ワインにしてもブランディやウィスキーにしても「樽」という言葉がキーワードの様に出てきます。
しかし、少なくともワインでは必ずしも樽を使って寝かせる訳ではありません。
幾つかの理由がありますが、主に
1:ステンレスタンクの方が維持が簡単。
2:小さな樽を同じ容積のワインを詰めるのに沢山の数がいり、並べるにも面積が必要。
3:弱いワインを樽に入れると、酸化負けしやすい。
3:弱いワインを樽に入れると、木の味が勝ちすぎる。
などの理由が挙げられるのではないでしょうか?
ですから、資金に余裕のある、高価な、言い換えればしっかりした果汁を使った樽に負けにくいワインにしか使えない。という事です。
また樽は気の香りを移す為にある、と思っていらっしゃる方もおられるようですが、実際の所は少しづつ進む酸化によって、強いタンニンなどを仕付けることが主目的であろうと思います。
樽の香りをつける目的でオーク材のチップをワインに投入する安いワインの手法がありますが、あるレベル以上のものには禁止されているのは、逆説的に木の香りをつけるのが主目的ではない、という事を物語っています。
ソムリエが若いワインをデキャンタするのも、その延長=酸化によって飲み頃に近づける=という事が出来ます。
ワインの質によって樽熟成期間は結構違います。タンニンなどのヤンチャな成分が落ち着くのにかかる時間が違うからでしょう。
その次には求めるワインの香り味わいにマッチした樽を選ぶ必要がでます。
リムーザン産、ヴォージュ産、アリエ産、ガスコーニュ産、アメリカ産etc・・・・
これに関しては樽の香りを移す、樽の味わいを加える、という事になります。
いずれにせよ、全てのワインに樽を使う訳ではない、という事です。
ましてフレッシュさやブドウの持つ個性を尊重するワインには樽は殆ど使わないという事ですので「なんだ樽を使わない安いワインなんだ」と思う必要はありません。
それぞれの個性を楽しんでください。