短期の働き口紹介、国が仲介サイト新設へ…直接雇用を促進(読売新聞)
厚生労働省は2009年度から、インターネットを活用して日雇いなど短期の働き口を紹介するシステムを新設する。
日雇い派遣が禁止される方向となったことを受け、好きな時間に働きたいという労働者側の要望と、短期労働者の確保が経営に不可欠だとする中小企業などの懸念に応える狙いがある。09年度予算の概算要求に3000万円を盛り込んだ。
前々から「民間に出来ないことは国/自治体が責任を持ってやるべき」「民から官へ」と主張してきたわけで、貧弱きわまりない日本の公共サービスを拡充しようとする試みには概ね賛成です。民間企業が労働者に健康で文化的な職場環境と待遇を提示できないのなら、その欠陥企業には速やかに退場してもらい、官がその社会的責任を受け持つ、それが国民のためであり、政治の役割です。
そこで厚生労働省は対策として09年度予算の概算要求に3000万円を盛り込んだそうです。
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(つд⊂)ゴシゴシ
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(つд⊂)ゴシゴシ
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先月のことですが、厚生労働省はネットカフェ難民支援のためと称して予算を組みました。その予算、概算上は(諸経費を0と仮定しても)150人分程度にしかならないのですが、それでも予算総額は1億円です。しかるに今回の新システムの予算は、なんと 3 0 0 0 万 円 です。どこの1軍半の野球選手の年俸ですかと問いたい金額です。地方の市町村が組む予算でこれなら分かりますが、全国で3000万円ですよ! そりゃもう、全国にパンフレットを配ったらそれだけで消滅してしまいます。天下り先に事業を丸投げしたとしても、この金額では旨みがあるとも思えません。これでは「対策はとっています」というアリバイ作り以外の何物でもないでしょう。
生活保護行政が「生活保護以下」の職を斡旋する矛盾(世界の片隅でニュースを読む)
これは毎日新聞のスクープと言っていいだろう。札幌市に生活保護を申請したホームレスに対し、市職員が申請を認めなかった上、北海道外の派遣会社を紹介し、ホームレスが派遣先では極めて劣悪な条件で搾取されていたことが明らかになった。
毎日新聞(2008/09/01 02:30)より(太字強調は引用者による、以下同じ)。札幌市内の一部の生活保護担当職員が、無届けの職業紹介を禁じた職業安定法に違反して、生活保護を希望するホームレスに人材派遣業者での就労をあっせんしていたことが分かった。紹介を受け派遣契約を結んだところ、劣悪条件の勤務を強いられてトラブルになったケースもあり、07年初めごろまでにはあっせんをやめたとされる。市は事実を認め「現在は指導を徹底し再発防止に努めている」と説明している。
こちらは生活保護申請も絡んでいますが、自治体による職業紹介の一例として。自治体が率先してワーキングプアを作り出していたわけでもあります。「自立支援」の典型的なかたちとも言えるでしょう。その人を社会の負担と見なし、劣悪な労働環境に押し込むこと、日本ではよくあることです。
そこで冒頭の厚労省の新システムです。まぁ予算が3000万円では何の影響もないと思いますが、仮に本格的に取り組まれるとなったら、その実態はどうなるのでしょうか? 民間企業に任せていては健康で文化的な労働環境が確保されないから官が責任を持つ、そういう方針で運営されるのなら良いのですが、立派なのは看板だけ、実際はワープア職を民間と一緒になって斡旋するだけの機関になってしまう可能性も否定できません。
諸々の規制を撤廃して劣悪な雇用関係を合法化し、セーフティネットを破壊することでワープア職でも受け容れざるを得ない状況に労働者を追い込んできたのが近年の行政です。たまに軌道修正する素振りこそ見せるわけですが、あくまで「労働者に健康で文化的な労働環境を保障できない欠陥企業」の保護が優先されてきました。そうであるからには、日雇いで労働者を使い捨てることでしか存続できない欠陥企業の延命のために、この厚労省の新システムが活用される可能性もありそうです。「対策はとっている」とアリバイを作りつつ、ですね。
そこまでする中小(零細)企業なら、とっくに不法就労含む外国人労働者を使ってるんじゃないのか?と思ってしまいます。
介護スタッフでさえ外国人労働者へ移行しつつある昨今ですからね…
管理人さんがおっしゃる通り、なーんか労働条件の悪い職場に紹介されるだけ・・・って、3000万円じゃそれさえなさそうですが、なんともお粗末な話です。もっとも、将来的には充実(?)するのかもしれません。
それはそうと、拙宅の近くに職安(ハローワークという名前は、どう考えても失業者を馬鹿にしていると思います)がありまして、ひところは押すな押すなの大盛況でしたが、最近はすっかり閑古鳥がないています。いろいろな問題はあるにしても、たしかに雇用は改善しているのかも。ほかの職安はどうなんでしょうね。
http://www.job-net.jp/
をもとに立ち上げるだけ、みたいですね。そんなことなら、むしろもっと安くできるんじゃないかと思います。相場を知らない素人感覚ではあるのですが。
まあ、そうではあっても、
>立派なのは看板だけ、実際はワープア職を民間と一緒になって斡旋するだけの機関になってしまう可能性も否定できません。
同感です。
まぁ注目度の高い大企業ほど報道されますから、自分が勤務すること以外に中小企業の実態を知る手段が少ないこともあるのではないかと思います。外国人研修生の問題については中小企業が不正の温床になっているケースが多々ありますし、単に求人があるからではなく、労働者にとって好ましいかどうか、そこを基準に斡旋してくれればいいのですけれど。
>Bill McCrearyさん
良い方向にも悪い方向にも転びうる(後者の可能性の方が濃厚ですが)政策ですが、この予算では当面、何の影響もないでしょうね。一方で職安ですが、職安で見つかる仕事、勧められる仕事にろくなモノがないから、という可能性もあると思います。あるいは形態で仕事を探す人も増えたのかも? 雇用情勢が改善しているのなら、それに越したところはないのですけれど。
>仲@ukiukiさん
なるほど、既存のサイトをリニューアルするだけですか、ブラック企業に外注してしまえば、それで官僚でしょうかね。まぁ何とも、色々な意味で期待の持てない政策です。
さて、またしても「『やかましいから』政策」が発動しましたね。政府には我々国民が「社会的弱者救済バカ」に見えているのでしょう。
また、「生活保護担当職員が、無届けの職業紹介を禁じた職業安定法に違反して、生活保護を希望するホームレスに人材派遣業者での就労をあっせんしていたこと」に関してですが、実は政府が念仏のように唱えている「無駄ゼロ政策」の1つなのではないでしょうか?
