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ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

どくとるマンボウ

2011年10月26日 | 文学

   どくとるマンボウの愛称で有名な北杜夫が84歳で亡くなったそうですね。
 医学博士であり小説家であり双極性障害(躁うつ病)患者でもあった、わが国文学界の言わば異端児でした。

 
北杜夫です。

 躁が激しい時に株取引で破産も経験しているとか。
 躁状態時に金遣いが荒くなることはよく知られています。
 私も半年程度の激躁時、ずいぶん無駄遣いをしました。

 マンボウ・マゼブ共和国として日本国家からの独立を勝手に宣言したりして、奇行で有名でもありました。

 私は「楡家の人びと」のようなシリアスなものは好まず、「どくとるマンボウ航海記」などのどくとるマンボウものを好んで読んだ記憶があります。
 それまでのわが国文学には珍しい、ドライなユーモアにあふれた作品でした。

 でもなんと言っても私が彼に親近感を抱いているのは、彼もまた私と同様中年になってから双極性障害を患ったとのことで、同病相哀れむの類で彼の動静を注視していたからでした。

 双極性障害というのは不思議な病気です。
 当初私はうつ状態となり、うつ病と診断されましたが、その後、上司からのパワーハラスメントで弁護士を立てて抗議したことがきっかけで、寝なくても平気、やたらと徹夜で駄文を書き散らす、大金を平気で使う、喧嘩っ早くなる、などの躁状態が現れ、双極性障害に診断が変わったのでした。

 躁状態にある時は元気になったとしか思わず、まるで病識がないのですが、躁状態が終わってみると、酔いから覚めたように冷静になり、よくもあんな怖ろしいことをしたものだ、と反省するわけです。
 幸い私は躁状態は一度しか経験していませんが、もうあんないつも何かにせきたてられているような状態を経験したくありません。

 古代ローマ時代から躁うつ病に使われている炭酸リチウム(リーマス)が私には合っているようで、血中濃度も安定しており、躁状態も現れません。

 北杜夫のすごいところは、躁状態であってもうつ状態であっても執筆を続けたことでしょう。
 同病者の星とでも言うべき作家が亡くなったことは、誠に残念です。

楡家の人びと (上巻) (新潮文庫)
北 杜夫
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楡家の人びと (下巻) (新潮文庫)
北 杜夫
新潮社
どくとるマンボウ航海記 (新潮文庫)
北 杜夫
新潮社

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チェックメイト

2011年10月26日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 昨夜はフランスの新感覚ホラーを観ました。
 「チェックメイト」です。

 映画学校への進学が決まったヤニックが、自転車の転倒事故を起こし、前の家に助けを求めます。
 ところがその一家は、とんでもないやつらでした。
 父親は己を正義と信じ、麻薬の売人や小児性愛者を見つけては殺害するという、必殺仕事人を地で行くような男です。
 ヤニックは偶然まさに死のうとする麻薬の売人を見てしまったことから、一家の主に監禁されてしまいます。
 しかしヤニックは罪人でも悪人でもないことから、監禁するだけで殺そうとも痛めつけようともしません。
 持て余している感じです。

 そんな仕事人親父の趣味はチェス。
 何度も全国大会で優勝し、無敗のチェス王者です。
 チェスでも、白は正義の軍、黒は悪の軍と考えており、打つのはいつも白です。

 ある日、テーンエイジャーの娘を仕事人の娘を後継者にしようと仕事の場に連れて行きますが、娘にはそんな器量はないことに気付きます。
 親父は娘に冷淡になり、ヤニックを後継者に仕立てようとします。

 映画の後半、ヤニックを仕事人として鍛えるため、連日チェスの猛特訓を続けます。
 そしてヤニックはチェスの腕をめきめきと上げ、いよいよ親父と同等になった頃、悲劇が起こります。
 逃げる事よりもチェスで勝利することに執念を燃やすヤニック。
 親父のヤニックへの入れ込みように崩壊していく家族。
 そしてついに二人は、死体で作った駒でチェスを行うという壮絶な戦いに突き進んでいきます。

