スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

マイルチャンピオンシップ&ヘーゲルの見解

2023-11-19 19:29:43 | 中央競馬
 第40回マイルチャンピオンシップ。ライアン・ムーア騎手が2レースで落馬し背中を負傷したためナミュールは藤岡康太騎手に変更。
 外の方から押していったバスラットレオンの逃げ。一旦は先頭に立っていたセルバーグが控えて2番手。2馬身差でマテンロウオリオンとソーヴァリアントとセリフォス。2馬身差でエエヤンとダノンスコーピオンとエルトンバローズ。2馬身差でビーアストニッシドとレッドモンレーヴ。1馬身差でソウルラッシュでさらに1馬身差でジャスティンカフェ。2馬身差でイルーシヴパンサー。1馬身差でダノンザキッドとナミュール。2馬身差の最後尾にシュネルマイスター。前半の800mは46秒5のミドルペース。
 直線に入るところでバスラットレオンはかなり外の方に持ち出しました。マテンロウオリオン,セルバーグ,ソーヴァリアントといったところはバスラットレオンの内に。バスラットレオンの外を回ったのがセリフォスで,この馬がまず先頭に。さらにバスラットレオンの内からソウルラッシュが伸びてくると,セリフォスのさらに外からはナミュール。さらにソウルラッシュとセリフォスの間から脚を伸ばしてきたのがジャスティンカフェで優勝争いはこの3頭。大外のナミュールがまとめて差しきって優勝。ソウルラッシュがクビ差の2着。ジャスティンカフェが半馬身差で3着。
 優勝したナミュールは前走の富士ステークスからの連勝。重賞3勝目で大レース初制覇。昨年はチューリップ賞を勝ってクラシック路線へ。今年に入ってマイル戦線を主戦場に選びました。牡馬を相手に十分に戦える力はあるとみていたのですが,春は勝ち星をあげられず,秋初戦の富士ステークスを制しました。早くから活躍していた馬ですが,基本的には晩成型で,京都コースも向いていたといえそうです。母の父はダイワメジャーシュリリートミニシキの分枝で3代母がキョウエイマーチ。ひとつ下の半妹が昨年のアルテミスステークスを勝っている現役のラヴェル。Namurはベルギーの都市。
 騎乗した藤岡康太騎手は2009年のNHKマイルカップ以来となる大レース2勝目。管理している高野友和調教師は昨年の秋華賞以来の大レース5勝目。マイルチャンピオンシップは初勝利。

 ライプニッツGottfried Wilhelm Leibnizがスピノザを乗り越えようとした論理は,後にヘーゲルGeorg Wilhelm Friedrich Hegelによって否定されています。ヘーゲルによれば,ライプニッツのやり方でスピノザを乗り越えようとすると,無神論に陥ってしまうのです。スピノザが第一部定義六で示している神Deumは,キリスト教で考えられていた神とは異なります。それでもスピノザは第一部定理一一でそうした神が存在することは証明しています。ですから神学的にはともかく,歴史的にそう非難されてきたように,無神論者であるわけではありません。ところがライプニッツが示した論理は,事実上は無神論に陥ります。神は存在しないというか,そうでなければ何らのpotentiaも持たない神が存在するというかのどちらかの結論に至るのであって,これは事実上の無神論に陥るということをヘーゲルは喝破したのです。このこともかつて考察してありますので,ここで詳しく検討はしませんが,僕もまたこのヘーゲルの見解opinioは正しいものであると考えています。
                                   
 ヘーゲルもスピノザの反対者でした。ただ,ライプニッツがそうであったように,またヤコービFriedrich Heinrich Jaobiがそうであったように,スピノザの哲学のことを評価はしています。ヘーゲルは自身の以前にはふたつの哲学しかなかったのであって,そのうちのひとつはスピノザの哲学で,もうひとつはスピノザ以外の哲学であるといういい方をしています。すべての哲学からスピノザの哲学だけを抽出してそれ以外の哲学と対比しているのですから,これがスピノザの哲学に対する高い評価となっているのは明らかだといえるでしょう。他面からいえば,ヘーゲルが意識して,それを乗り越えようとした哲学というのはスピノザの哲学だった,あるいはスピノザの哲学だけだったといって過言ではありません。
 ヘーゲルはスピノザの哲学の欠陥を,主体subjectumという概念notioの欠如に見出しています。僕はむしろ主体という概念が欠如しているからこそスピノザの哲学は評価されるべき哲学であると考えていますが,このこともまたこれまでに何度かいってきたことですから,ここで繰り返すことはしません。ここではスピノザの哲学が,その反対者たちによっても一定以上の評価を得ていたという点に注目します。
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