「首相は安い店に行け」 高給番記者たちの「庶民感覚」(J-CAST)
麻生首相が、毎日のようにホテルのバーや飲食店で過ごしていることについて、「『庶民感覚』からかけ離れている」との声がマスコミからあがっている。これに対して、麻生首相も「ホテルのバーは安全で安いとこ」などと反論。さらに、「(安い店に行って)営業妨害だって言われたら何て答える?聞いてんだよ。答えろよ」などと、記者に向かって食ってかかる一幕もみられた。麻生首相が「ホテル会合」の正当性を主張する一方で、記者団からは「ホテルのバー通いが良くない」ことの積極的な理由が示されることはなかった。
やるべきことをやっている分にはアフター5をどう楽しもうと勝手ですがね。しかし同じことを公務員がやったのなら嬉々としてバッシングに走るような連中が麻生擁護に回っている図は、いつものこととはいえ失笑ものです。さらに言えば麻生氏は先だってスーパーマーケットを視察するなど「庶民感覚」をアピールしようとしていたばかり、それなのにこの言動では昼間の言を夕方に翻すようなもの、もうちょっと行動に一貫性を持たせたらどうかと私などは思うのですが、この国ではダブルスタンダードは当たり前なのでしょう。
麻生氏自身が庶民感覚を装おうとしたように、「庶民感覚」のニーズは紛れもなく存在します。それが必要なものかはさておき、そういう「装い」は国民から要求されるものなのです。とはいえ、小金持ちを忌み嫌いつつも、本当の特権階級には優しいのが美しい国の伝統ですから、麻生氏のリッチな生活ぶりに非難が向くことは当面ないのかもしれません。
首相が「庶民」であることが必要な理由は明らかにならないままで、記者と首相のやり取りは、かみ合わない状態が続いている。
もっとも、取材する側も、「『庶民』とは程遠い」との指摘もある。例えば給与面を見ただけでも、朝日新聞社社員の平均年収は1358万円。幹部クラスなら2000万円プレーヤーだ。比較的経営が厳しいとされる毎日新聞でも、870万円。なお、国税庁の調べによると、07年のサラリーマン平均収入は437万円だ。
首相が「庶民」である必要はないと私も思うわけですが、国民が「庶民」を求めているのであればどうなのでしょうか。たとえば死刑制度を固持する必要性はどこにもないわけですが、「国民の支持」を理由に死刑制度の堅持を正当化してきたのが日本流です。ならば国民が「庶民感覚」を求めているときに首相が庶民であることを要求するのは、少なくとも一貫性の面では間違った行動ではありません。それが国民の声です。この点では引用元であるJ-CASTの報道よりは筋が通っていますね。
さらに言うなら、このJ-CASTの記事は「取材する側」の「庶民」であることが必要な理由を明らかにしないまま、非難の矛先をすり替えようとしている点で二重に一貫性を欠いています。首相は庶民でなくとも一向に構わないが、取材する側は庶民でなければならないとでも言いたいのでしょうか。生まれながらの特権階級が贅を尽くすのは問題ない、むしろそれを批判するのが無粋、だが普通の人が裕福になるのは許さない、そんな発想ですね。
まぁ新自由主義万歳の朝日新聞には少なからぬ不満もありますが、働く人にしっかり賃金を支給しているという点では、模範的な雇用主ですね。従業員に利益をきっちり分配しているところは褒め称えられるべきです。それがどうしてか、働く人に払うべきものを払うと非難されるのも美しい国です。たぶん、それとは対極にあるもの、すなわち働く人に払うべきものを払わない組織こそが理想なのでしょう。その理想に着々と近づいてきた結果が今です。
後はそう、自らも貧乏ではないと貧乏人のことはわからない、貧困問題に取り組む資格はない、そんな「信念」を持っている人が少なからずいるせいもあるでしょうか。この信念に沿って考えると、しっかり給料をもらっている新聞記者が庶民の立場に立つ資格はない、ということになるわけです。こんなものは鼻で笑っておけばいい、と片付けたいところですが、大真面目にそう考えている人もいますからね。
ただ実績からすると、貧乏人の方が自分をわかっていないと言うべきか、中産階級より貧困層の方が明らかに自民党支持は強いわけです。貧困層の方が自分の首を絞めがちで、「庶民」にとって望ましい選択は何なのか、少なくとも統計上の実績としては、中産階級の方が理解している人の割合は高かったのですから。「俺たち(貧乏人)のことは俺たちしかわからない」と言って連帯を拒み、カルト的な思考パターンを繰り返した結果が、現行の政権を下支えする結果にもなったのでしょうかね。
少なくとも結果的には、自分を最も苦しめてくれる人を選んでいる人が多いですからね。どうやら政治家を選ぶ場面でも苦痛至上主義は一貫しているようです。
>傷つけられましたし、逆に傷つける側に回されたことも
相撲部屋でもそうですし、自衛隊でもそうでしたね。その自衛隊が企業の新人研修先として大人気であることを考えると、そういう性質こそ社会に必要とされているものと解釈せざるを……
>ささき のぶひこさん
でもそのうち、給食費などのように、(受信料)滞納者が「モンスター」と呼ばれて道徳的に非難される日が来るかも知れませんよ。
>Brendaさん
非難の矛先を逸らそうとするJ-CASTの報道は低レベルとして片付けて良いでしょうけれど、首相の贅沢ぶりを注視しているメディアを含めて「低レベル」と言ってしまうのはどうかとも思いますよ。そこは他人が豊かになることを否定したがる国民の要求でもあり、「国民の目線」を実行に移した結果でもあるのですから。
私は、日本のテレビはみないですが、本当に残念でなりません。
今は日本に住んでいませんが、日本の行く末が本当に心配だ。
民法(533条)により、不公平部分の受信料を、支払いを拒むことができる.
