穴にハマったアリスたち

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「時間への挑戦」:HUGっと!プリキュア 第49話(最終回)愛崎えみる研究室問題

2020年05月17日 | ハグプリ最終回考察
物語の出発点である、はぐたん およびクライアス社はどうやって過去にくることができたのかを考えてみる。
(理解できたかはともかく、読んだ本)
J・リチャード・ゴット,時間旅行者のための基礎知識,草思社,2003年
ホール・デイヴィス,タイムマシンのつくりかた,草思社,2011年
吉田伸夫,時間はどこから来て、なぜ流れるのか?,講談社,2020年
二間瀬敏史,時間旅行は可能か?,筑摩書房,2009年

【時空の穴】

未来へのタイムトラベルは簡単です。他者より早く動けばいい。
いわゆるウラシマ効果により時の流れが遅くなるので、結果的に他者の未来に行くことが出来ます。
光速とかそんな無茶なことをしなくても、歩いたり車に乗ったりでもいい。体感できないほどの微小時間ですが未来に行けます。これは様々な実験でも確認されている。

それに比べ過去に戻るのはシビアです。
「一般的な」方法は下記のようなもの。

(1) ある地点AとBを繋ぐワームホールを作る。(現在時刻を2020年とする)
(2) 入口Bを適当な距離に移動させる。
(3) 入口Bを高速で動かす。10年後、入口Aは2030年になるが、入口Bはウラシマ効果により若いまま(仮に2025年)。
(4) 2030年の入口Aに入り、2025年の入口Bから出る。
(5) 入口Bから(ワームホールを使わずに)入口Aに戻る。
(6) すると2025年(+移動にかかった時間)に到着する。
(7) 過去に戻れた!

他に宇宙ひもを使うといった方法もありますが、自力発明は絶望的なのでワームホールで考えてみる。
(光速に近い速度ですれ違う2本の宇宙ひもを使う等。条件がシビアすぎる)

この方法の欠点はふたつあります。
第一に「ワームホールが作れない」ことです。当たり前に「まずワームホールを用意する」とか言われても、どうしろと。
ひとまず「負の質量」なる謎存在がいるそうで、その時点でお手上げです。
良く言われるカシミール効果ではブラックホール化を食い止められないそうで(力の大小ではなく、モデルとして無理らしい)、実在が確認されている手段がない。仮にそこをクリアしても、更なる絶望的難度の超技術が多数いる。

とはいえ劇中でできている以上はできるんです。
我々の世界にはなく、プリキュア世界にはある要素といえば、無論プリキュアです。
スタプリにより「前に癒す(戻す)」存在だと示されましたし、プリキュアさんの超パワーでワームホールを作ったんだ。
大体この世界の連中は、結構ポンポンと瞬間移動的なことをする。ワームホールぐらい作れてもいいんじゃないかな。

もうひとつの欠点というか特徴は、「作った時点より前には戻れないこと」。
上記の例では2025年以前には戻れません。しかも時間経過とともに、戻れる時間も繰り上がっていく。
これは考察の上ではありがたい。「なぜクライアス社はプリキュアになる前に戻って攻撃しないのか」や「野乃さんとクライアス社の時間経過に齟齬なくストーリーが進む」ことの説明がつきます。

但し「ハグプリ第1話にタイムトラベルするには、第1話より前にワームホールが作られていないとならない」厄介な問題が出てきます。これはもうどうしようもない。
例えばトラウムが第1話開始前にワームホールの開発に成功していてもおかしくはないんですが(否定する根拠がない)、物語として必然性を感じません。つまりは「作られた経緯はなんでもよい」となってしまうので、そこはシンプルに処理することにする。

以上を踏まえ、何が起きていたのかを考えてみる。

【未来から過去へ。過去から未来へ】

これまで便宜上「2019年」と表記していましたが、整理します。

 2018年2月 はぐたん飛来。野乃さんの戦いが始まる
 2018年6月 えみる・ルールー変身
 2018年10月 トラウムVSオールスターズ
 2018年11月 野乃さん、一時的に未来へ
 2019年1月 ルールー未来へ
 2030年 はぐたん誕生。えみる、研究室へ

次に、前提として私の妄想二次創作では下記を満たしたい。

・36話のオールスターズ話に登場した朝日奈さんらは2034年ごろから来ていた
・2033年~2034年に16年目~30年目プリキュアVSトラウムがある
・えみるの持つプリハートは、2044年の最終決戦のあと、2018年のえみるに送られる
・2030年に研究室を訪れた後、えみるはクライアスの創設メンバーのひとりになった
・2043年~2044年にトゥモローさんの戦いが行われる

これを実現するには、ワームホールが2組あればいい。
(※以下では前述のワームホールの手順(5)を省略します)

