桜が咲き始めたようです。
桜を見ると、今年も生きて桜を見ることができた、という気分になるから不思議です。
まだ高齢というわけでもないのに。
桜の狂的な力が、そんな不思議な感慨を呼び起こすのでしょう。
ねがはくは 花のもとにて 春死なむ そのきさらぎの 望月の頃
おそらくわが国で最も愛吟されている歌ではないでしょうか。
言わずと知れた、西行法師のあまりにも有名な歌です。
山家集 (岩波文庫 黄 23-1) | |
佐佐木 信綱 | |
岩波書店 |
西行全歌集 (岩波文庫) | |
久保田 淳,吉野 朋美 | |
岩波書店 |
西行法師は春の死を望みましたが、私は死の季節である冬に、ピリピリと冷たい空気の中、死神に連れて行かれたいと願っています。
死の季節に死ぬるのは、道理にかなっているように思います。
職場は4月の人事異動がオープンになり、浮足立っている感じです。
私は研究協力担当部署から、総務担当部署に異動が決まっています。
今日の午後、後任と引継、3月31日の午後、前任と引継の予定です。
心ざわつくこの時季に狂乱の桜が咲き乱れ、散り乱れるとは、奇妙なシンクロニシティを感じます。
あるいは、それを狙ってわざと会計年度や学年暦の変更がこの時季に定められているのかもしれませんね。
それはそれで、日本人の美的感性に合っているように感じます。