さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

改めて「最強挑戦者」の資格を示す ドネア、ガバリョをボディで沈める

2021-12-12 20:23:23 | 海外ボクシング




そういうことで、何から感想書いたら良いのかわからない日曜日ですが、とりあえず明後日、防衛戦を行う井上尚弥との絡みもあることでしょうから、ノニト・ドネアのKO勝ちから。



WBC暫定王者レイマート・ガバリョは、エマヌエル・ロドリゲス戦の印象からすれば、ひとつグレードアップした?印象。
立ち上がりは伸びやかな感じで、左右のロングを飛ばす。若さが良い意味で見える好スタートか、と思いました。が。

対するノニト・ドネア、悠々たるもの。力み無くリターンを返し、右クロスをダイレクトで被せると、徐々にガバリョが硬くなりはじめる。
ドネア、強振せず軽め?に打つ感じだが、ガバリョにとっては、もし同じパンチを強振されたら、というイメージが残るものだったか。

2回、ドネアの右を外し、ガバリョの左フックカウンター。好打したが、これも狙い通りに当てて良い気分、という感じではなさそう。追い詰められて咄嗟に、というところか。
この回ポイントはガバリョだが、何かドネアが見ている、ガバリョが「見られている」ような印象。

3回、ガバリョはリラックスしたいのか、左を下げて構えるが、さっそくドネアが右ダイレクトで突く。
ガバリョは左カウンターをまた見せるが、互いの打ち終わりを狙い合う攻防で、ドネアが振りの小さいパンチを力み無く、軽く打てている。
ガバリョ見るからに余裕がない。空振りして引いて、ロープ際で同じサイドステップをしたところ、右食ってしまう。
この回、ガバリョ右瞼から出血。

4回、ドネア右ボディストレートで「お伺い」。次の右は上に。肩越しに入る。
ガバリョは時にフリッカー気味のを織り込んで、左ジャブを繰り出し対抗するが、次の右ストレート応酬の段になって、正対しての攻防で左ボディを食らってしまう。
結果として、ジャブを端緒に正面からやり合う展開は、強打のベテラン相手に採る戦法ではなかった。ジャブを使って、むしろ力勝負から逃げなければならなかったか。

そしてもちろん、ドネアの方は、ガバリョのジャブを当てられつつも、その「好都合」を結果に繋げる仕事を遂行しました。
左ボディ一発、ロープから回り込むガバリョに、左、右と上に突いておいて、また振りの小さい左ボディ。ガバリョ跪いてしまう。
ガバリョ一度は立とうとしたが、再び膝が折れ、立てず。
レバーを打たれた痛みの凄まじさは「頭のてっぺんからつま先まで、針で刺されたような」ものだという話を聞いたことがありますが、ガバリョも似た状態だったのかもしれません。



ノニト・ドネア、若く強打を秘めた暫定王者を、またも序盤のうちに「仕留め」ての勝利でした。
ノルディ・ウーバーリ戦に続くその勝ちっぷりは、まさしくPredator、捕食者のそれでした。

そして、今回のフィニッシュには、さいたまのリングで井上尚弥に実質カウントアウトされたあの11回、上の右アッパーから左ボディ、という打ち分けと、基本的には同じ構図が見えました。
同じレバーパンチでも、腹を締める瞬間を外すため、上と見せておいて、強打するより正確に当てることを主眼に置いた、組み立てと精度が光った一発。

数々の豪快な勝利と、数少ないが苦しい敗北の両方を血肉として、ノニト・ドネアは失ったもの以上の力を手にし、闘い続けている。
今回の勝利もまた、改めて、井上尚弥にとっての最強挑戦者として、再び彼と相まみえる「資格」を、堂々と示すものでした。



それにしても本当に、怖ろしい39歳もあったものです。
エデル・ジョフレがフェザー級で、メキシコの英雄「赤き鷹」ビセンテ・サルディバルをKOしたのは37歳の時だったでしょうか。
何しろ中・軽量級ゾーンの中で、キャリアの長さ、晩年というべき時期での強さや凄みという点でも、史上希なるチャンピオンだと言えるでしょう。


来春、順調に物事が進めば、また日本のリングで、その神々しく、しかし怖ろしくもある勇姿を見ることになります。
何か、楽しみないような、怖いような、そんな気持ちにさせられるKO劇でした。



コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする