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Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

それでも恋するバルセロナ

2009-06-30 00:35:54 | 映画 さ行
           
2008年/アメリカ・スペイン/96分
原題:VICKY CRISTINA BARCELONA
監督:ウディ・アレン
出演:ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、スカーレット・ヨハンソン、パトリシア・クラークソン、ケヴィン・ダン、レベッカ・ホール、クリス・メッシーナ

楽しみにその公開を待っていたこの作品、近所のシネコン上映でよかったぁ~!
ウッディ・アレンの作品では彼がもうこれでもか!というほどぺらぺらしゃべりまくるシーンが私には印象的なのだけれど、ここでは彼の登場シーンはなく・・・その代わりのように、ナレーションが多用されて、それが登場人物のように喋りまくる!!それを面白い、と取るかどうかで受け止める印象が分かれる気がします。
話の展開は早く、あれよあれよという間にみんなが泥沼の中。でも、観光客はその場を離れることで泥沼を脱することができるわけだし、まあめでたし、めでたし・・・わかりやすく、どろどろでもあくまで軽く~。そしてバルセロナという街の美しさに魅了されました。
これは案外好みが分かれる作品かも・・・

ところで、最近バルセロナには空港新ターミナルが開港したんですね~!!
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スラムドッグ$ミリオネア

2009-06-11 00:16:28 | 映画 さ行
           
2008年/アメリカ イギリス/ 120分
原題:Slumdog Millionaire
監督:ダニー・ボイル
脚本:サイモン・ビューホイ
出演:デーヴ・パテル、マドゥール・ミタル、フリーダ・ピント、アニル・カプール、イルファン・カーン

ジャマール、彼の求める少女ラティカ、そしてジャマールの兄サリームの三人が、警察での取調べ、TVのクイズ番組ミリオネア、勝ち進んだスラムの青年ジャマールが語る彼の生い立ちという三つの場面を絡み合わせて一つの物語を紡ぎ出す。これはクイズの勝者になるサクセス・ストーリーではなく、ジャマールとラティカのラブ・ストーリー~
友人の兄上がインドに赴任中で日本で知られていることとそこに暮らしてみて初めてわかることについて、何度か友人から聞かせてもらっていた。特にその貧富の差、カースト制による身分の格差、それはやはり想像を絶したものであると。
しかしそうは聞いても当然の事ながらその状況は想像できない。ここで描かれるインドの社会状況全てに口をあんぐり開けて、胸を痛めながら見ていた、その過酷な社会の様子はその想像できなかった中の一端を少しだけ見せてくれた気がする。
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重力ピエロ

2009-06-09 23:32:24 | 映画 さ行
          
2009年/日本/119分
監督:森淳一
原作:伊坂幸太郎
出演:加瀬亮、岡田将生、小日向文世、吉高由里子、岡田義徳、渡部篤郎、鈴木京香 他

ストーリー:遺伝子を研究する泉水(加瀬亮)と芸術的な才能を持つ春(岡田将生)は、一見すると仲の良さそうな普通の兄弟だ。そんな二人の住む街では、謎の連続放火事件が発生していた。泉水と春は事件に深く踏み込み、家族を巻き込みながら次第に家族の過去にも近づいていくのだが……。(シネマトゥデイ)

展開する話、テーマは重いのだが、どこかさらっとした感じが漂う。重さを内包しつつ爽やかな風がどこかでいつも吹き渡っているような。
泉水と春の兄弟その家族の現在、それまでたどってきた彼らの軌跡を見ていくことで明らかにされて行くそれぞれが抱えてきた悩みと互いに対する思いそして愛とが交錯する。いつまでも耳に残った「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」という言葉にぽかっとした妙な明るさを装った深い闇を感じさせられ、原作を読んでみたいと思っていた。

宣伝の効果と水曜レディース・デーのためか、観客は多かった。
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シェルブールの雨傘

