本屋で呼ばれるように手に取ったこの本。これが彼のデビュー作で2001年のベストセラーだったというのも読んでみて初めて知った。遅まきながら、蓮見圭一著『水曜の朝、午前三時』(新潮文庫)を読む。
帯に「こんな恋愛小説を待ち焦がれていた。わたしは、飛行機のなかで、涙がとまらなくなった・・・」児玉清氏、絶賛!!
なんて書いてあったのだが、ほんとう?なんて懐疑的に構えて電車の中で読んでえらい目にあった。終わりにいくに従って、じわっと胸衝かれ、感情がこみ上げてくる。
そこに散りばめられている言葉の一つ一つが、読んでいる時も読み終わった後もいつまでも心の中にしまっておきたくなる。折に触れ、取り出して味わいたくなるんだろうな。人生について、運命について、差別について、主人公の直美の口を通してさらりと語られるメッセージが心に響く。
きっと読み返すだろう一冊の本だった。