まず、2043年9月から2033年4月をつなぐワームホールがあり、それを使って はぐたんとハリーは33年に行く。
そして出ると同時に はぐたんの奇跡パワーにより、2033年4月と2018年2月をつなぐホールが出現。
(奇跡に頼るのは苦しいですが、「明日」の名を持つ「前に戻す」プリキュアたるトゥモローさんに、ここ一発だけは頑張っていただく)
それを通り、2018年2月にいき、HUGっと!プリキュアのお話スタート。

クライアス社の面々もこの43年-33年と33年-18年のふたつのホールを乗り継いで、18年の世界へ。
侵攻しやすいように会社機能も33年に移す(これをしてくれないと後々面倒)。

途中は一旦飛ばし、19年1月。ワームホールも同じように年をとるので19年1月-34年3月が繋がっている。
ルールーらはこのワームホールを通り、34年の世界へ。

その後、19年-34年の34年側の入口をカエル列車で牽引し、高速で移動させる。
14年経過後、元19年の入口は33年になるが、元34年の入口はウラシマ効果により時間がたつのが遅れ、43年に(当初あった19年-34年の15年差が、33年-43年の10年差に縮む)。
これで はぐたんが最初に通ったワームホールを用意できる。
(はぐたんは1回しか奇跡を起こしていなのに、時間の不思議でワームホールは二つになる)

つまり、未来(44年)に帰ったように見えたトラウムらは、実際には34年に行っており、そこから高速移動によるタイムトラベルで43年を目指したとします。カエル列車は(いわゆる)タイムマシンではなく、高速船だったんだ。

はぐたんが過去に戻るのは全滅イベントの後。おそらくは夏休み商戦後、秋映画の前哨戦ぐらいのタイミング。つまり2043年9月ぐらい。
ルールーが戻ってくるのは、はぐたんが過去に戻るより少し前。ワームホールを設置、43年はぐたんがそれを通って過去へ。

それを確認しつつ、43年9月に戻ってきたルールーは えみると再会。再び変身するマシェリ(30代半ば)とアムール(20代半ば)。
この時点では43年9月-33年4月と、33年4月-18年2月のワームホールがある。
44年1月に戦い終了。この間4か月ですので、ワームホールは44年1月-33年8月と、33年8月-18年6月になる。
最終回にて、えみるはプリハートを過去へ。18年6月に繋がっているので、過去のえみるの元にちゃんと届く。

更にそれから4か月後。
44年5月-33年12月と、33年12月-18年10月のワームホールを使い、トラウムがオールスターズ戦を行う。
18年に行く途中、何らかの理由で33年12月に16年~30年プリキュアや、成人後の朝日奈さん・宇佐美さんらとも戦う。

トラウムにとってはこれらの戦いをしたい理由はないのですが(後述)、歴史としてそうなっているので、彼はそれを実行。その後、散る。実際、あの戦いの描写はどう見ても消滅ですから、「あれがトラウムの最期だった」の方がむしろ自然です。

やった!綺麗にまとまった!
このストーリーは矛盾なく成立できる!

【未来への課題】

…といいたいのですが2点残っている。

2018年11月の野乃さんの未来移動の説明がつかない。
18年11月の時点にあるワームホールは、18年11月-34年1月と、34年1月-44年6月なので、未来の戦いは終わっています。

一番手っ取り早い解決は「ただの幻覚。本当に未来に行ったのではない」。
ハリーと同胞の会話が噛み合っていなかったりと、どうにもいろいろ怪しいので、それほど変ではないと思う。

あくまで「2043年に本当に行った」とするなら、43年9月の後に、再び入口を高速移動させ34年1月-44年1月のような状況を作ればいい(あくまでウラシマ効果を用いているので、無制限に時間差はなくせない。この短縮が計算上可能かは私には算出できず)。
ただそうだとすると、リストルはハグプリチームと戦いながら、復活したトゥモローチーム相手にも戦うことになってしまうので、話が随分とややこしくなります。なので「11月の件は幻覚の一種」で逃げたい。

もう1点は致命的です。この経緯だと、えみるとルールーが2034年に再会できてしまう。
再会自体は喜ばしいのですが、このシチュエーションだと待っているのはえみるです。ルールーの「未来で待つ」発言と矛盾してしまう。
なので継続して打開策を考えたい。

【蛇足】

「トラウムにはオールスターズ戦をする動機がない」と書きましたが、「何か動機が生まれた」方がストーリーとしては興味深いです。王道でいえば「43年シリーズの最終決戦で、ルールー死亡」とかでしょうか。
「もう一度会いたい」思いで「それが自分の最期になる」と承知の上で、歴史をなぞったとか。


●参考:
HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
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