2009-04-26 00:37:30 | 映画 さ行
            
1964年/フランス・ドイツ/91分(デジタルリマスター版)
原題:LES PARAPLUIES DE CHERBOURG
監督:ジャック・ドゥミ
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ニーノ・カステルヌオーヴォ、マルク・ミシェル、エレン・ファルナー、アンヌ・ヴェルノン

フランス北西部の港町シェルブールで、ささやかだけれど美しい恋を育む若者ギイとジュヌヴィエーヴ。しかしアルジェリア戦争の影が彼らに覆い被さろうとしていた。徴集されたギイの出兵前夜に結ばれた二人だったが、彼の不在はジュヌヴィエーヴにとって堪え難いものになってゆく。そして彼女はギイとの愛に結晶を宿していることに気づく。(チラシより)

前々から、これはいつか絶対観て欲しい!!と友人から薦められていた『シェルブールの雨傘』が製作45周年特別企画としてデジタルリマスター版で期間限定で公開された。
予告編もなく、いきなり本編からの上映。石畳に降ってくる雨が映し出され、そして雨と石畳の間に色々な色の傘の花が集まり、そして散って・・・ベージュの石畳の上に咲く傘の色がきれいでおしゃれでそこからもう引き込まれた。全編通じて、その使われている色、衣装も何もかも全ての色がヴィヴィッドで目が覚めるようにきれい。それでいて統一感があって、うっとりしてしまった。(これが、45年前とは!はぁぁ~
この作品のテーマ曲だけはよく知っているものの、内容は一切知らず・・・アルジェリア戦争によって引き裂かれる若い恋人たちの切ないそして若い日の恋の話。声高に戦争反対を叫んでいるわけではないけれど、あの戦争にギーが徴集されなかったら、いや戦争そのものがなかったら彼らはきっとあのまま幸せになったかもしれない、と思わせること、そのことこそが大事だったのではなかろうかと思っていた。
しかし、カトリーヌ・ドヌーヴの美しさ、可憐さといったら・・・!!輝き、眩しい美しさにただただ圧倒された。今だって彼女は美しい、素敵な年の取り方をしてると憧れちゃうんだけれど。
全てが歌、音楽で表現されているこの作品。だから誰かが突然歌いだすといったことはない、だって全て歌っているのだから。歌が真直ぐに心に届き、フランス語で歌われるの歌の美しさを素直に感じていた。と同時に、フランス語だから、と妙に鼻濁音を強調しているように聞こえるシャンソンだとかフランス歌曲だとかを耳にしたときの違和感を思い出したりもしてしまっていた。こんなにフランス語はきれいな響きで歌えるんだなぁ、とつくづく感じ入ってしまった。
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ザ・バンク 堕ちた巨像

2009-04-17 00:16:40 | 映画 さ行
            
2009年/アメリカ/117分
原題:THE INTERNATIONAL
監督・音楽:トム・ティクヴァ
出演: クライヴ・オーウェン、ナオミ・ワッツ、アーミン・ミュラー=スタール、ブライアン・F・オバーン

あらすじ:ルクセンブルクに拠点を置く国際銀行、IBBC。この銀行の不審な取引情報をつかんだインターポール捜査官のサリンジャー(クライヴ・オーウェン)とニューヨーク検事局のエラ(ナオミ・ワッツ)は本格的な捜査に乗り出すが、核心に迫ろうとするたびに関係者が消されてしまい……。(シネマトゥデイ)

ずっと緊張した場面が続き目が離せない!!
利益になること、利益になりそうなことであればすべてに絡んでいく欲の塊のような巨大銀行の姿にマネーゲームに狂乱する姿を見て、暗い気持ちになる。そうしたマネーの前には人の命も、国の運命もまるで意味がないものとなっている怖さ。この作品は幾多の犯罪スキャンダルで破綻した実在の銀行BCCIをモデルとしているそうで、現実にこうしたことが起こっているのだ、と思うと背筋が寒くなる。