 正直ちょっとだれました。
 無駄なシーンが多いように思います。
 同じ監禁の恐怖を描いた映画なら、「ミザリー」のほうが上でしょうねぇ。

チェックメイト [DVD]
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韓国料理

2011年10月25日 | 社会・政治

   先般、韓国の李明博大統領夫妻が訪米し、国賓として遇されました。
 その時のオバマ大統領主催の歓迎の宴で出された料理に、韓国の大マスコミがブチ切れています。

 というのも、数ある料理の中に、鮨が数貫と、和牛のステーキが混じり込んでいた、というのです。

 韓国と言えば、国を挙げてキムチを中心とする韓国料理を世界に売り出し、世界遺産に登録すべく努力しているお国柄。
 その韓国大統領夫妻に、憎い日本の料理が出されたのですから、心中穏やかではないでしょう。
 特に大統領夫人は韓国料理を世界料理に、というキャンペーンの旗振り役だそうですから、はらわた煮えくりかえる思いだったのではないでしょうか。

 今や、日本料理はフレンチや中華などと並ぶ、最高級料理。
 米国大統領主催の晩餐会にチョイスされるくらいですから、それは疑いのないところでしょう。

 フレンチと中華はそれぞれ世界遺産登録へ申請しているそうです。
 わが国では和食を世界遺産に登録しようという動きはありません。

 ミシュランが東京版と関西版を出す時、多くの名店がミシュラン掲載を拒否し、ミシュランを驚かせたとか。
 欧米のレストランにとってミシュランガイドに掲載されることはこの上ない名誉のようですが、わが国の名店は観光客や素人客で予約が一杯になっては、常連さんの足が遠のくし、客層が変わって店の雰囲気や味にまで影響が出ることを怖れたようです。

 こと料理に関しては、味といい、見た目といい、季節感といい、器と料理との調和といい、世界に類のない芸術的なものだと思います。
 そして箸で食う所作の旨そうで美しいこと。

 私が何度か行って至福の時を過ごした浅草の高級鮨店、久いちです。

 タイヤ屋なんかにランク付けされて喜んでいるような、ヤワな料理人ばかりではありません。

 頼もしいぞ、料理人。

ミシュランガイド東京・横浜・鎌倉〈2011〉
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ミシュランガイド京都・大阪・神戸〈2011〉
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ショック

2011年10月25日 | 精神障害

   いやなニュースを聞きました。

 私にさんざん暴言を吐き、私の精神病を再発させた間抜けな職場のトップが、今年度末で任期切れのところ、再選が決まったというのです。
 これで平成25年度末まで、あの阿呆上司の下で働かなければならなくなりました。
 今年度末、あいつが消えるのを心待ちにしていたのですが。

 そのニュースを聞いて、激しい落ち込みに襲われています。
 パソコン画面を見ても、書類を見ても、心ここにあらず、という感じです。

 向こうは個室でふんぞり返っているので、滅多に顔を合わせることはありませんが、あいつが同じ建物で同じ空気を吸っていると思うだけで、はらわたが煮えくりかえる思いです。

 私も落ちては復活しをここ数年繰り返してきました。
 この程度のことで落ちたくはありませんが、精神に大きな傷ができて、やっとできたかさぶたを引きはがされた思いで、気持ちを持ち上げることが難しいと感じています。
 こんなことでまた長期の病気休暇に追い込まれるわけにはいきません。
 ここが踏ん張りどころですねぇ。



 今、昼休み。
 30分程度昼寝して、なんとか今日一日を乗り切りましょう。
 今日を乗り切ったら明日を乗り切りましょう。
 明後日のことは知りません。
 一日出勤の繰り返ししか、私が収入を得る方法はないのですから。

