Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

朗読者

2009-05-08 00:14:18 | 
           
先日、池袋のジュンク堂で本を探していたついでに文庫本を一冊買った。帯に「愛を読む人」の原作とあるベルンハルト シュリンク/松永美穂訳の『朗読者
この本の著者のベルンハルト シュリンクの作品は『逃げてゆく愛に続いて2冊目。「逃げてゆく愛」が短編集だったのでこの「朗読者」もそうかと思ったらこれは長編、といっても247ページという長さ。しかし、内容はその何倍も何十倍もあるかのように感じさせる。
全体は3部構成になっていてハンナと主人公ミヒャエルの出会いと別れ、裁判所での再会、朗読の再開と別れといったらよいのだろうか、時間の流れに沿って話は展開する。戦争犯罪をあくまで徹底的に検証していく姿勢と、国家が犯した罪とそれを個人のレベルに置き換えて断罪していくことと・・・。戦後何年経とうと、過ちを正して行こうとする国としての姿勢、そして国を構成する一人一人の個人とは・・・。重くて深い。
ところでこの題名「朗読者」だが、訳者あとがきを読むと、ドイツ語原題の「Der Vorleser」は男性単数形であり、明らかに主人公ミヒャエルのことを指しているという指摘があり、性の区別のない日本語の「朗読者」英語の「The Reader」との違いを興味深く思った。
コメント
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