話は深刻でサスペンスフルなのだけれど、その映像は舞台をベルリン、ミラノ、ニューヨーク、イスタンブールと変わり、これがそれぞれの都市毎に目を楽しませてくれるのだ。
ミラノでの演説シーンを上から眺めてる映像、集まる人々の髪の毛の色が黒いな・・・なんてふっと思ったりしながら・・・それがわっと集まり、そしてぱっと散っていく。
そして何とも派手なニューヨーク・グッゲンハイム美術館内での銃撃戦。螺旋、煌くシャンデリア、思わず息をのむ迫力。
イスタンブールで屋根の上に広がる地上の道以外のもう一つの屋根伝いに続く道には驚かされた。連なる屋根と対照的にそのはるか向こうにくっきり姿を現すモスクがいかにも静かで平和に画面に映し出されることで、強く乾いた悲しみを感じていた。その静と動、聖と俗の対比にどうしようもない虚無感を抱かされる。
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ぜんぶ、フィデルのせい

2009-01-17 00:28:34 | 映画 さ行
              
2006年/イタリア・フランス/99分
原題: La Faute à Fidel!
監督・脚本 : ジュリー・ガヴラス
出演 : ニナ・ケルヴェル 、 ジュリー・ドパルデュー 、 ステファノ・アコルシ 、 バンジャマン・フイエ

物語:1968年の五月革命、フランコ独裁政権のスペイン、1970年のアジェンデ大統領の就任によるチリ社会主義政権成立などを背景に、主としてパリにおけるフランスの反体制(共産主義や社会主義)運動に参加する父親と、人工妊娠中絶の権利を求めるフランスのウーマンリブ運動に参加する母親を持った娘の視点から、親との葛藤と自身の成長の過程を描く。題名の「フィデル」は指導者として1959年のキューバ革命で社会主義政権を成立させたキューバ国家元首のフィデル・カストロを指す。(Wikipediaより)

チェ』を観たときにフィデルと呼ばれていたカストロに彼の国ではカストロというより彼のことはフィデルなのだろうかとつらつら思った私。
フィデル?・・・¿Quién es?
ではなく、フィデル=カストロが常識なのか~。
劇場では見逃してしまってDVDで鑑賞したこの作品。何が一番印象に残ったかと言えば、とにかく徹底的に話し合う、いいことも悪いことも、疑問も不満もとにかく口に出してきちんと話すこと。大人も、子どもも、そして大人と子どもも年齢は関係なくお互いが一人の人間としてとことん話し合い、お互いに聞きあっているという姿勢に心惹かれた。
小さい子どもの頃からこれだけ話すことについての訓練を生活の中で自然に重ねているということに感動~、つい我が身を振り返って反省~。
以心伝心は勿論ある、でも話さなければ、口に出さなければ伝わらないことの如何に多いこと!見習わなくっちゃね

激動の時代の中で翻弄されるアンナが、とんがりつつぶつかりつつ、そして気付くと転校した学校で自然に新しい仲間の輪に入っていたラストが温かい
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ジェイン・オースティンの読書会

2008-10-29 00:19:32 | 映画 さ行
            
2007年/アメリカ/105分
原題:THE JANE AUSTEN BOOK CLUB
監督:ロビン・スウィコード
出演:キャシー・ベイカー、マリア・ベロ、エミリー・ブラント、エイミー・ブレネマン、ヒュー・ダンシー、マギー・グレイス、リン・レッドグレーヴ、ジミー・スミッツ、マーク・ブルカス、ケヴィン・ゼガーズetc.

春に新所沢パルコ・Let'sシネパークで開催された『スペシャルセレクション』のVol.2が9月27日~11月21日の期間限定で上映中。上映作品は観客の投票で選ばれた「ノーカントリー」「マンデラの名もなき看守」「JUNO」「ジェイン・オースティンの読書会」「アフター・スクール」「ぐるりのこと」「山桜」「歩いても歩いても」の8作品。投票で選ばれたこれらの作品のうち半分が邦画というのも、興味深い。今回もVol.3に向けてだろう、ロビーで観たい作品の候補と投票箱が設置されていた。これはまた楽しみ~。

