ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

壮大な無駄

2011年10月13日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 映画というのはそもそも壮大な無駄であり、さらに言えば物語や芸術作品はすべて壮大な無駄と言えるでしょう。
 しかし人というもの、衣食が足りると必ず無駄を求めるかのごとく、あまたの無駄が作られてきました。

 私が偏愛する映画監督、ヴィム・ヴェンダース監督の作品はことさら、無駄に長く、無駄な行いを撮影しているようで、それが不思議と心に沁みます。

 冷戦時代のベルリンを舞台に、中年男の外貌をした二人の天使のくどくどしい独白を描いて、当時大評判を呼んだ「ベルリン 天使の詩」

 失踪して米国大陸を彷徨い、行き倒れになった男が幼い息子と再会し、出て行った妻を求める旅を描いてロード・ムーヴィーの金字塔と評され、カンヌでパルム・ドールを受賞した「パリ、テキサス」

 近未来、甘美で怖ろしい自らの夢の世界に溺れ、まるで薬物中毒のようになってしまう人々を描き、退行への暗い欲求を描いた愛おしい作品「夢の果てまでも」

 リスボン市の依頼でリスボンを舞台にすべての映画へのオマージュを捧げた「リスボン物語」

 ドイツ人作家と、母を見失った少女アリスとの不思議な旅を白黒で旅情豊かに謳い上げた「都会のアリス」などなど。

 これらはいずれも私が中学生から社会人1年目くらいに観た映画で、私の映画へのイメージの核となったものです。

 つまり、役にも立たない無駄な物を心を込めて作ること。
 そして無駄なことを仕事にしている人の、なんと楽しそうなこと。
 残念ながら私には、無駄な才能などありませんでした。
 残念です。
 誠に誠に残念です。

 幻想的で切なく、そしてどこか不気味な印象が、私をして極端に残酷なホラー映画へと走らせたのかもしれません。
 
 ヴェンダース監督は小津安二郎のファンでも知られ、監督のおかげで小津ブームが起きたほどです。

 中でも最も好きだった「夢の果てまでも」のDVDが発売されていないのは、残念な限りです。
 

ベルリン・天使の詩 デジタルニューマスター版 [DVD]
ブルーノ・ガンツ,ソルヴェイグ・ドマルタン
東北新社
パリ、テキサス デジタルニューマスター版 [DVD]
ハリー・ディーン・スタントン,ヴィム・ヴェンダース
東北新社
リスボン物語 [DVD]
リュディガー・フォグラー
紀伊國屋書店
都会のアリス [DVD]
ヴィム・ヴェンダース,ファイト・フォン・フェルステンベルク
バップ

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事業仕分け第4弾

2011年10月13日 | 社会・政治

   懲りないですねぇ。

 来月下旬に事業仕分けをまたやるんだとか。

 最初は自民党が作った予算の仕分けだったからまだツッコミやすかんでしょうけど、民主党が作った予算や事業を民主党の議員が仕分けするなんて、天に唾するようなものですねぇ。
 大体事業仕分けには無駄を排除してお金を生み出す効果がほぼ無いことは民主党自身が認めているところ。
 政策や事業の性格を仕分けるというなら、最初からそんな政策打たなければ良いだけです。

 思えば事業仕分けの目に見える効果といえば、有名な「1番じゃなきゃ駄目ですか?」という元グラビアタレントの一言のおかげで、国民に広く学術行政予算が不足していることを知らしめ、スーパーコンピューター事業のみならず、学術行政全般に予算がつき、お陰様を持ちましてスーパーコンピューターの演算速度が世界一になったことくらい。

 そうすると事業仕分けの結果と逆のことをすれば概ね正しいということになりましょうか。

 皮肉なものですねぇ。

 事業仕分け的なことは、はるか昔から予算編成の時に行われていました。

 まずは各省内で無駄がないかを検討し、次に財務省で厳しく査定し、しかる後国会の論戦を経る、という方法で。
 何も一般公開してテレビカメラを入れなければ事業仕分けに実効性が伴わないわけではありません。
 むしろ短時間で素人が議論することになるため、頓珍漢な結果が続出するという、誠に面白おかしい政治ショーになってしまうことは、これまでの経緯から明らか。

