桜が咲きました。
私は桜を見ると、憂鬱になります。
長いこと会計の仕事をしていて、桜の時期は決算と重なり、過重な労働を強いられたためでしょうか。桜を見ると、条件反射のように、山のような伝票や、深夜残業、それに犯罪すれすれ、というか犯罪そのもののような、日付の改ざんなどの処理を思い出すのです。もっとも、それら犯罪行為は、日本国中のお役所で日常的に行われていることでもあります。それはむしろ、犯罪というより法制度の欠陥と言ったほうがよいでしょう。
しかし、今は、ひま。
職業訓練には通っていますが、温水プールで戯れているようなもの。荒波を乗り越えて海で泳ぐのとはわけが違います。
この物狂おしい春を、やり過ごさなくてはなりません。
ねかはくは 花のしたにて 春しなん そのきさらきの もちつきのころ
有名な西行法師の歌です。この歌ほど、多くの日本人の心をとらえたものはありますまい。
桜の下には死体が埋まっている、と言ったのは梶井基次郎でしたか。
春と花には、死のにおいがつきまとっています。
むしろ精神病者にはお似合いの季節かもしれません。