否定の判例はない.NHKも否定していない.
ところが毎度のことながら、このような人を持ち上げる人は多いようで・・・。庶民に近い人を持ち上げるならまだしも、それとは程遠い人どころか、自分たちを圧迫するような人を選び出してますね。苦しければ苦しいほどいいとでも思ってらっしゃるのでしょうか。
このようなことを毎度見ると日本の皆さんには「自分を苦しめる人を自分たちのことを思ってくれる人」と見なすような風習があるように見えます。古くからのスポーツ漫画やクラブ活動では、厳しく、時に人権侵害ともとれるような指導方法を展開しているコーチが選手思いの良コーチとして描かれてることが多いですよね。この延長に見えてなりません。私のかつて所属していたクラブはそれほどではなかったかもしれませんが、そのような場所でした。傷つけられましたし、逆に傷つける側に回されたこともありました。当然いじめもありらましたし。そんな雰囲気に結局・・・というより今の私からすれば幸いにして最後まで馴染めませんでした。あのようなクラブ活動こそが現代社会に適応できるようにする「訓練所」だったのかとすら思えてしまいます。さしずめ、私は「更正失敗」でしょうか。
よって、私は「スポーツ」に対するよい印象は持っていません。(日本型体育会系などクソ食らえと思ってスポーツをしてらっしゃる方には申し訳ありませんが。)スポーツ漫画やドラマ、そしてドキュメンタリーでこのようなコーチが出てくると、「苦痛至上主義」のプロパガンダにしか見えません。死者が出るまで戸塚ヨットスクールや時津風部屋のようなやり方が黙認されてきたのも、このような発想が蔓延しているためではないでしょうか。
結局同じことの上に、本筋からそれた話を長々としてしまいましたが、このようなことも「庶民カルト」と同時に自分たちの首を自分で絞める原因になっているような気がします。
仰るように鎌ヶ崎の件も念頭にありますし、今回の一件だけに限ってもJ-CASTと似たような考え方をしている人も多いようですから。まぁなんでしょうか、贅を尽くすことが「庶民」から許容されていることもまた「特権」の一つなのかも知れませんね。
>Gl17さん
J-CASTや、それと似たような考え方の人からすれば、首相よりも左寄り(と、彼らの頭の中では設定されている)メディアの方が憎い、財閥のお坊ちゃまは尊敬するが、普通に就職して高給取りになるような人は否定したい、そういう「庶民感覚」の現われでもありますね。
>Bill McCrearyさん
自分の得になる候補/政党を選ぶのであれば、政界の勢力図は大幅に違っていたはずですよね。しかるに、互恵的な関係よりも、イデオロギー的に共感できるかどうか、後者を重視する人がなぜか生活が逼迫しているはずの人に多かったり、謎は尽きません。
>cbさん
そうなんですよね、これが自民支持層にウケの悪いタイプの首相であったなら、贅沢ぶりを糾弾されそうなところですが、今のところ麻生はそうではない。その麻生が批判されないように、もう少し国民ウケの悪そうなところを悪者にして、問題を隠蔽しようとする、低レベルなやり方ですが……
>ベースケさん
「庶民カルト」はありそうですね。「貧乏人のことは貧乏人でないと理解できない」=「自分達だけが理解できている」という発想であり、それはまさしくカルトのロジックですから。その割には特権階級には寛容で、まぁドラえもんならぬ水戸黄門が助けてくれるのを待ち望んでいるのでしょうか。
いるいる、いますねたくさん。何を勘違いしているのか。
これは「理解している」はずの中産階級がいかに“真の貧乏人”へ心を寄せてこなかったかの結果でもあるんでしょうね。
(一部のミスリードもあるでしょうが・・・)
そして労働者階級は自然に分断され特権階級の目論見どおりに・・・。
ここには「俺たち“こそ”庶民ダ!」という卑屈な?プライドがあるような気がしますねー。そこには「政治をするのは庶民じゃなくてお上」という考えもありそうです。「庶民カルト」と名づけましょうか。
保育園農地強制収用の時も「子供を盾にした」「園長は左翼だ」という怪情報が流され橋下への批判をそらしています。
貧困層の味方・・・・そういう意味でいえば、格差拡大といわれる折、もう少し共産党への支持者が増えたっていいわけですし、石原慎太郎や橋下徹への票はもっと少なくてあるべきですよね。
石原については、さすがにひところの支持はないですが、橋下はねえ・・・。
まあ給与比較ならトヨタキヤノンやフジTVあたりも並べてはと思いますが。
そもそも首相という責任者なら国民感情を鑑みろという話に、一介の記者が同列にされなきゃいけない理屈はどっから湧くんだか。
だいたい一千万程度では財閥のお坊ちゃまとは比較にならないと思いますけどね。
たぶんここで管理人様が想定しているのは釜が崎の騒乱の時にその支援者を「持ち家も持ち車もある」みたいに揶揄していた人とか新聞記事のことなどでしょう。
ただ、自分を省みた場合に、「二世三世のボンボンに庶民や貧乏人の問題がわかってたまるか」と思ってしまうことはやはりあります。実際には何であれちゃんと現状を理解していい対策とってくれればその人の出自などどうでもいいわけですよね。私も反省しなければなりません。
>生まれながらの特権階級が贅を尽くすのは問題ない、むしろそれを批判するのが無粋、だが普通の人が裕福になるのは許さない、そんな発想ですね。
この発想でしょうね。この発想があるとしか説明できないことが多すぎます。そしてこの発想にあふれてる国で「自己責任、だれも守ってくれない」とか言われたら…考えたくもありません。でもそれが今の現実なのでしょう。
長文失礼しました。