 これが政権の人気浮揚に役立つとか、選挙に有利になるとか考えているのだとしたら、大間違いです。

 むしろ馬鹿の一つ覚えみたいで滑稽に見えることに気付くべきでしょう。

一番じゃなきゃダメですか?
蓮舫
PHP研究所

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年金支給年齢引き上げ

2011年10月13日 | 社会・政治

 野田内閣、唐突に年金支給を68歳以上に引き上げることを検討すると言い出しましたね。
 思えば民主党が政権をとるにあたっては、消えた年金問題を2年で解決すると言っていましたが、約5000万件と言われる消えた年金のうち、照合できたのは、約1584万件。
 半分にも遠く及びません。
 また、厚生年金、共済組合、国民年金に分かれているものを一元化し、歳入庁を創設するなんて話は、まるでお忘れのようです。
 当然、選挙の時には年金の支給開始年齢を引き上げるなんてことは、一言も言いませんでした。
 国民は馬鹿ではありません。
 しっかり覚えていますよ。

 少子高齢化にあたって、現役世代の負担を軽減するために、高齢者への年金支給をできるだけ減額したいという理屈はわかります。
 しかしそのためには、年金が支給されるまでの間、収入なしでは死ねと言っているようなものなので、高齢者雇用の確保ということが必要になってきます。

 現在、一定規模以上の事業所では、希望した者は全員、65歳まで雇用しなければならないことになっています。

 しかし部長クラス以上の、個室でふんぞり返っていた人が、60歳を境に突然非常勤職員ということで最末席に座り、コピー取りから机ふきまでやれというのは、本人にも、周りにも、酷なことです。
 そこで皮肉なことに、出世しなかった者ほど継続雇用を希望しやすく、出世した人は周囲に気遣って定年と同時に辞めていく、という奇妙な現象が起きています。

 今は少子高齢化社会の進行中で、高齢者の生活モデルが確立していませんし、曲がりなりにも65歳には年金がでますので、定年から5年間、貯金を取り崩したり、アルバイトなどでしのぐことが可能です。
 しかしこれが68歳となると、また違った老後の生活設計を求められます。

 無い袖はふれないというとおり、国としてはなるべく高齢者のための支出を減らしたいのでしょうが、人生の最後に路頭に迷う高齢者が続出しかねない拙速な議論は避けるべきでしょう。

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銀齢の果て

2011年10月13日 | 文学

 御大、筒井康隆の平成18年の作品「銀齢の果て」を読みました。
 私は中高生の頃、ツツイストを自認するほど御大の小説を愛読しましたが、大阪と東京の戦争を描いた「東海道戦争」や、ベトナム戦争の観戦を企画する「ベトナム観光公社」などのブラック・ユーモアあふれる作品から、「虚人たち」「虚航船団」など、純文学志向の実験的な作風へと変化するにつれ、あまり読まなくなってしまいました。

 実験的な作品が増えてからでは、退職した元大学教授の心象風景を描いた「敵」という作品がお気に入りです。

 で、今回の「銀齢の果て」、内容は少子高齢化が極端に進んだ近未来、70歳以上の老人同士殺し合いをさせるという相互処刑制度が施行され、ある町で起こる老人たちの殺し合いをユーモラスに、またドタバタ調で描いた作品で、やや先祖がえりした感のある作品です。
 しかし、若い頃のような疾走するスピード感、鬼面人を驚かす趣向は感じられず、御大の筆の衰えはいかんともなしがたいところです。

 映画「バトル・ロワイヤル」では、中学生同士が国家の命令で殺し合いをさせられていましたが、むしろ老人同士の殺し合いのほうが説得力があり、命の国家管理という、SFでたびたび取り上げられる古典的な内容を持ってもいます。

 作中、たびたび描かれる、返り血の熱さ、というのは、新鮮な驚きでしたねぇ。
 そしてまた、死と隣り合わせの殺人ほど、性的な愉悦をもたらすものはない、という記述。
 そういった反則技のような表現がたびたび出てくるところは、さすがは御大と思わせます。
 そうはいっても、ぐいぐいと読ませる力は健在です。

銀齢の果て (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社
東海道戦争 (中公文庫)
筒井 康隆
中央公論社
ベトナム観光公社 (中公文庫)
筒井 康隆
中央公論社
虚人たち (中公文庫)
筒井 康隆
中央公論社
虚航船団 (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社
敵 (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社
バトル・ロワイアル [DVD]
高見広春,深作健太
東映ビデオ

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