ところで、この映画にはジェイン・オースティン((Jane Austen、1775年12月16日 - 1817年7月18日)の作品が次から次へと(とにかく月1回読書会が開かれ、話が展開していくという構成)6冊登場するのだが、悲しいことに私は『高慢と偏見』1作しか知らない。きっと受け取る面白さは、ここに出てきた作品を複数冊読んだことのある観客に比べたら半分いや1/3以下だったろうなぁ。
多分、肩の力を抜いて気楽に楽しめる映画なのだろうとは思う。けれど登場人物は多いのにその誰にも共感を抱けなかったことで距離を感じてしまい、妙な居心地の悪さを味わってしまっていた。
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ジュノ/JUNO

2008-07-07 00:06:30 | 映画 さ行
                *公式サイト
2007年/アメリカ/96分
監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:ディアブロ・コディ
出演:エレン・ペイジ、マイケル・セラ、ジェニファー・ガーナー、ジェイソン・ベイトマン、オリヴィア・サルビー、J・K・シモンズ

観たかったJUNOが近くのシネコンで公開されたのだけれど、色々忙しくて行けずにいたら、あっという間に朝一回のみの公開になっており、しかもそうなるとご多分に漏れず終映間近というパターン。アカデミー賞にノミネートされなかったらきっとここで公開されることはなかっただろうな~。で、あわてて行ったのだけれど・・・観に行ってほんっとよかった~監督が「サンキュー・スモーキング」のジェイソン・ライトマン ということで期待していたのだけれど、その期待は裏切られず!!

何なんだろう、この温かく溢れてくる気持ちは!
家族、友情、恋、夫婦・・・そこに描かれる様々な愛の形。でも、それが自然でさらっとしていて決してべたつかないのが、逆に心にしみてくる。
予定外に妊娠して、さてどうする・・・16歳が知恵を絞る、養子先を見つけた上で両親に告白。ここで交わされる会話に先ずすごく健全な家族のありようを感じ、これからの展開に興味津々となる。かわされる会話にユーモアがあって、思わず笑わされそしてほろっとさせられるのだ。そしてJUNOが見つけ出す未来、発見した愛。
作品中で使われる音楽が、ちょっと懐かしさも誘うようでそれでいて新しくて、サウンド・トラック『JUNO』でまとめて聴いてみたいな。しかし、カーペンターズの曲はアレンジされていや~に暗い曲になっていた気が・・・。
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ジェリーフィッシュ

2008-03-23 13:41:45 | 映画 さ行
               *公式サイト
2007年/イスラエル=フランス/78分
原題:Meduzot
監督:エドガー・ケレット、シーラ・ゲフェン
出演:サラ・アドラー、ニコル・ライドマン、ゲラ・サンドラー、ノア・ノラー

不思議で、同時に奇妙でもあるふわふわ感に彩られた一編の詩~
その映像も、そこで語られる物語も、そこにあるすべてが現実的なようでいて、それに触ろうとすると消えてしまう泡のような、或いは近寄るともっと遠くにいってしまう蜃気楼のようだ。その中を、その不安を確固たるものに変える「何か」を求め続けながら、あてどなく漂い続ける人々の姿。
そこに描かれている心に抱える傷、不満、その結果としての苛立ちと自信喪失といったもの全てが、ある瞬間それが自身の反映ではなかろうかと気付くと、それまで他人事だった距離が一挙に縮み、ぽっと現れた浮き輪の少女にバティアとともに天使を見、探していた。
太陽に照らされた景色はあくまで明るく輝くが、それが明るければ明るいほど、美しく輝けば輝くほど、内面に抱く孤独の暗さ、深さが浮き彫りになって切なくなる。ヘブライ語の響きにドイツ語、英語が混ざり、ふとした瞬間にイスラエルの現状が垣間みえる。

この作品を観た翌日のNHK「世界遺産」は偶然にも「テルアビブ」だった。そこに映された世界遺産としてのテルアビブはやっぱり海があったけれど街全体が白くて「ジェリーフィッシュ」で感じたそれとは全く違う表情を見せていて興味深かった。
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潜水服は蝶の夢を見る