 はぁぁ、ため息がでます。

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冷たい熱帯魚

2011年10月25日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

   園子温監督渾身の力作「冷たい熱帯魚」を昨夜鑑賞しました。
 146分の大作ながら、長さを感じさせない、暴力と性、ブラック・ユーモアを包含した毒々しい大人のエンターテイメントに仕上がっています。
 いわゆるアダルト作品として作られた映画ではありませんが、そのあまりの毒気ゆえ、18禁の指定を受けたそうです。

 小さな熱帯魚店の店主、社本は、ふとしたことがきっかけで大型熱帯魚店を経営する岡田と出会い、親交を深めます。
 社本は後妻と折り合いの悪い娘を岡田の店で雇ってもらい、寮に預けます。
 明るく楽しい社交的な好人物に見えた岡田。
 しかし岡田は、おのれの欲望のためなら殺人をも厭わない恐るべき人物だったのです。
 岡田の犯罪に協力させられ、次第に犯罪や暴力への垣根を失くしていく社本。
 岡田とその妻は社本を助手にして次から次へと殺人を犯していきます。
 岡田が殺人のことを、「ボディを透明にしちゃう」と笑顔で表現する芝居は鬼気迫るものです。
 すなわち、ばらばらにした上で骨と肉を分け、肉は一口大に切り刻んで山奥の川に捨てます。
 すると魚が食べてくれます。
 骨はがんがん燃やしてから砕いて灰にし、山中にばらまいてしまいます。
 そうするとボディが透明になっちゃう、というわけです。
 警察は岡田の周辺から次々に行方不明者が出ることに疑惑を抱いていますが、死体が見つからないので殺人を疑えません。
 なんと岡田夫妻は社本と出会う前に50人以上の殺人事件を起こしてきたと、自慢げに語ります。

 普段好人物や庶民を演じて見ない日はないくらい様々な役を演じている名脇役、でんでんが、今作では岡田を演じて観る者を圧倒します。
 そして気の弱い社本が段々暴力に目覚めていく様を演じて不気味な吹越満

 いずれ劣らぬ役者たちが、園子温監督の強烈な演出に応えています。
 
 生まれついての殺人カップルとしてマスコミを賑わせた男女を描いた「ナチュラル・ボーン・キラーズ」の日本版と言ったら園監督に失礼でしょう。
 「ナチュラル・ボ-ン・キラーズ」よりもはるかに高い完成度とエンターテイメント性を兼ね備えています。
 
 文句なしにお勧めできる一作です。
 是非ご覧ください。

冷たい熱帯魚 [DVD]
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霜降(そうこう)

2011年10月24日 | 文学

 そういえば昨日は霜降(そうこう)だったのですね。

 二十四節季の18番目、そろそろ霜が降りるころ、です。
 牛肉の肉質のことではありません。

 でも昨日はなんだか蒸し暑かったし、今日もそう冷えるというほどではありません。
 初霜にはまだ三週間ばかり早いように思います。

 明治の俳壇で、高浜虚子は守旧派のレッテルを張られました。
 それに対して彼は、自分が守旧派だというのは他人が言っているのではなく、俳句の伝統美を守るため、自ら守旧と言っているので、それはむしろ褒め言葉だ、とへそ曲がりなことを言っています。

 その高浜虚子に、霜降を詠んであまりにストレートな句があります。

 霜降れば 霜を楯とす 法(のり)の城

 霜が降ったなら霜を、花が咲いたなら花を感得して仏法を学ぶよすがにしようという、説教くさい句です。
 私はあまりこの句を好みませんが、霜降をここまで素直に詠んだ句も歌も知りません。
 そういうわけで、この時季にふさわしかろうと思ったわけです。

