スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ペガサスワールドカップターフ&移行の仕組み

2019-01-27 19:07:47 | 海外競馬
 日本時間の今朝,アメリカのガルフストリームパーク競馬場で行われたペガサスワールドカップターフGⅠ芝9.5ハロン。
 アエロリットは発走後は徐々に内に入れていきインの2番手を併走。そこからまた外に出て,逃げ馬を追う単独の2番手に。向正面で1頭が追い上げてきて先頭を奪い取る形。必然的に位置は下がりインで3番手を併走に。しかし3コーナーの手前からは騎手が押してもついていくことができなくなり,著しく後退。勝ち馬からは概ね20馬身くらいの差の9着でした。
 レースの内容からすると距離が長すぎた感じです。雨で重馬場ということでしたが6ハロンの通過が1分11秒60と速く,このペースを追走していったためにスタミナを失ってしまったという結果だったのではないでしょうか。

 スピノザによれば,人間はAを表象した後にBを表象し,次にCを表象するimaginariという順序で表象することが頻繁になると,Aを表象しただけでBを表象し,Bを表象することによってCも表象するようになります。すなわち,この経験を重ねていけばいくほど,Aが現実的に存在すると知覚すると,現実的には存在していないBとCのことも現実的に存在すると認識するcognoscereようになっていくのです。これは僕が観光の例でも示しておいた第二部定理一八が原理になっています。
                                 
 しかしこの人間は,最初のときにはAを表象したからといって,そのことによってBやCを表象することはありません。これはこの人間の精神mens humanaのうちで,A,B,Cの各々の表象像,imaginesが無秩序に置かれていた状態であると規定できます。それが同じ経験を重ねていくことによって,AからB,そしてBからCという順序あるいは系列として秩序化されていくのです。どちらの場合であれ,AもBもCも表象されている,すなわち混乱して認識されていることには変わりないので,第三部定理一によって受動passioです。つまり自然の秩序ordo naturaeから生じている思惟作用です。しかしこの思惟作用の様式は,無秩序であった場合と秩序化されている場合では,明らかに様式の変化があるといえます。Aを表象してもBもCも表象しなかった状態から,Aを表象すればBもCも表象するようになった状態は,明らかに秩序が変化し,様式も変化しているからです。
 表象の動揺とは,この場合でいえば,Aの次にBを挟まずにCを表象してしまったがためにこの人間の精神のうちに生じる現象のことでした。したがって表象の動揺というのは,秩序として半ば意識化されていたものが破壊されることによって生じる現象であるといえるでしょう。ただ,ここでは表象の動揺については考察の対象としませんので,今はこのことだけをいっておきます。
 A,B,Cの表象像がそれぞれ何の関連性ももっていない場合は,無秩序という秩序の下にあり,関連性をもつようになると意識化することも可能な秩序の下にあることになります。そしてこれが秩序の様式の移行なのですから,その仕組みはこれで理解できたことになります。
コメント
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