スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典JBCレディスクラシック&自然権と力

2023-11-03 18:58:27 | 地方競馬
 大井競馬場の1800mで争われた第13回JBCレディスクラシック。武豊騎手が10月29日の5レース終了後に右太腿を負傷したためアイコンテーラーは松山騎手に変更。岩田望来騎手はおそらく何らかの事情で競馬場への到着が遅れてしまったためにライオットガールは森泰斗騎手に変更。
 内の5頭が総じてほかより好発。逃げたのはヴァレーデラルナで2番手にアイコンテーラー、3番手にノーブルシルエットという並びに。4番手はレディバグとライオットガール。5番手にグランブリッジ。この後ろは3馬身くらい離れました。テリオスベルは今日は向正面から上昇。スピーディキックとアーテルアストレアは並んで追走。ティーズハクア,サルサレイア,ラブラブパイロの3頭が並んで後方を追走。最初の800mは49秒8のミドルペース。
 3コーナーでは追い上げたテリオスベルが逃げたアイコンテーラーの外まで並び掛けました。このペースアップで3番手以下との差がやや開き,内にヴァレーデラルナで外がグランブリッジ。直線に入るとアイコンテーラーが再びテリオスベルを引き離し,そのまま鮮やかに逃げ切って優勝。早めに追い上げたグランブリッジが2番手に上がり,さらに後ろから追い込んできたアーテルアストレアが迫って2着争い。凌いだグランブリッジが4馬身差の2着でアーテルアストレアが半馬身差で3着。
 優勝したアイコンテーラーは重賞初制覇での大レース勝利。この路線で走ってきた馬の中ではグランブリッジの能力が最も上。こちらは前々走で牡馬相手のオープンを勝った後,前走も牡馬相手の重賞に出走して2着。戦ってきた相手はこちらの方が強いですから,グランブリッジに勝つ可能性もあるとは思っていました。思っていたよりは大きな差をつけての優勝で,展開的にはこちらの方が有利だったと思われますが,能力でも上回っているとみてよさそうです。父はドゥラメンテ。母の10歳上の半兄に2006年のアルゼンチン共和国杯を勝ったトウショウナイト
 騎乗した松山弘平騎手は昨年のJBCクラシック以来の大レース9勝目。JBCレディスクラシックは初勝利。管理している河内洋調教師は開業から18年8ヶ月で大レース初制覇。

 書簡五十では,政府が市民Civesに有している権利juraは,市民に対して力potentiaで優っている度合に相当するだけのものであるといわれているのでした。これは市民が有している自然権jus naturaeを全面的に凌駕するような力を政府はもつことができないという意味です。しかし同時に,政府が市民に対して力を有しているということを否定しているわけではないのも事実です。そしてこれを,国家Imperiumの自然権が市民,これはひとりの市民という意味で個人の自然権と考えるのがこの場合は理解が容易になりますが,そうした個人の自然権を,国家の自然権が力で上回っていると考えるのがよいと僕は思います。これは自然権を力と等置していることになりますが,スピノザの哲学における自然権というのはコナトゥスconatusを原理としていて,コナトゥスは力という側面を有しているわけですから,自然権が力と等置されても問題が生じるわけではありません。
                                        
 このことは,次のように解するのがよいだろうと僕は考えます。
 人間はひとりで何事かをなすよりも.多人数が協力してそれをなす方が,量的な意味でも質的な意味でもそれをよりよくなすことができます。このことが個人の自然権の拡充を意味するのでした。したがって,多人数が有している自然権は,その多人数を構成しているある特定の個人が有する自然権よりも強力であるといわなければなりません。このような意味で,政府が有する自然権は,その政府が統治する国家を構成するひとりの市民が有する自然権を上回る力を有することになるのです。したがってごく一般的に,政府が有する自然権は,政府が国家を統治しているというだけの理由で,国家に属するひとりの市民の自然権を力で上回っているということになるのです。ただしこれは,政府が市民の自然権の拡充に貢献するという条件を付帯させる必要があります。この条件を満たさないと,市民の自然権は拡充されないということになり,したがって一人ひとりが有する自然権と同じだけの自然権しか政府は有することはできないということになるからです。他面からいえば,市民が協働するがゆえに政府の自然権は力の上で市民の自然権を上回ることができるということになるのです。
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