2008-02-25 23:40:53 | 映画 さ行
              *公式サイト
2007年/フランス/112分
原題:LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON
監督:ジュリアン・シュナーベル
原作:ジャン=ドミニク・ボビー
出演:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリー=ジョゼ・クローズ、アンヌ・コンシニー、マックス・フォン・シド

ジャン=ドミニク・ボビーはELLE誌の名編集長、43歳、子ども3人の父親。ある日突然、脳梗塞で倒れ意識は元のままなのに、身体的自由を全て奪われた状態、ロックト・インシンドローム(閉じ込め症候群)となる。唯一、動くのは左目だけ。彼は瞬きでコミュニケーションを取ることを教えられ、そして20万回の瞬きで自伝を綴った。

「身体は潜水服を着たように重くても、ぼくの想像力と記憶は蝶のように自由に羽ばたく・・・」(チラシより)

観終わって、静かに明るい気持ちに満たされる、生への積極的な気持ちと生かされていることへの感謝とともに。
悲劇的、極限状況に置かれながら、ある時から「もう僕は自分を憐れむのはやめた」と言うジャン=ドー。その言葉通り彼は記憶と想像力の翼を広げて自由自在に彼の世界を飛び回る。そして強さとユーモアを併せ持つジャン=ドーの目線から語られる物語に何度笑ったことだろう。
とにかく彼の左目と同じ目線の映像が印象的で美しい。つい、あっ、その場所ではなくもうちょっと右、目の真ん中に顔が来るように立ってしゃべって・・・なんてすっかり彼の気持ちになって見てしまっているのだ。彼が涙を流す時、その映像は滲んで、カメラが全く彼の目に同化している。彼の想像力が解き放たれた時の、映像・・・ニジンスキーが現れて踊る場面など~!そんな中に時折挿入される重い潜水服を着せられて水中に沈められている薄い青い映像。
現実の世界での彼の記憶と現在の映像もまた素晴らしい。海の見えるテラス、海辺の白い砂浜で風に舞う髪・・・。コミュニケーションをとるためのアルファベットの読み上げが、彼の元を訪れる人々が慣れるにつれ流暢になって行き、そのフランス語の語感が美しく響く。
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ジプシー・キャラバン

2008-02-03 00:02:32 | 映画 さ行
             *公式サイト
2006年/アメリカ/115分
原題:WHEN THE ROAD BENDS:TALES OF A GYPSY CARAVAN
監督:ジャスミン・デラル
出演: タラフ・ドゥ・ハイドゥ-クス(ルーマニア)、エスマ(マケドニア)、アントニオ・エル・ピパ・フラメンコ・アンサンブル(スペイン)、ファンファーラ・チョクルリ-ア(ルーマニア)、マハラジャ(インド)

「それぞれの音楽のルーツにジプシー音楽を持つ、4つの国の5つのバンドが、6週間を掛けて北米の諸都市を廻る“ ジプシー・キャラバン ”が催された。このツアーの全貌をカメラが追い掛け、それぞれの音楽が生まれた土地を訪れたドキュメントからなる極上の音楽映画が誕生!」~チラシより

期待して出かけ、その期待は裏切られることなく・・・
そこにあるのは、ただただ素晴らしい音楽~♪その声、その音を耳にする喜びにとめどなく涙が溢れる。
5つのバンドは初めはまるで違うようだったのが、演奏旅行の中でそれぞれが底流に共通して持っている音楽を見出していったのは興味深い。最後のそれぞれのバンドが組んでの共演は圧巻~。また、映画の中ではルーマニア語、ロマ語、スペイン語、そして英語が飛び交っていたが、ルーマニア語とロマ語の語感がどこか似て聞こえるのは気のせいだろうか。
音楽は神からの贈りものだという言葉がさらりと語られる。彼らの全身全霊かけて音楽する姿その演奏、そして彼らの音楽が生まれた土地とをカメラは映し出す。音楽に徹底的に謙虚な姿に打たれ、そういう彼らがそれぞれ口にする家族を思う温かい思いが強く印象に残る。
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線路と娼婦とサッカーボール

