漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

道後温泉

2017年08月15日 | 近景から遠景へ

 尾道観光を終えた翌日は、朝早めに宿を出て、自転車では途中までしか行けなかったしまなみ海道を渡り、何かと今話題の、四国の今治へ。そこから西へと向かい、夏目漱石の「坊っちゃん」の舞台ともなった、松山の道後温泉へと向かった。



 道後温泉は、1894年に施工され、重要文化財ともなっている「道後温泉本館」を中心とした温泉街。日本最古の湯治場のひとつとされ、宮崎駿の「千と千尋の神隠し」の油屋のモデルにもなったらしい。もっとも、油屋のモデルは、各地に点在するらしいが。
 もともとは道後まで足を伸ばすつもりはなく、思いつきで道後まで向かった。自転車でしまなみ海道を渡れなかったことへのリベンジの気持ちも、多少はあったかもしれない。したがって大した予備知識もないまま初めて訪れたのだが、最初に道後温泉郷に入って道後温泉本館を目にしたときに感じた、観光地らしいところにやってきたなという手応えに反して、さしあたって目につく主な観光施設といえば、ほぼそれしかないと言ってよかった。こじんまりとした温泉街なのだ。



 その道後温泉本館は、いわゆる銭湯であって、宿泊施設ではない。したがって、「神の湯」の入浴料だけなら、一般の銭湯と同じ410円である。長い階段を登った先の、見晴らしのよいところにある伊佐庭神社(大分県の宇佐神社、京都の石清水八幡宮と並んで、日本に三例しかない八幡造の神社だとか)に参ったあと、ぼくたちは再び道後温泉本館へと向かい、「神の湯 二階」というプランを選んで、入浴した。これは、神の湯に入ったあと、二階にある大広間でお茶とお菓子をいただきながら、しばらく休息できるというプランで、値段は840円。浴衣は無料で貸してくれるが、タオルや石鹸は有料になる。
 中に入ると、まず二階の広間へ案内される。懐かしい感じの、日本家屋の大広間である。窓が大きく開け放たれていて、涼しい風が入ってくる。そこで係の方に案内され、場所を確保して、階下の湯へ降りるようになっている。女湯の方はわからないけれども、男湯の方は、大きな脱衣所から東湯と西湯のふたつに入れるようになっていた(後で妻に聞いたが、女湯は、大きな湯船がひとつあるだけらしい)。何か違うのかと、両方へ入ってみたが、壁画が多少違うくらいで、ほぼ同じである。お湯の温度は、ちょうどよいが、あまり温泉という感じはしない。
 風呂からあがって、浴衣に着替えると、二階へと戻った。



 広間には、クーラーはないが、代わりに大きな氷が据えられていて、涼しげである。外は暑いが、広間の中は涼しく感じる。お茶と瓦せんべいが運ばれてきて、それをいただきながら、のんびりしていると、なんとも心地よい。1時間以内と決められているので、さほど長居はできないが、本当ならちょっとビールでも飲んで、昼寝をしたいくらいである。まあ、車なので、どっちみちビールは飲めないのだが。
 道後温泉を出たあとは、近くで昼食をとった。鯛めしという、鯛の刺し身をご飯に乗せて食べる地元料理。とてもおいしい。



 道後温泉郷を出たのは、二時頃。急遽放り込んだ旅程なので、その日の夜には神戸につかなくてはならず、忙しい。ゆっくりできなかったのは残念だが、まあ満足して、再び車中の人に。多少寄り道をしながらではあるが、四国を横断し、鳴門大橋から淡路を縦断して明石大橋を渡り、神戸市の垂水に着いたのは、六時を過ぎていた。
 

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