漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

星の舞台からみてる

2010年12月18日 | 読書録
「星の舞台からみてる」 木本雅彦著
ハヤカワ文庫JA 早川書房刊
 
を読む。

 UNIX技術者でもある著者の、ネットワークを題材にしたSF長編。
 僕は図書館で、文庫の棚などは特に、端から順番に見ていって、気になったものを適当に借りてゆくということをよくやっている。数ページ読んで、合わなければそれ以上読まないで返すのだ。
 この本もそうやって借りたもの。著者は知らないひとだし、ライトノベルっぽいし、あまり期待もしないで読み始めたのだが、これはなかなかの拾い物。おもしろい。八十年代に何だかよくわからくて読みあぐねた「ニューロマンサー」の進化形というのが僕の印象。SF小説の最前衛に位置するような、吹っ飛んだアイデアに満ちた小説というわけではないが、不思議なリアルさを持って伝わってくる部分がある。それは、UNIXの技術者として現場に関わっている著者だからこそ書き出せたものなのかもしれない。