 さて、彼の兄貴分である正岡子規は、また守旧とは異なった味わいの、秋の句とも冬の句とも見える面白いものを詠んでいます。

 
菊の香や 月夜ながらに 冬に入る

 菊と月は秋の季語、冬はそのまま冬の季語、いわゆる季重ねのひどいやつですね。

 普通季重ねというと、二つでしょうが、これは季語が三つですからねぇ。

 素人がやったら俳諧の師匠に怒られちゃうでしょうねぇ。

 それを平然とやってのけるのが、正岡子規の天才肌というか、ひねくれ者というか、ネーム・バリューというか、いずれにしろまともな句ではありません。

 しかし私は、霜降をストレートに詠んだ高浜虚子の句より、季重ねを三つもやった正岡子規の句を良しとします。

 だって面白いではないですか。

虚子五句集 (上) (岩波文庫)
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虚子五句集 (下) (岩波文庫)
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子規句集 (岩波文庫)
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労働基本権

2011年10月24日 | 社会・政治

 今月はじめ、国家公務員等の給与を0.23%減額せよという人事院勧告が政府によって無視され、7~8%立法によって給与を減額することがほぼ決まりました。

 労働権に制限を受ける公務員には、その代替措置として人事院が置かれ、戦後の混乱期を除き、人事院勧告ほぼ完全実施されていました。
 高度成長期には民間会社の給料が右肩上がりだったため、人事院は毎年10%ちかく給与を増額せよという勧告を出してきました。
 しかしバブルが崩壊して数年たつと、初めて減額の人事院勧告が出されるようになりました。
 当然、官民格差が生じないようにするためです。

 しかも行政改革の旗を掲げ、それこそ怖ろしい勢いで職員数が削減されていきました。
 そのうち役所には誰もいなくなっちゃうんじゃないの?という冗談が、本当らしく聞こえてきたほどです。
 一人への業務負担が過重となり、体を壊す人、精神を病む人、ひどい場合には自殺する人などが頻発するようになりました。

 それでも給与減額と定員削減の波は止まず、次第に職員たちのモチベーションは下がり、モラルの低下が見られるようになりました。
 給与が減って仕事が増えるのですから、人情としてやってられない、と思うのは当然です。

 昭和48年5月、全農林最高裁判決における公務員の労働基本権制約の根拠というのが示されました。

 
公務員は労働基本権に対する制限の代償として、制度上整備された生存権擁護のための関連措置による保障を受けている。(法定された勤務条件の享有、人事院勧告制度、人事院に対する行政措置要求及び審査請求)

 これにより、政府が人事院勧告を無視することは憲法違反の疑いがある、と多くの法律家が考えるようになりました。

 そして、今年の人事院勧告無視。
 民主党と連合が主導したと言われていますね。
 民主党は政治主導で公務員の給料を減らしたと言う実績を作りたい。
 連合は例え今年公務員の給与が大幅に減額されてでも、将来は国家公務員にスト権を含めた労働三権を付与したい、という思惑のようです。

 要するに、人事院廃止と、労働権の付与をセットにして実現するためには、一年くらい人事院勧告よりはるかに大幅な給与減額を受けても、将来労働争議などを繰り広げればすぐに元は取れる、ということのようです。

 いやですねぇ。
 全体の奉仕者たる公務員が、おのれの生活を守るために仕事をおっぽり出してデモやストをやるなんてねぇ。
 公共サーヴィスがそんなことで停滞しては、公務員のみならず、国民全体にモラルの低下が広がるような気がします。

 私は公務という仕事の特殊性に鑑みて、労働権を制約し、代替措置として人事院を置くという今の制度は、合理的だし優れていると考えています。

 それだけに、野田政権の人事院勧告無視は残念でなりません。

公務員労働基本権の再構築
渡辺 賢
北海道大学出版会

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裏側には何も

2011年10月24日 | 思想・学問

 1990年代から2005年にかけて、評論家の大塚英志と小説家の笙野頼子との間で、くだらぬ論争が起きたことがありました。

 大塚英志は、いわゆる純文学雑誌は出せば出すほど赤字になり、その赤字を漫画雑誌の黒字で補てんしており、文学作品には市場価値がない、というようなことを書き、それに対して笙野頼子が、純文学=芸術という観点から、芸術性の有無を無視して商品価値に力点を置くのは筋違い、という批判を行ったもので、これはだらだらと10年以上続きました。

