blog Donbiki-Style

筆者:どんびき(地域によりカエルの意)

初心忘るべし!

2013-08-29 20:16:52 | 日記
ラーメン屋さんや居酒屋など、なぜかトイレに多いがいわゆる人生訓のようなものが飾ってあるのをよく見る。
どれもこれも立派なことが書いてあるし、中身についてはごもっともと言う他はない。
書いてある文言の通りに毎日を生きていけるならそれはそれで素晴らしいだろうが、ひとつひとつを実践していくのは正直言って無理である。
ああいうものは決して間違いではないので役に立たないことはない。
しかし、額に入れて飾ったりしなくてはいけない人生訓なるものは、そもそも人間が「忘れがちなこと」だと思う。
誰でも意識しなくてもできてしまうことであれば、わざわざ目立つ場所に書き出しておく必要などさらさらないからである。

「初心忘るべからず」という言葉を座右の銘にしている人も多いかもしれない。
確かに、初心を片時も忘れないで日々の仕事や生活を送っている人がいるとするなら素晴らしいの一言である。
でも本当にそんな人がいるのかと言われたら、実際はいないのではないか。
本来初心などというものはしょっちゅう忘れ去られるものであり、私自身も忘れている時間が多い。
忘れっぱなしではさすがにダメだが、忘れることそれ自体が悪いことでは決してないように思う。
忘れてしまったなら思い出せばいいのである。
初心を忘れている状態では必ず何かやらかしてしまって強制的に思い出すようになっていると考えれば、日頃から肩ひじを張って初心を忘れないようにと踏ん張っているのも滑稽なことのように思える。

実はつい最近、今の職場に来て一度もやったことのない失敗をした。
今までミスったことがないことを3年以上経った今になってしたということは、できていたはずの確認動作をどこかで外したということだ。
その意味では「初心を忘れていた」ことにはなるだろう。
ただ、これで間違いなく「思い出す」ことはできたから、今後は「二度とやらない」ことで返していけばよい。

初心忘るべからずに限らないが、一般にコトワザや人生訓などでうるさく叫ばれる事柄というのは、人間にとってそうそう簡単ではないことだと思った方がいい。
たやすくはできないことだからこそ叫ばなくてはいけないわけで、できなかったところで気を落とすような話では毛頭ない。
むしろそんなものに縛られて生きるのも息苦しい話であって、適度にほどけた状態で毎日を送る方が健康的だ。
立派であろうとすることをやめ、心を軽くバカになって、ムダな背伸びや知ったかぶりをしない人間の方が実は愛されることを今は知っているのである。

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