2008-01-18 00:38:03 | 映画 さ行
          *公式サイト
2006年/スペイン/90分
原題:Estrellas de La Linea
監督:チェマ・ロドリゲス
撮影:レネ・ソサ
出演:バレリア、メルシー、ビルマ、マリナ、カロル、チーナ、キンバリー、リネア・オールスターズのメンバーたち

グアテマラ・シティーの「線路(リネア)」と呼ばれる貧民街で働く娼婦たちがサッカーチームを結成し、社会問題を提起してゆく姿を追ったドキュメンタリー。サッカーチーム「リネア・オールスターズ」の戦いぶりとともに、メンバーを取り巻く境遇や日常生活、それぞれの夢を映し出す。~「Yahoo!映画」より

『中米グアテマラから届いた元気をもらえるドキュメント』というコピーだったが、それはある意味真実であり、そしてまたそれは束の間の夢、あとで気付けばまるで幻影だったのだろうか、春の淡雪のようにそれは在り、そして儚く消えていくものだったのだろうか。苦い哀しみが胸に残る。
彼女たちが「リネア・オールスターズ」としてサッカーをし活動した数ヶ月が過ぎた後、結局状況は結成前と変わらない現実なのだ。作品の中でメンバーが語る過去そして未来、子どもによせる夢がラスト・シーンでの現実とつきあわされて、観客は彼女らと共に一瞬の夢から一気に現実に引き戻される感覚を味わうことになる。
ただ、あの数ヶ月が、その後の彼女たちの現実の過酷さ、辛さを幾分かでも軽減するものになっていれば・・・とはかない希望を抱くのだ。
女性そして母性の悲しさ、強さとたくましさをひしひしと感じるドキュメンタリーそして、マリナの素晴らしい歌に心奪われる。
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しゃべれども しゃべれども

2007-06-07 00:09:23 | 映画 さ行
            *公式サイト
2007年/日本/109分
監督:平山秀幸
出演:国分太一、香里奈、森永悠希、松重豊、八千草薫、伊東四朗

思うように腕が上がらず、壁にぶち当たって悩む二つ目の落語家・今昔亭三つ葉(国分太一)。そんな彼の教室に、無愛想で口下手な美女・十河五月(香里奈)、大阪から引っ越してきたものの、勝ち気なためにクラスに馴染めない小学生・村林優(森永悠希)、毒舌でいかつい面相の元野球選手・湯河原太一(松重豊)が通い始める。 (シネマトゥデイ)

東京下町の落ち着いてしっとりした風景が美しい。下町の細い路地、路地裏の風に揺れる緑、路面電車、寺・神社の境内、水上バスから見上げた景色などなど、そして、寄席。ふっと切り取られるそうした情景、一つ一つが心に残る。
登場人物それぞれが自分自身が抱える現状をなんとかしたい、何とかしなくっちゃ!と強く願い、それをしかしどうしたらいいの?と懸命に模索する姿が、決して押し付けがましくなく、いや実に爽やかに描かれる。
軽妙な笑いが随所に散りばめられ、何てったって落語が主題だもの、思わず「あはは~」「くすくすっ」と気持ちよく笑ってしまう。落語を演じているシーンでは、自分も寄席にいて客の一人になって寄席を楽しんでいるような気分に浸る。伊東四朗の火焔太鼓、国分太一の火焔太鼓~!
すべての登場人物が国分太一を始め達者で、楽しめるのだけれど、私が特に可笑しくって、素敵だな~と思ったのは三つ葉の祖母、外山春子(八千草薫)、彼女がちょっと挿む言葉が何とも絶妙、軽妙で笑えました

ただ最後の水上バスの上での三つ葉と十河のシーンは、いらなかったんじゃないかと思ったけれど。
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サロメ