そう、「生活保護」から「ワープア職の斡旋」に切り替えることによって「社会保障の無駄」も「ゼロにする」のが狙いなのでしょう。「生活保護」をも「無駄」とみなすおそるべき「逆転の発想」ですね。
そして、「日本を守って(むしろ蹂躙しているという話も多々ありますが)下さる」在日米軍には「思いやり予算」で「手厚い社会保障」を提供しているわけです。
呆れ果てるほどに「美しいセーフティネット」です。
ところで、「D層を表現する言葉」を思いつきましたので、提案いたします。「無自覚型マゾヒスト右派」などいかがでしょうか?
最後に蛇足ですが、「なんだかなぁ」と思わざるを得ない記事を見つけたのでご紹介します。
「麻生太郎」から「○○太郎」に記入例変更/川崎市麻生区役所(神奈川新聞):
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiisep080998/
管理人様の「選球眼」にかなえば幸いです。以上、乱長文にて失礼しました。
海外より。
後半の記事に関してですが、本来なら給料が安かったり、過酷な労働環境であればどんどん転職すべきですし、辞められると困る企業側はそれらを良くしようといろいろと画策し、そこで対等な関係が生まれるのですが、まったくの逆を行っていますね。
なんだか逃げ道を奪って、どんなに過酷な条件だろうと就職できればましだと納得せざるを得ないような状況を作り出しているようにしか見えません。さらに転職や無職は恥ずべきことや上の言うことには絶対服従すべきとの教育がこれを後押ししているような気さえします。私にはこれでは企業しか得をしないように見えませんが、そうすることで政治側には何かメリットはあるんでしょうかね。国の経済成長で世界トップクラスになることでしょうか?
ともかくこのままでは、以前、非国民さんのおっしゃった「働かないことが罪になる」時代が来るような危機感さえ持ってしまいます。
各県に50人で、1人60万円。
月に5万円を大盤振る舞い・・・ってなことですかねー。
大阪市で保護受給者が増えて、担当ワーカーの正職員が足りず、補助員で臨時職員を募集してましたが(ハローワークに出ていた)
月18万円で退職金や諸手当て等なし。
下手をしたら、受給者のほうが手取りが多い…。
支配する側からすれば、社会保障受給者を減らしてワープアを増やすことが好都合ですから、支配者の視点に立つ人もそれを支持してきたのかも知れませんね。個人の幸福よりも「公」ですから。
>「無自覚型マゾヒスト右派」
う~ん、外れてはいませんが、ちょっと長いですね。とはいえ、無理に短くすれば身内でしか通じない符丁になってしまいますし……
ちなみに麻生市はどうなんでしょう、小浜市のような商魂の逞しさはないようですね。
>Brendaさん
福祉など儲からない事業は民間へ、日雇い派遣など搾り取れそうなところは独占事業に?
>GXさん
数字に弱い人ばっかりですから、金額の多寡を無視して「対策はとられている」と考える人もいるでしょうね。アメリカの場合は貧困層から選択肢を奪って軍隊にスカウトするようですが、日本は軍隊の代わりにワープア職、本物の競争社会なら労働者にとって魅力のない職場は淘汰されるはずですが、うまくコントロールされているようです。
>×第二迷信さん
官製ワーキングプアのできあがりですね。まぁ病人でもないと受給にありつけない昨今、受給者の可処分所得と健康な官製ワープアの可処分所得のどちらが上かとなると後者なんでしょうが、それよりも深刻なのは、こうした官製ワーキングプアが国民の改革意識の結果として生み出されているところでしょうか。
「38歳・主婦」によるもので、内容は「少子化は女のせいというが、むしろ男のせい」。
そこで「私の知る限り、学業中退・ニート・ネットカフェ難民は全て男のほうが多い」と。
知ってか知らずしてか、『収入格差』と『男女格差』をごっちゃにしてますし、
鵜呑みにすれば貧困層の分断さえ招く言説。
まして「私の知る限り」と『印象批判』レベルなのは愚劣。
これが『産経』の同欄なら「やっぱりね」で済みますが、
一応リベラルに近い『毎日』の読者の物言いというのが頭が痛い。