ちょっと前の話になりますが「理解のある彼くん」という概念が一部界隈で話題になりました。まぁ何かしら問題のある女性を受け入れてくれる都合の良いパートナーみたいな概念のようですが、これに対して「理解のある彼くん」はいても「理解のある彼女ちゃん」はいない、だから男性の方が生きづらいのだと主張する向きも一部で見られました。そんなことはないのでは、と私は思います。働かず女性に寄生する男性や女性に暴力を振るう男性、女性の連れ子を虐待する男性等々、そういう人には「理解のある彼女ちゃん」がいるのですから。
リクルートブライダル総研の2023年調査によると20代男性の46%は「交際経験なし」なのだそうで、未婚化・晩婚化の傾向は進むばかりです。こんな時代でも普通に結婚しているのは恋愛エリートとも言えますが、一方で家庭内暴力なりモラルハラスメントなりが話題になることもまた少なくありません。色々と酷いエピソードがメディアを賑わすことも多く、それで男性社会や男性全般を非難してなんとなく締めくくられたり等々。しかし「何故そんな男と付き合ったのか」を追求しないことには、同じ過ちが繰り返されるように思えてなりません。
企業におけるパワハラも然り、それが告発されてパワハラと認定されれば企業によっては処罰もされますけれど、原因が深掘りされるケースは皆無なのではないでしょうか。パワハラというものは「優越的立場」があってこそ成り立つもので(立場が逆であったらパワハラではなく「反抗」ですから)、この前段には必ず「パワハラ気質の人間を組織の重要な地位に就けた」事実があるはずです。「何故パワハラするような人間を昇進させたのか」を調査してこそ真の再発防止に繋がります。
先般は不法な内部告発潰しに端を発して兵庫県の斎藤元彦知事の各種パワハラが大きな話題になりました。ついには県議会で不信任決議案が可決されるに至ったわけですが、そんな人でも選挙に勝ったから知事の座を得ていることは認識されるべきでしょう。街頭インタビューなどでも知事のパワハラ狼藉ぶりに眉をひそめるコメントを残す人が多々登場していますけれど、そんな人も実は前回選挙で斎藤氏に投票していた可能性は高いはずで、「何故あんな人に投票したのですか?」と県内の有権者にも聞いて欲しいと私は思うところです。
斎藤知事に関しては数限りないパワハラ行為が露になるにつれ世間の支持を失い、後ろ盾だった維新他の政党からも切り捨てられている状態でもあり、出直し選挙では敗れる可能性が高いと予想されます。ただ、斎藤元彦に先駆者がいなかったとは考えられない、第二・第三の斎藤元彦が選挙に勝利する可能性は決して否定できないのではないでしょうか。この知事が当選したのは有権者の好みに合っていたからであり、有権者の好みが代わらない限りは同じようなタイプを権力の座に押し上げる、それが繰り返されるわけです。我々の社会は、そういうタイプの人間を肯定的に評価してきたのですから。