今日の社説「小沢氏の造反―大義なき権力闘争だ」にもの申したい。
http://www.asahi.com/news/intro/TKY201206220700.html?id1=2&id2=cabcagcd
先ず「造反-大義なき」と評しているが、小沢氏は国民との約束(マニフェスト)を守ろうとしているのであり大義はある。大義がないのは国民への約束(マニフェスト)を反故にしようとしている野田内閣の方であって、先の選挙で民主党を支持した選挙民への造反であり、挑戦である。小沢氏を野田内閣への造反と言うのであれば造反有理と言えよう。
社説の内容にも偏見と不適切な箇所があると思うので逐一下記に反論しておきたい(*=社説、・=反論)。
*政権交代した09年総選挙で、民主党が掲げた「国民の生活が第一」の旗印は色あせた。
・今日の社説は「小沢批判」であり、民主党と小沢氏を混同してはならない 、小沢氏は常に「国民の生活が第一」の旗印を掲げて主張してきている。それを色褪せさせようとしたのは菅元首相であり、現野田内閣である。
*「予算組み替えなどで16.8兆円の新たな財源を生み出す」という公約が実現不能なことは、この3年の挫折で明白だ。 自分が首相なら実行できる、と言いたいかもしれない。ならば具体的に説明してほしい。
・特別会計予算等も含めれば日本の総予算は200兆円超と言われ、それを民間会社の手法で10%削減、組み替えれば可能との判断で16.8兆円が出てきたと思うが、鳴り物入りでスタートした仕分け作業等も手強い官僚機構の抵抗に会い、官僚のシナリオでの作業であり、蓮舫議員では力不足であったと言えよう。
*自分が首相なら実行できる、と言いたいかもしれない。ならば具体的に説明してほしい。 消費増税なしに持続可能な社会保障をどう築くのか。どうすれば16.8兆円もの巨額の新規財源が生み出せるのか。
・小沢氏は民主党代表の時にメディアにゼネコンからの陸山会への裏金献金の噂を取り上げられ、そのため代表を辞任して、その後衆議院選対の責任者として民主党を第一党に導いたが、本来であれば鳩山内閣でなく小沢内閣ができていたはずである。そうなれば16.8兆円は捻出できていたはずである。また鳩山内閣では民主党幹事長として次の参議院選に勝利すれば衆参で単独過半数が握れ、そして行財政の改革、政官業の癒着を絶ちきれば、予算の組み替えで確実に16.8兆円の財源は生み出せるとの戦略と算段をメディアからの問いに小沢氏が答えていたことを記憶している。
・ところが参議院選を前にして、今度はかつて陸山会の会計責任者であった大久保氏が検察に突如逮捕され、一方で母親からの政治資金を追求されていた鳩山首相との会談で、このままでは間近に迫った参議院選で民主党は苦戦すると考え、二人が同時に辞任し、一時20%以下に低下していた民主党支持率も急回復した。しかし、次に首相に就いた菅首相が自民党にすり寄り、唐突に消費税を10%に引き上げることを参議院選前に公言し、そこで民主党は惨敗し、衆参のネジレ現象が固定化し現在に至っていることは周知のとおりである。
・この時メディアもここぞとばかり小沢、鳩山の政治資金問題を取り上げ、足を引っ張ったことは弁明の余地もあるまい。このスキャンダルは既存の政官業の利権を守ろうとする者に検察が手を貸し、それにメディアも踊らされたとの見方は、ウォルフレン/訳= 井上実.の著書「誰が小沢一郎を殺すのか?」でも指摘され、最近の東京地検特捜部の捜査報告書の偽造からも想像されるところである。
・よってこれらのスキャンダルが無ければ民主党は衆議院と参議院で単独過半数が取れ、これまで自民党が組んできた予算を大胆に組み替え、16.8兆円の捻出は十分可能だったはずである。朝日の社説は小沢が権力を握ることを妨害された事実と予算の組み替えは権力そのものであることに触れようとしていないのである。これでは16.8兆円の捻出は不可能としか見えないのは当然であろう。
*小沢氏は「選挙になれば反増税と脱原発を掲げて戦える」と側近議員に語ったという。 だが、反増税はともかく、脱原発や原子力政策のあり方について、本人の口からまとまった主張は聞いたことがない。
・後段の脱原発、原子力政策についての小沢氏の考え方であるが、脱原発であることは話しているはずである。朝日が聞いたことがないのであれば、直接聞けばよいではないか、それメディアの責任であろう。
*結局、反増税も脱原発も、小沢氏にとっては実行すべき政策論というより、次の総選挙で一定の「数」を確保し、キャスチングボートを握るための道具ということではないのか。
・政治家であり、政党であれば当然であり否定さるべきことではない。現在衆議院の1票の格差の是正が各党間で話し合われているが、思惑が違い纏まらないのは、どの党も党利党略が先行しているからであろう。それはご指摘のとおり、「選挙で一定の数を確保し、キャスチングボートを握る」ためであり、何も小沢氏に限ったことではあるまい。
*あきれたのは、離党届に署名した衆院議員たちが、それを小沢氏に預けたことだ。 最後まで自分で判断し行動する姿勢を放棄し、「親分」に身の処し方を委ねるかのようだ。小沢氏に世話になっているのが事実でも、民主主義国の国会議員のふるまいとは思えない。
・昨日のテレビ報道では、小沢氏がホテルに集めた同志は、「新党に賛成する意思」のある人を集めたと報道され、またその人達の前では、「政治家として自分の判断で決めていただきたい」と話している小沢氏が写されていた、よってその上での署名であり朝日の主張は事実とは言えない。国会で採決がありその結果によって即行動しようとおもえば当然の事前準備であろう。
*この3年、小沢氏の公約実行に向けた努力は見えない代わり、時の政権の足を引っ張る権力闘争ばかりが目についた。 震災の痛手が生々しい昨年6月、小沢氏は、菅内閣に対する不信任案に一時賛成しようとした。春には、グループの議員たちに野田内閣の政務三役や党役職の辞表を次々と出させた。 その小沢氏がいま「公約こそ大義」と叫ぶのは、驚きを通り越してこっけいですらある。
・この3年小沢氏の努力は見えないとの評は不当である。菅首相は代表に選任された時の挨拶で、「小沢氏は引っ込んで貰った方が党のためであり、本人の為であると」全国会議員の前で放言し、その後岡田幹事長は本来同志を守る立場にあるにも拘わらず、検察不起訴、検察審査会起訴を推定無罪の原則を無視して小沢氏の党員資格を停止しており、努力する場が奪われ、与えられていないのである。
・昨年の菅内閣への不信任案への同調は鳩山氏の中途半端な調整に潰されたが、これは菅氏の唐突な消費税増税に反対するためであり、今回の野田首相の消費税増税に反対する意思と同根である。小沢氏は増税反対で一貫しており何らぶれていない。よって朝日の見方は一面的で俯瞰に欠け偏見としか言いようがない、と思う次第である。
最後に、全ての国民は「思想及び良心の自由」及び[集会・結社の自由」が憲法で保障されているのであり、まして政治家の思想良心、集会結社を「造反ー大義なき権力闘争だ」との決めつけは、朝日の独断と言わねばならない。
「護憲+BBS」「マスコミ報道を批評する」より
厚顔の美少年