昨夜は恒川光太郎の短編集「真夜中のたずねびと」を一気読みしました。
この作家の作品の多くが異界と現実を行き来するような幻想的なものですが、昨夜読んだ短編集は趣を異にしていました。
つまり、現実世界で起きるミステリーの要素が極めて強く、異界との繋がりはほんのわずかばかり示唆されるだけなのです。
また、一つ一つが独立した短編になってはいますが、ある作品の主人公が別の作品の端役で登場したりして、緩やかな連作と読むことが出来るようになっています。
幻想的な要素が満載の恒川作品を期待すると肩透かしをくらいます。
作家の作風は年とともに変わっていくものです。
この短編集を興味深く読みはしましたが、もしこの路線を突っ走るようなら、私はこの作者から離れていくような予感を覚えます。