 そもそも両者は異なった立場で論を展開しており、ゆえに噛みあうはずもなく、笙野頼子のヒステリーと大塚英志の意地悪さが目立つ、醜いものでした。
 挙句の果てに笙野頼子「徹底抗戦!文士の森」なる書物を出版し、この論争は飯の種だったのだと教えてくれました。
 嗤えます。

徹底抗戦!文士の森
笙野 頼子
河出書房新社


 文学上の論争というのは、時折起こりますね。
 例えば昭和30年代、純文学と中間小説の優劣を論争した事件や、井上靖の「蒼き狼」をめぐって大岡昇平が史実を歪める作品だとかみついた、歴史小説論争など。

 いずれも空しいですねぇ。
 なんだか柔道の金メダリストと相撲の横綱とレスリングのチャンピオンがガチンコで戦ったら誰が強いか、と言い合っているような虚しさを感じます。

 それぞれルールが違うのに、どっちが優れているとか正しいとか言ったってねぇ。

 実作者なら論争など黙殺し、作品を堂々と発表すれば良いものを。
 「僕を知りたければ作品の表面だけを見てください。裏側には何もありません」と言ったのは、アンディ・ウォーホールでしたか。

 多分実作者が取りうる態度はこの言葉に集約されるものと考えます。

ぼくの哲学
Andy Warhol,落石 八月月
新潮社

 

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喪女と「ニート・ジェネレイション」

2011年10月23日 | お笑い

 先日「ニート・ジェネレイション」という歌と、その歌の替え歌、喪女を歌ったものを見つけました。  
 涙なしには聞かれない、切ない曲です。
 ニートは自分の日常を明るく歌いながら、その内容はとてつもなく自虐的なものです。

 長期病気休暇中、私は職場復帰は不可能であろうと考えており、この歌の気持ちはよくわかります。

 【♀が】 ('A`# ニートのうた #'A`) -NEET GENERATION- 【歌ってしまった】

 喪女というのは、彼なし友なし仕事なしの三拍子そろったきつい女性のことだそうです。
 男だと毒男と言うんでしょうか。
 アラフォー喪女の鬼気迫る思いが、かーんと明るい歌声で歌われ、面食らいます。

('A`# ニートのうた #'A`) -NEET GENERATION-歌ってしまった【替え歌】

 ニ-トのみなさんも喪女のみなさんも、人生オワタなどと言ってはいけません。
 人生軌道から外れたって、生きる道はあるのですから。
 まずは短期で簡単なアルバイトから初めて、少しづつ、収入を増やしていったらどうでしょう。
 いつまでも細い親の脛はかじれませんから。

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エスケイプ

2011年10月23日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 「戦場のピアニスト」「ジャーロ」で独特の演技を見せ、観客を魅了するエイドリアン・ブロディが主演、製作総指揮を務めたスリラー「エスケイプ」を鑑賞しました。
エイドリアン・ブロディです。

 気がつくと森の中、車の助手席で血まみれになっていた主人公。
 記憶を失っているらしく、自分が誰で、なぜそこにいるのかわかりません。
 後部座席には血まみれの男の死体。
 運転席には誰もおらず、拳銃があります。
 足をはさまれて身動きとれないまま半日が過ぎ、強引に車の外に出ると、足を折って立ち上がることさえできません。
 彼方には男の死体。
 一体なにがあったのか、わからずに混迷する主人公。
 ラジオ・ニュースで衝撃の事実を知ります。
 乗っていた銀色のシボレーは強盗殺人犯が逃走に使ったもので、犯人は銃で武装しており、たいへん危険だとのこと。
 では自分は銀行強盗を働き、警備員2人と銀行員1人を射殺して大金を奪った強盗犯の一味なのか?
 断片的に蘇ってくる記憶では、どうもそうであるらしく、ならば助けが来ても逮捕されるだけ。
 かといってこのまま森に留まれば飢え死にし、山猫の餌になるのを待つことになります。
 意を決し、公道を目指して這って進みます。
 やがて記憶が蘇り、話がつながる、という作品。

