さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

「頂点」のひとつ手前でも、これほど デービス、猪突クルスを振り切る

2021-12-07 09:42:39 | 海外ボクシング




先週、新たな世界王者誕生となったライト級、ジョージ・カンボソスがテオフィモ・ロペスを破った一戦に続き、今週は現地時間土日に上位選手の試合あり。
来週は元王者ワシル・ロマチェンコが中谷正義戦に続く再起二戦目、相手はアフリカ最強のリチャード・コミー。
三週連続で、世界王者や上位が勢揃いです。


日曜、DAZNで配信あったデビン・ヘイニーvsジョセフ・ディアスは、単発強打で観客を盛り上げるディアスを、コンスタントにヒットし続けたヘイニーが判定勝ち。
体重超過にお薬の話も過去にあり、130ポンドから転じてきたディアス、パワーではライト級で通じるところを見せたが、ヒットしてもヘイニーが微妙に芯を外していて、その都度、空いたとこにリターンパンチを入れてくる、という流れ。

9回などはヘイニー、危ない打たれ方したかな、と思ったんですが、全然効いていない。スローで見たら、やっぱりまともではありませんでした。
最終回は攻めて押したいディアスが、正確に右フック、アッパーを当てられて後退を強いられる。
終わって見ればディアスの馬力を、ヘイニーの質が上回った、とはっきり見える一戦でした。


昨日はWOWOWオンデマンドでライブ配信された、ジャーボンテイ・デービスvsイサック・クルス戦。
さすがに昼間は見られず、夜のTV放送を結果知らずに見ました。
当初ローランド・ロメロが挑むはずでしたが変更。とはいえ、代打としてはあまりに手強く、厄介なクルス相手で、さすがの小さな天才デービスもちょっと苦しみました。

小柄さを利して?強打を振るって突進するクルスに対し、デービスが迎え撃つか捌くか曖昧なまま対すると、左フックなどを食ってしまう可能性もあるか、と見えた序盤でしたが、セコンドにジャブ突いて捌けと指示された、ということで、ひとつ「方針」が定まったのが、終わって見れば大きかったように思います。
この辺、セコンドの値打ちやなあ、と。ジャブが槍衾のように出るわけではないが、当てて動いて、というのが3回あたりから明確になりました。

クルスの強烈なプレスに対し、左アッパー合わせ、ボディも叩き、7回には「後ろ手」の左ストレートをリードに使って捌く。
9回は左カウンター、打ち合ってヒットの正確さでまさり、終盤さらに打ち込むか、と思ったところ、解説の西岡利晃が指摘したように、左拳を傷めたようで、それ以降は本当に右一本、捌いて終わりました。
中盤あたり、右フックなんかもそうですが、頭を動かすことを怠らない小柄なクルスの、頭の硬いとこを打ってしまうときがありましたが、10回にその痛みがはっきり来たのでしょう。

判定は思ったより競っていました。9対3くらいかな、と思ったんですが。
それだけクルスの「猪突」が強烈で、なおかつ質も伴ったものだった、ということでしょう。
そしてそれを捌いて、拳を傷めていなければ終盤、もうひと山作れたのではないか、と思うほど巧く、才能を感じさせ、なおかつ逐一打つパンチが強いデービスもさすが、と言える試合でした。



世界ライト級王座の変遷は、ロマチェンコを破ったロペスに勝ったカンボソスを「現王者」と見做すとして、上位陣もなかなか強力な顔ぶれだ、と言えるでしょう。
1位はやっぱりデービスでしょうか。ヘイニーも悪くはない、どころか相当レベルが高いですが、今のところ爆発的なものが見えないぶん...と。
僅差で2位が、元王者ロマチェンコ。中谷正義戦で見せた強さは、陥落した試合とは「調子」が違っていたように見えました。コミー戦も同様ならば、これまた手強い、というより怖ろしい、というレベルです。

そしてヘイニー、デービスに敗れたジョセフ・ディアスやイサック・クルスもまた、世界ランカーに相応しい力をそれぞれ見せました。
この両者による「敗者復活戦」も、ファイター同士の凄い試合になりそうで、見てみたいですね。


これ以外にもロマチェンコに挑むコミー、元王者リナレスに、「日本代表」の中谷正義など、注目選手を挙げだしたら切りが無い感じで、やはり世界のライト級は凄いなあ、と改めて思うところです。
デービス、クルス戦など、言ってみれば本当の頂点の、ひとつ手前の試合であるはずで、それが判定で終わってもなお、ステープルズ・センターの大観衆と、大勢のTV視聴者を惹き付ける、濃密な内容が残るのですから。

王者カンボソスを頂点に、デービスやロマチェンコなどが直接対決して、伝統のライト級、唯一の王者を決めるような試合を、是非見てみたいものです。
それは単に、ファンの勝手ではなく、やはりボクシングにおける、世界の頂点を争奪する闘いが、どれほど価値のあるものか、ということを端的に示すものになり、そういう試合がひとつでも多く行われることが、ボクシングというスポーツ全体の利益でもある、と思うから、です。

現実には「会社の違い」を理由に、すんなりとはいかない話ばかりが先に来るのでしょうが、これだけの顔ぶれが揃っている今だからこそ...と、切に願います。




コメント (2)
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