて、猛烈に自己反省をせねばならないでしょう。施設長が出てきてくだらないゴタクは聞きたくもないっていう感じだよ。

 今回の件に関しては、里見クンも財前クンもまた東教授も意見は一致するでしょう。
『清潔の概念をしっかり知って、実行するのはあたりまえのことだ』と。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

38

2005-01-14 23:26:41 | Weblog
 今日、もう一回外来診療について話そう。今日は再来予約患者が38人/午前中のみ。予定では12時まで、180分÷38人=4.7分/人の間隔です。でも、このしばらくは狂ってばかり、9時の開始にはまだ2人しか来てないのですぐに間が空く。すると、3人割り込み(予約外)、これをこなすとボチボチ予約が来る、(折角朝の最初のグループに入れたのだからきちんときてよっと言いたくなるけど言わない)すると早めの人も遅れてまぎれこんで来るので、当然処理能力を越えて遅れ出す。途中、説明を長くせねばならない方がいて、最高40分予約から遅れてしまった。11時過ぎからスパートして、軽い方はホントに飛ばして、それなのに途中に新患をぶち込むのがいる。(ヤメテクレヨー、ドウセーちゅうねんと言いたくなるのをこらえて、顔にでるとまずいから)
 結局おわりは、13時半、欠席と割り込みを込めて40人位かな、270分÷40人=6.75分/人。それでも、スパート下の方にはやや悪かったかな。実際は数人に至急検査を指示し、のべ人数は+3人位です。
 それなら近医へ紹介すれば良いのでしょうが実際にはなかなか難しいのです。「アソコは行きたくない、私はここに来たい」とかでなかなかまとまりにくい、ドライに切れば、そうでもないけどそれは情的には難しいね。ある程度の納得に近いものを示す必要があるかとも考えます。
 話せば長くなる、話さないと手抜きのようだし、いつもこのジレンマですね。

 この解決法は、里見クンでは無理だし、財前クンではけんかになるし、やはり東教授に任せるしかない。
「あなたはもう大学には来なくても大丈夫だから、近医で診療を続けてもらいなさい。そして、大学の治療が必要な方と交代してください。」・・・ここまで言いたいよ、全くもう。
 日本の外来はこんなののくり返しなのかな・・・・・考えておこう!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

35

2005-01-13 23:47:55 | Weblog
 35、わかるよね。今日は新患担当で新患患者の35人をお相手したのです。お相手なんて言うと失礼かな。9時開始で、当然朝は寒いのでスタートは悪く少ない。ラッキーと思わせながら、後でカウンターが来るのです。
 だから、ゆっくりやってはいけないのです。いつ急患が来るかも知れないのです。そうなると、後はめちゃくちゃ、急患を診察に外に出ると、待ってて先をこされる方達がジロッと見るのです。あの視線は堪らないね。『どうして、じっと待ってる私達を飛びこすのですか』っていう感じ。
 今日は“気胸(肺に穴があいてしぼんでしまい、息苦しくなる。しぼんだ肺をふくらませるために、そっち側の胸に太い管を差し込んで中に漏れた空気を抜くことが必要です)”でした。外来は増えてきているし、また、今日は13時50分には外へ出なければならないのです。近くの会社の安全衛生委員会が14時からで、それに出席せねばならないのです。外との約束は絶対です。それで、手の空いている者に処置を頼み、借りを作ってしまいました。
 財前クンのように「今日の診療はこれまで、後は何とか言って佃君に診察を任せるように」と言ってみたいよ。
 12時過ぎでまだ後10人、もうヤバイ!この中に併診(他の診療科からこの人を診てよと紹介される。この分大体はっきりと病気があり面倒)が2件もあった。
 約束は破れないので、この時間から石橋を叩いて走って、検査はするけど、結果は後日として漸く13時20分に終了。
 急いでウドン・・を食べ始めるとPHS(医師全員持たされている)、あのずっと少しずつ書いている患者がおかしい。「先生、意識が遠いんです」「それは二酸化炭素がたまってきたのだ」と答えてウドンをすするが熱くてスピードは出ない。「先生、すぐ来てくれるんですか?」「ウゥウゥーン」と大至急誰かを捜しまくって呼吸管理を頼む。これで今日は借りを二つも作ってしまった。

 瞬間、財前クンになりたかったよ。「佃君、後を頼むよ、僕はちょっと出かけるから」と言うように。
 里見クンならきっと、外との約束時間を破っても患者の処置を自分でやっただろうね。

 35人を4時間20分、260÷35=7.4。 新患患者を平均7.4分で診察する、はっきり言ってこれは結構危ない橋を渡ってるよ。反省・・・でも、反省のドウドウ巡りでしょうね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

68

2005-01-13 00:23:07 | Weblog
 68人、今日の外来予約患者数です。9時から昼休みを挟んで16時40分までの、実質約6時間20分、380÷68=約5.6分に一人の診察。これは呼び込みから戸を開けて、入ってすわり、診察、出ていって戸の閉まるまでの時間で、実質の診察は精々4分位かな。中には20分位の長い人もいるから、当然逆に1分の短い人もいるよね。
 再現! ガラガラッと戸を開ける音(引き戸なのでガラガラです)医師「おはようございます」患者「おはようございます」医師「どうぞおかけ下さい」患者:黙ってすわる。医師「お変わりありませんか」患者「特に変わりありません」医師「検査値も正常なのでこのままお薬を続けて下さい」といって伝票入りのファイルを渡しながらいう。「このファイルをでて左の13番のカウンターに出して下さい」ガラガラと戸の閉まる音で終わり・・・これで約1分。他に、顔色、顔つきを見て目つきを見ながら視線を合わせ、そっと脈をみる。
 この間患者は「おはようございます」と「特に変わりありません」の二言しか言ってない。
 こんなのでいいのかな。何か間違ってるよと思いながら、石橋を叩いて走り抜ける。
 
 里見クンならきっと言うよ。「患者さんときちんと話し、時間をかけて診察するように」
 でも、財前くんなら、「忙しい医者は、一分で診察するのも必要な能力だ」と。
東教授も言うだろう。「君も成長したもんだ、一分で診療が出来るまでになったんだから」と皮肉を込めて。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする