ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

贖い

2017年02月04日 | 文学

  昨日から体がだるく、咳やくしゃみ、鼻づまりの症状があります。
 ただ、熱は平熱なので、それほど辛くはありません。
 なんとなく違和感がある感じ。
 市販の風邪薬を飲んだせいか、寝ても寝ても眠いのです。

 晴れた土曜日にはお出かけすることを常としていますが、今日ばかりは自宅でのんびり過ごしました。

 リビングのソファでうとうとしたり、小説を読んだり。

 小説は、五十嵐貴久の警察推理小説、「贖い」を一気に読みました。

贖い
五十嵐 貴久
双葉社


 最近にしては珍しい、上下2段組の単行本でした。

 7月1日、2日、3日と、連続して子供を殺害する事件が発生します。

 しかし、場所が杉並・埼玉・愛知と離れているうえ、被害者が小学生の男の子、中学生の女の子、1歳の男児と、関連性を指摘する者もなく、それぞれ警視庁、埼玉県警、愛知県警が独自に捜査します。

 粘り強い捜査の末、59歳になる大手商社マンが浮かび上がります。
 変質者や異常性欲者の若い男に捜査対象を絞っていた上層部はこの見立てになかなか首を縦に振りません。
 それもそのはず、商社マンは誰に聞いても、真面目すぎるほど真面目で、部下や同僚、上司からの信頼も厚い、常識を備えた立派な社会人であるからです。

 やがて語られる20年前に起きた商社の息子の死。
 そこから、20年にもわたる、商社マンの復讐へのストイックなまでの暮らしぶりが語れます。

 彼を追い詰める警部と商社マンとの緊迫感あるやりとり。

 グイグイと読ませます。

 商社マンが逮捕されたとき、3人の子供を殺した凶悪犯であるにも関わらず、私は犯人への同情を禁じ得ませんでした。

 その動機があまりに切なく、真面目すぎるがゆえの悲劇かと思わせたからです。

 ご一読をお勧めします。


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