さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

防御の不備を隠して闘えるか 井岡一翔、福永亮次戦迫る

2021-12-28 06:23:00 | 井岡一翔


ということで、本来ならさいたま決戦前日、明日は遠足です、と書いているところですけど(←やっぱり行く気やったんか)、残念なことになってしまった師走です。
というか、本当にここ数年、年末は首都圏へ観戦旅行するのが決まり事になっていて、まあなんやかんや、あれこれつべこべぶつくさと書きまくっていてナニですが、結局は大きな楽しみだったのだなあ、と今さらながらに思ったり。



まあしかし、かろうじてといいますか、大晦日、統一戦の代わりに井岡一翔が福永亮次と対戦することが決まり、もちろんTV観戦ですが、ひとつボクシングを見る慣習?はなくならずに済みました。
なんやかや言って、基本、これは有り難いことです。

井岡一翔にすれば、ジェルウィン・アンカハス戦への意気込みは相当だったでしょうから、気持ちの面で...とは誰もが思うことでしょうが、まあそこは抜かりないというか、切り換えてくることでありましょう。
むしろ、心身の話をいえば「身」の方がどうなのかな、9月の試合ぶりを見ると、不確定要素はそっちかな、と思ったりもします。


対する福永亮次はというと、コロナの影響なくば、スーパーフライ級の「世界情勢」からして、なかなか世界挑戦が実現しそうには見えず、今後大変だろうなあ、と傍目に思っていたところ、まさしく急転直下の挑戦決定です。
調整期間も短く、梶颯戦からも余裕のある間隔ではないですが、幸いなのは1月中旬に試合が決まっていた、というところでしょう。
調整は何とかなる、と言える範囲の話でしょうから。



で、大晦日が迫って来たんで、改めてちょこっと予想を書いてみよう、と思ったんですが、いざ真面目に考えてみると、悪いですが相当差がある、と思います。
ことに防御の面というか、打った後の身じまい、というと変ですけど、何しろ福永、打つ前の迫力、打ち出しの思い切り、実際打ったパンチの威力は凄いんですけど、打ったあとがどうにも、いろいろよろしくない。

身体が流れた姿勢になってしまうし、その姿勢のまま、相手の打てる位置に「滞在」してしまうところがあります。
左ストレートならまだ、その威力や勢いで、相手を威圧することも(相手次第で、ですが)出来るんでしょうが、井岡一翔相手となると。
ボディへの連打をするときなど、もろに両手とも下げてしまって、そのまま打つので、当然反撃が来たら打たれます。
この辺の、防御面での穴というか、意識の低さというか、その辺は井岡と、歴然とした差が見えるところです。



しかし、今からこれが全部直るものでもないでしょう。それはしょうがないので、出来るだけそれを隠す、悪い言い方ですが「ボロ」を出さずに済ますには、というと、結局は井岡一翔がその巧さを発揮出来る「寸法」「枠内」に収まる時間を出来るだけ減らすこと、ではないかな、と。

スーパーフライ級転向後、様々なタイプの強敵と立て続けに闘ってきましたが、距離や高低差があまりない相手、それを生かそうとしない相手には、基本、自分の良さを出して勝てる実力が、井岡にはあります。
その中で唯一敗れたのがドニー・ニエテスですが、あれはまあ、別格というか、スーパークラスですので脇に置くとして。

基本的に、井岡は距離を生かし、遠くから打てる相手が苦手です。以前の所属ジムでは、その辺はもう、厳選して相手を選んでいました。
アムナット・ルエンロン戦での敗北以降、その傾向は特に強まったと思います。
それ以外で、長身といえばジェイビエール・シントロンを攻略していますが、クリアに勝ったものの、反面、苦闘でもありましたね。
また、先のフランシスコ・ロドリゲス戦でも、体格では同等か小柄か、という相手ながら、ちょっと遠目の位置から飛び込んで打ってくるパンチを嫌がっていた印象でもありました。


福永亮次が、遠目からの「飛び込み」で左ストレートを狙い、なおかつ打ったあと、なりふり構わぬクリンチだったり、または「当て逃げ」や、と割り切ったサイドステップや、極端なダックを駆使して、飛び込んでは飛び退き、という感じを繰り返し、井岡の巧さとは関係ないところで闘うこと、それに徹する「嫌がらせ」ボクシングを、意識的にやれたら。
ある意味、ポイント度外視で、井岡の技巧、そのメカニズムを狂わせる展開を、意識して作れたら。
そして、その過程の中で、左の強打、返しの右フックなどを好打出来たら。


実際の試合で、こんなに何もかもが上手くいくはずもないですが、要するに、福永に対しては、ただ果敢に、勇敢に挑みかかるだけでなく、何か「悪しき意図」を持って闘ってほしい、ということが言いたいわけです。
単に「一発」に賭けて、というのでは、明るい展望は見えません。
はっきり言って、防御ひとつのみならず、実績や知名度どうこう、全部ひっくるめて「格」が違います。しかし、言えばそれは、福永の方に、良い試合をする責任はない、ということでもあります。
その事実を、自分の都合の良い解釈で割り切って闘えれば...と。



ただ、つらつら書いておいて気が引けますが、予想はというと、井岡の勝利する確率が圧倒的に高いだろうなあ、と思います。
井岡がベストなら、ワンサイドの展開も大いにありうるでしょう。仮に多少、手こずって失点しても、勝ち負けが逆になる可能性は低い、と。
まあ、誰もが思うことを同じように思います。

しかし、けっして、逆の目が出る可能性もゼロではない。まあ、それはどんな試合でもそうやと言われればそうなんですが(笑)。
福永亮次、けっして順風満帆とは言えないキャリア、そして人生だったボクサーですが、その激しい試合ぶりでホールを沸かせてきた魅力を、国内三冠の所以を、技巧の王者、井岡一翔と対峙する大舞台で、かなう限り見せて欲しい。まずはそれを期待しています。



コメント (5)
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