 名作「戦場のピアニスト」も戦場をあてども無く逃げ回る映画でしたが、「エスケイプ」では助かりたい思いと逮捕されたくないという思いのなか、生き抜くために彷徨う映画でした。エイドリアン・ブロディには極限状況での情けない男の役がよく似合います。
 ちょっとオチが弱かったかなぁと思いますが、まあまあ楽しめると思います。

エイドリアン・ブロディ エスケイプ [DVD]
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TPP

2011年10月23日 | 社会・政治

 不思議ですねぇ。
 近頃のTPP交渉をめぐる議論。
 TPP交渉に参加すべきだとかすべきではないとか言っていますが、TPP交渉にわが国が参加するには、すでに参加を決めている9カ国が同意しなければならないわけです。
 つまり、日本はTPP交渉に入れない、と言われる可能性だってあるのに、手を挙げればすぐにでも入れてもらえるような前提で話をするのは、傲慢の謗りを免れません。
 また、TPP交渉に参加できたとしても、それが即TPP加盟を意味するものではないことは自明の理です。
 あくまで交渉のテーブルにつくというだけのこと。
 わが国にとって受け入れがたいものであることが交渉によって明らかになれば、加盟を見送れば良いだけの話です。
 交渉のテーブルにつくことさえできないというのでは、あまりに頑なというものです。
 わが国ほど自由貿易の恩恵をこうむってきた国も珍しいでしょう。
 それが自由貿易に関する交渉に参加しないなんていうことは馬鹿げています。

 よく農業が壊滅的打撃を受けると言いますが、9カ国すべてが同じ土俵に上がるという話で、それぞれの国が得意な産業、不得手な産業を抱えています。
 例え自国の産業の一部が打撃を受けてでも、貿易の自由化を促進することは消費者にとってメリットがあり、長い目で見てグローバル社会が進むべき道であることは、時代の趨勢を見れば明らか。
 そしてTPP交渉参加国すべてが、最初は自国の不得手な分野を保護しようと主張しあうでしょう。
 わが国も主張すべきです。
 譲歩できることとできないことを密かに決めておいて、少しずつ外交カードを切ったり譲歩したりというパワーゲームは、おそらく3年や4年続くでしょう。
 であるならば、少しでも早くパワーゲームに参加したほうが、物事を有利に進められるというものです。

 いずれにしろTPP交渉への参加は、国家100年の大計に関わること。
 傍観していては、不得手な分野のみならず、自動車や家電などの得意分野をも殺してしまうことになりかねません。

 交渉に参加するかどうかを議論している場合ではありません。
 交渉には当然参加して、加盟するかどうかはその後に決めればよいのです。

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伯爵邸と文士の家

2011年10月22日 | 散歩・旅行

 昨夜からの雨で、今日はなんだか蒸しましたね。
 
 今日は新宿方面へ出かけました。
 と言っても歌舞伎町でもなければ西新宿でも伊勢丹でもありません。
 新宿区上落合の新宿区立林芙美子記念館と同じく新宿区若松の旧小笠原伯爵邸のあたりをぶらついたのです。
 林芙美子記念館は林芙美子が住んでいた家をそのまま見せているもので、流行作家の家にしては質素なものでした。
 それでも当時の庶民から見たら大豪邸だったのでしょうけれど。
 全室和室で、夫のアトリエだけが板の間でした。
 面白いのは、書斎用に作った八畳間では筆が進まず、わずか三畳ほどの納戸を書斎にして書いていたとか。

 林芙美子の書斎です。

 何か追い詰められたような場所に身をおかないと書けなかったのかもしれませんねぇ。
 江戸川乱歩は蔵にこもってランプの灯りで書いていたと言いますし。

 その後に行った旧小笠原伯爵邸はヨーロッパのお城みたいでしたねぇ。
 今はレストランになっており、全館貸切の結婚披露パーティなどにも使われるとか。
 玄関には多数の太い蝋燭と真っ赤な薔薇が散らしてありましたから、今夜パーティが行われるのでしょう。
 レストランはランチが7,000円から、ディナーが15,000円からと、べらぼうな値段をつけていました。
 そこでのランチは諦めて、小さな喫茶室が併設されていたので、珈琲を飲みました。
 信じられないほど濃い珈琲がほんの少し出てきました。
 トイレがまた広くて、林芙美子が小説を書いていた部屋以上でしたねぇ。
 格差社会なんて言いますが、昔はもっとひどい階級社会だったのですね。
 たかが文士風情が住む家と、伯爵様が住む家では雲泥の違いだったようです。


 旧小笠原邸の玄関です。

 でも今は、旧華族よりも流行作家のほうが豪邸に住んでいるイメージがありますね。
 私も豪邸に住みたいものです。

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すっとこどっこい

2011年10月21日 | 文学

  学生の頃、近代文学概論という講義がありました。
 てっきり夏目漱石・森鴎外あたりから後の文学を取り上げるのだとばかり思っていたら、思いっきり古く、仮名垣魯文でした。
  ずっこけましたねぇ。 
 江戸後期から明治初期にかけて活躍した戯作者で、近代文学というより近世文学に近く、面食らった覚えがあります。

 彼の作品に「西洋道中膝栗毛」という戯作があります。
 「東海道中膝栗毛」で大活躍したやじさん、きたさんの孫がロンドン博覧会に出かけるという趣向で、戯作的滑稽さと、当時の日本人の西洋文明への憧れをくすぐって、たいそうなベストセラーになったようです。
 仮名垣魯文本人に洋行の経験はなかったそうですが、見てきたような嘘を書き連ねるのが戯作だとしたら、戯作の王道とも言えましょう。
 孫たちも爺さん二人に負けず劣らず間抜けで、笑わせます。
 近代文学概論といういかめしい名前の講義ですが、抱腹絶倒でした。

 江戸っ子というものは、どうしてああすっとこどっこいで騙されやすく、けんかっ早いのでしょうねぇ。
 江戸落語に出てくる人物もたいていすっとこどっこいです。
 少々まともと思われる長屋の大家さんも、やっぱり抜けています。
 
 寅さんやタコ社長、おいちゃんみたいな連中があっちにもこっちにもいたと思うと、楽しそうですねぇ。

 中村勘三郎もニュー・ヨーク公演の際、警官に何か聞かれて、日本語で「やるってのかっ、撃ってみろっ、撃ってみろぃ」と啖呵を切ったというから痛快ですねぇ。

 夏目漱石の作品では、私は「坊っちゃん」「吾輩は猫である」の二作が最も良いと思いますが、坊っちゃんも典型的な江戸っ子として描かれていますね。
 一説には、夏目漱石「坊っちゃん」を書いたのは、失われゆく江戸っ子らしい江戸っ子へのノスタルジーだったのではないか、と言われています。 

 でも今でも、けっこういますよねぇ。
 人が困っていると放っておけず、つい自分が損しちゃう、話にはオチがないと気が済まない、一見強面ながら話すと抜群に面白い江戸っ子気質の人が。
 面白いのは、江戸落語に登場する上方の人は、ケチ兵衛とかあだ名されて、金に細かかったりするのですよねぇ。

