スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

女流王位戦&虚構

2019-06-13 19:14:04 | 将棋
 徳島市で指された第30期女流王位戦五番勝負第四局。
 渡部愛女流王位の先手で里見香奈女流名人のごきげん中飛車。①-Aから4筋で銀が対抗。先手は左の銀も6六に上がる形に進みました。
                                        
 先手が3七の桂馬を跳ね,後手が3三の角を逃げた局面。ここで☗2九飛と引きましたが,これは序盤の緩手だったのではないかと思います。後手も☖5一飛と引き上げました。
 先手が☗9六歩と突いたのに対して☖3三桂☗同桂成☖同角と桂馬を交換。先手は☗9五歩と端を突き越しました。先手が受けなかったので後手は☖5四桂の両取り。ここから☗5五銀左☖4六桂☗同銀までは必然の進行だったようです。後手は☖5六歩と垂らし☗6八金上の受けに☖4二金と引き締めました。
                                        
 先手にとって最後の勝負どころがここで,ここは☗3五歩と突いて攻めていかなければならなかったようです。ところが☗6六角と上がったために☖6五銀と打たれました。☗8八角が最善手だったかもしれませんがそれでは何をやっているのか分からないので☗4八角は仕方がないといえば仕方がありません。
 後手は☖5五銀とぶつけ☗4五銀と交わした手に☖5七歩成☗同角☖5六銀直☗同銀☖同銀と攻め掛かりました。
                                        
 後手は角を8八から4八に移動させた以上,第3図では☖9九角成を甘受する指し手がなければいけないのですが,それがなかったために☗7七桂打と受けることに。ですがこれでは☖5七銀成☗同金左で角桂交換の駒損。玉型も後手が優る上に手番も後手と,大差になってしまい,明確な終盤戦に至る前での投了に追い込まれてしまいました。
 3勝1敗で里見名人が女流王位を奪取第23期,26期,27期,28期に続く2期ぶり5期目の女流王位で,クイーン王位の称号も獲得しました。

 円が形相的有esse formaleとして,いい換えれば知性intellectusの外にあるものとして,永遠の相species aeternitatisの下に存在するというのがどういうことであるのかは分かりました。ではこの場合でも円の定義Definitioには虚構が含まれているのでしょうか。
 これまで,定義に含まれている虚構は,その観念の対象ideatumとなるものが現実的に存在する場合,いい換えれば持続duratioのうちに存在する場合,その定義が含んでいる起成原因causa efficiensによって存在するようになるわけではない,あるいはそうであるとは限らないということでした。ところが,実際の円の定義というのは,知性が円を永遠の相の下に認識するcognoscereために資する定義であって,よってその対象となっている円も,現実的に存在する円であるわけではなく,永遠の相の下に形相的有として存在する円,すなわち延長の属性Extensionis attributumに包容される限りで存在する円でなければなりません。ですからここまでの考察では円の定義に虚構が含まれているとみなさなければならなかったのですが,それをそのまま結論とすることはできないのです。
 僕の考えでいえば,この場合にも虚構は含まれているのです。いい換えれば,延長の属性のうちに包容されている限りでの円の起成原因も,僕たちが円の定義によって概念するconcipere場合の円の観念の起成原因とは異なっています。このことはまず,仮に僕たちが直線というものを,永遠の相の下に十全に概念することがあったとしても,その直線は必然的にnecessarioある運動motus,一端が固定しもう一端が運動するという運動をするものではないということが根拠になります。実際に直線の定義から直線のこの運動を概念することは僕たちはしない筈です。よってこの運動は知性による任意の思惟作用なのであって,それが円の観念と結合することによって円の十全な観念idea adaequataを形成するということは,円が現実的に存在しようと延長の属性に包容される限りで存在しようと同一と僕は考えます。
 さらに,第一部定理二八は個物が現実的に存在しようと属性に包容される限りで存在しようと成立しなければならないと僕は考えます。よって形相的有としての円は,この定理Propositioに基づいて発生しなければなりません。ですがこの無限連鎖を人間の知性が認識することはできません。
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