2007-05-06 23:56:13 | 映画 さ行
              *あらすじCINEMA TOPICS ONLINE
2002年/スペイン/86分
脚本・演出・監督:カルロス・サウラ
振付:ホセ・アントニオ、アイーダ・ゴメス
音楽:ロケ・バーニョス
特別協力:トマティート
出演:アイーダ・ゴメス/ペレ・アルキリュエ/パコ・モラ/カルメン・ビリェナ/ハビエル・トカ

予告編でカルロス・サウラの『イベリア』を見たなあ、と思いつつ『サロメ』を見た。見始めてすぐに、この話の展開の仕方・手法見たことある、なんだっけ?と記憶をたどってみた。そうだ!やっぱり同じくカウロス・サウラの『フラメンコ』だ!

オスカー・ワイルドの『サロメ』を下敷きとして映画は進行していくのだが、全編フラメンコと音楽に彩られている。そして独特の色彩・・・色の洪水のようでいて奇妙なバランスをとっているまぶしい色、赤と黄色が混じりあったような華やかな色に対して漆黒、陰と陽の対比。それは生と死でもあるかもね。
フラメンコのリズムにあくまでもしなやかな肉体が踊る。ヘロデの前で踊るサロメは官能的、こ惑的で7枚の衣を脱ぎ捨てた瞬間にはヘロデならずともどきどきさせられる。そこではアラブ風の音楽が響き音楽の高揚とともに場全体が興奮していく。手拍子、床を打つ音がその高揚感に呼応する。それに対して、洗礼者ヨハネは「監督」の対照的に描けという指示によりイスラム神秘主義の緩やかな踊りを踊る。(いわゆるテッケ<神秘主義修行堂>の旋舞祈祷を意識している?)
とにかく全編フラメンコ、ダンスと音楽で満腹する。
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サン・ジャックへの道

2007-04-08 00:14:34 | 映画 さ行
            *公式サイト
2005年/フランス/112分
監督:コリーヌ・セロー
出演:ミュリエル・ロバン/ジャン=ピエール・ダルッサン/パスカル・レジティマス

サンチャゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼の道「カミーノ」を舞台に総勢9人の一団体が旅をする。ひたすら歩くしかない巡礼路、ピレネーを越え歩くよ、歩く~!遺産を相続するために歩く羽目になった仲の悪い3兄弟、何故かメッカに行くと思い込んでいるアラブ系の少年、だから原題は「SAINT JACQUES・・・LA MECQUE・・・」なのね~、9人それぞれが心に秘めた思い、重荷を背負って歩くよ、歩く~!そこで目にする現実の美しい風景、シュールな夢の風景。爽快なまでの兄弟喧嘩、ラムジィの純真さが特に心に残る。

ただ、気になったのは道中で荷物の中味を捨てるところ・・・えっ、そのままにして行っちゃうの?って。
そして、皮膚の色で宿泊を拒否する神父、もっとも、彼らはそんな神父の意地悪を蹴っ飛ばして進んでいくんだけれどね。

歩いてみたいな~

おまけ(1
彼らが旅の最後に訪れた「フィニステレ:Finisterre」、その地の絵葉書
  
おまけ(2
サンチャゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼路はフランスからだけでなく色々なルート(スペイン国内からでも)があるということを、バルセロナに行った時に知りました。下の2枚はモンセラートの修道院のところに記されていたそうした道順を示す印です。色によってこれはどこどこ、と教えられたのですが・・・今じゃすっかり忘れちった
  
階段にも巡礼路を示す黄色と緑の印があります。
  

カミーノに記されているこうした道順を記す印。田舎の一本道なら簡単に見つけられるサインも、大きな街を抜ける時には見落とさないようほんとに注意深く歩いたんだよ、というフランスからピレネーを越えてサンチャゴ・デ・コンポステーラ、そしてフィニステレまでカミーノを歩いた息子の話を思い出します。色々、彼から聞いた話と画面とをオーバーラップさせて見ることもできた興味深い作品でした。!!
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