 たいして広くもないわが国で、お国なまりや郷土の気質が連綿と受け継がれているのは、面白いかぎりです。

 あぁ、こんなこと書いていたら、当代最高の噺家、柳家小三治師匠の粋な話が聞きたくなりましたねぇ。

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西洋道中膝栗毛 六編~十編 (リプリント日本近代文学)
仮名垣 魯文
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カダフィ大佐死去

2011年10月21日 | 社会・政治

   リビアの反カダフィ派、大喜びですね。
 しかしカダフィを倒した今、一番内戦が勃発する危険が高まってもいます。
 反カダフィで一致した各派が、おのれの利益を求めて暴走しないとも限りません。
 新しい国造りの、これからが本番です。

 
 中東の狂犬、カダフィ大佐がついに殺害されました。
 旅客機を打ち落としたり、日本赤軍などの左翼過激派を支援したり、敵対する自国民を虐殺したり、やりたい放題でしたね。
 最後は無残でした。
 生きたまま捕まったのに、昂奮状態に陥った反カダフィ派から殴る蹴るの暴行を受けて殺されてしまいました。
 さすがの狂犬も、命乞いをしたとか。
 できれば裁判にかけて、様々な事実を明らかにしたうえで、終身刑なり死刑なりを科してほしかったところです。
 そうはいってもこれは暴力革命。
 暴力革命のいきつく先が、独裁者の惨殺であったとしても、誰も責めることはできますまい。

 下の映像はカダフィ大佐をなぶり殺しにする場面です。
 心臓の弱い方はご遠慮ください。

 

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アジャストメント

2011年10月21日 | その他

 神秘的なSFかと思いきや、恋愛映画でがっかりしました。
 「アジャストメント」

 若き上院議員候補者、デビット。
 上院議員選挙に落選が決まった晩、ホテルでダンサーのエリースと運命的な出会いをします。
 しかし突然、全員帽子をかぶってダークスーツで決めた運命調整局を名乗る連中に彼女との仲を引き裂かれます。
 それでも諦めきれないデビットは、持ち前の行動力で運命調整局を欺いて彼女との愛を貫こうとします。
 運命調整局の職員は議長が決めた全人類の運命の書のとおりに物事が進むよう微調整を繰り広げるのが任務。
 職員いわく、人間よりもずっと長生きし、この仕事を続けてきた、とか。

 運命を人間の手にゆだねたことが二回。

 一回はローマ帝国後期からの数百年間で、人類は中世暗黒時代を作り上げてしまいました。

 二回目は20世紀初頭からの数十年間。
 人類は二度の世界大戦を起こし、ファシズム、世界恐慌を引き起こし、キューバ危機では人類滅亡を意味する全面核戦争一歩手前までいきました。

 結局運命を人類の手に委ねれば、人類は自らを滅ぼしてしまうと考え、議長が三たび運命の書を書くことになりました。
 ここでいう議長とは、一神教の神様で、運命調整局というのは、神に仕える天使の集団のようです。

 それにしても狂気染みた求愛行動ですねぇ。
 もともと恋愛という状態に陥ると、脳内麻薬物質が大量に分泌し、いわばラリった状態になるもの。
 そういう二人の関係は、傍から見ると狂気染みて見えるものです。
 そういうのを見ると白けちゃうので、私は恋愛映画や恋愛小説を好みません。

 今まで観たなかでは、唯一「ブリジット・ジョーンズの日記」が面白かったですねぇ。
 もっともあれは恋愛映画というよりコメディーの要素が強かったですが。
 韓国の「猟奇的な彼女」は残念でしたねぇ。
 コミカルなのは最初だけで、途中から大メロドラマになってしまいました。

 「アジャストメント」、恋愛の要素を減らし、運命調整局と議長の存在意義などを前面に出せばもっと面白かったと思います。

アジャストメント [DVD]
マット・デイモン,エミリー・ブラント,テレンス・スタンプ,アンソニー・マッキー
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