水木しげる先生が93歳で逝去されました。
妖怪を題材にした漫画、戦争体験を元にした漫画、どれも印象深いものです。
私がこの人に深いシンパシーを感じるのは、かつて日本社会において実際に存在するものとされてきたこの世ならぬ存在への予感を、堂々と表明し、それを面白く描き出した点にこそあります。
第六感だか霊感だか、名前はどうでも構いませんが、私は、現在存在しないとされている何者かが、確かに在ると思っています。
それは日本に限らず、どこの社会においても、神話や怪談などで語り継がれてきたことで、それらが在るからこそ、人々はそれらの存在を近しいものと感じ続けてきたのであろうと思っています。
ただし、それらは恐怖すべき対象では無い、あるいは恐怖すべき存在はごくわずかでありましょう。
水木先生が描き出した妖怪の類も、どこかユーモラスで、人間と共生する存在とされており、おそらくはそれが実態に近いものと思われます。
また、芸術家などが感じるインスピレーションは摩訶不思議なもので、それこそまさに、この世ならぬ者との感応が生み出したものでしょう。
水木先生が示された、この世ならぬ者との親和性を、今こそ取戻し、もって人間を人間たらしめている所以のものを復活せしめねばなりません。
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