ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

追悼 松方弘樹さん

2017年01月24日 | その他

   俳優の松方弘樹さんが亡くなりました。
 74歳だったとか。
 残念なことです。

 葬儀は近親者のみで済ませ、お別れの会などの予定は今のところないと聞いています。

 家族葬などの小規模な葬儀が流行する昨今の風潮を反映しているのでしょうか。

 人が亡くなるということはショッキングなもので、例え会ったことも無いとはいえ、テレビや映画で元気に活躍していた役者が亡くなるのは、身近な人が亡くなるのと同じような気分になるから不思議なものです。

 わが国では、死者の霊魂は、激しい穢れを帯びた怖ろしい存在と考えられますが、子孫の供養を受けて時とともに浄化され、清められた祖霊として神となり、いわば生前の個性を失って多くの祖先とともに敬われる存在となる、というのが一般的な考えであるように思います。

 先祖というのは一人一人の集まりというよりも、それらが一体化して、漠然と信仰の対象になっているように思います。

 そう考えると、死後数年しか経ていない霊魂は、生きている者にとってはまだ生々しく、怖ろしい存在なのかもしれませんね。

 もちろん、身近な人が亡くなった場合、幽霊であっても会いたい、というような、激しい追慕の念を抱くことはよくあることで、その人個人を怖れているわけではなく、先祖の一部に溶け込む前の存在を、一般的に怖れているといことではあるでしょう。

 市井に生きた名もない庶民たちは、みな、そのような時による浄化を経て、先祖の一部になりました。
 人間の歴史を考えれば、両親、祖父母、曽祖父母、さらにその両親と、先祖は巨大な塊となって、今を生きる私たちを見守ってくれています。
 何柱の神々かも分からないほどの厖大な数です。
 まことにまことに、ありがたいことです。
 これら神々は、一神教の神のように、厳しい信仰の義務を求めることなく、ただ、見守ってくれるのです。

 そしてまた、私たちも、いずれは巨大な先祖の一部となっていくはずです。

 それを思うとき、4年間も不妊治療を行いながら、ついに子宝に恵まれなかったおのれの不運を呪わずにはいられません。
 私はついに、直接の子孫を残すことができなかったわけですから。

 しかし幸いなことに、私には甥が二人、姪が一人います。
 このうえはこの3人に連なる先祖となることを願うばかりです。

 松方弘樹さんには最初の奥様と二度目の奥様との間に、何人かのお子さんがいると聞き及びます。
 松方弘樹さんはこれらお子さんたちを見守るご先祖の一部となって、長く、子孫たちを守り続けるのでしょう。

 ご冥福をお祈りいたします。

 
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